僕らの半年戦争~one chance more chance~
後日、私の働いている漫画喫茶に突然真木が訪れた。真木は漫画喫茶の小さな入会書類をヒラヒラさせていた。お昼休憩が終わって、レジののんびり本を読んでいた。そんな時の出来事であった。

「い、らっしゃいませ~」

思わず周囲を見渡す。バイト仲間が休憩に行ったことを確認し、そっと話しかける。

「真木君。平日なのに仕事は?」

「辞めた」

「辞めた!?」

思わず声が大きくなる。

「うん。退職金も出て今ちょっとリッチ」

真木はニヤニヤしている。

「…なんで?」

「別に。貯金したかったし親の手前一応ね」

「ふーん…」

そこに他のバイト仲間が近づいてきた。私は慌てて仕事モードになる。

「個室ご利用ですか?」

「出来ればマッサージチェアで喫煙席」

「お時間はどうしましょう?」

「今日何時上がり?」

「17時」

「じゃ~3時間パックで」

「お飲み物は何にしましょう?」

「フリーじゃないの?」

「…それぐらいサービスするよ」

「えっと~コーラ」

「お席の番号札です。カウンター横、個室201番です~」

ドリンクを用意すると、「またね~」と個室に入っていった。

それから真木は漫画を取りに来る度、私の様子を伺っては話掛けてきた。

目的は漫画でも暇つぶしでもないことは分かった。
< 11 / 15 >

この作品をシェア

pagetop