一夜限りの結婚式~君と愛し合えた日々は、本当に幸せでした。
 眠たくなってきて、私はあくびをした。

「そろそろ寝ようか」と、私のあくびが合図だったかのようなタイミングで柊くんが言う。

「そうだね、おやすみ」
「おやすみ」

 柊くんが目を閉じたのを確認すると、私も目を閉じた。

「……ねぇ、柊くん。最後に質問あるんだけど、いい?」
「うん、いいよ」
「柊くん、本当に他に好きな人ができたの?」

 目を閉じながら、自分の全てを集中させて、柊くんの返事を待つ。

「……うん、できた」

 私の質問に間をあけ、柊くんはそう答えた。


――やっぱり、柊くんは私に嘘をついていたんだ。

 柊くんは「好きな人以外にキスは出来ない」って以前言い切っていた。さっきしてくれたキスは、きちんと愛のあるキスだった。この旅行での優しさも、全てに愛があった。

柊くんと別れる原因になったのは、柊くんが「他に好きな人ができた。その人とは上手くいくか分からないけど」って、打ち明けてきたからだ。あの時も、今の質問の答え方の違和感も。十年も一緒にいたんだから、分かるよ。その答え方で、それは嘘だと確信した。私達は今も、愛し合っている。

 そして――。

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