恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

隼人君‥‥二人もまた巡り会えたんだね


「隼人君‥‥‥私も会いに来たよ。
　ここで待ってるから大丈夫。
　もう何処にもいかないから‥‥
　だから‥‥お願い‥‥早く
　‥‥‥‥目を覚ましてッ‥」



本を抱き締めながら隼人君の手を握り
ベッドに突っ伏した。泣いた姿なんて見られたくないから。



『‥‥‥‥‥‥よ‥‥‥り』


えっ？



握った手微かに動いた感覚に頭を勢いよく起こす。聞き間違えじゃない‥‥‥。
小さいけれどちゃんと聞こえた‥‥
‥‥‥‥日和っ‥‥て‥



「隼人‥くっ‥‥」


握っていた手が何度か動いた後、
会いたくてたまらなかった人の瞳が
ゆっくりと開かれた



「隼人くん……！！」

『さっき‥‥‥‥の‥‥
　もう‥‥ちど‥聞か‥て…？』



マスクを強引に取った隼人君が
私の顔を見たあと目を細めて笑い、
長い指で私の涙を拭ってゆく


『日和‥‥泣かな‥‥で。』

「笑えないよ‥‥。隼人くん……に
　会いたかったッ‥‥心配かけてほんと
　‥‥‥ごめんなさ‥‥ﾋｯｸ」


行ってきますと言ってあの日別れたまま
ずっと家に帰れなかった。なのに、ずっとずっとこうして待っててくれた。




『やっと‥‥‥会えた。』


私は立ち上がり隼人くんの頬に両手を伸ばして包むと、唇にキスを落とした。


『‥‥‥おいで？』

「でも‥傷が‥ッ‥‥」

『平気……それよりも‥日和を
　早く‥抱き締めたい……』


隼人君‥‥‥


大好きな人の胸にそっともたれかかれば、心音がちゃんと聞こえ涙がまた
溢れ出した。

私も会いたかった‥‥‥。
やっとまた巡り会えたのだから‥‥‥。


隼人くんが二度と離さないと
あの時伝えてくれたように、
私ももう離れないと心に誓った


こんなに短期間で出会いと別れを何度も繰り返すなんて思っても見なかった‥‥


隼人君には同じ回数‥いやそれ以上に悲しい思いをさせてしまったことになる


それでも、6年前先輩と出会ってなければこの人生は訪れなかったから、
奇跡や運命なんて言葉じゃ足りない。


先輩に出会えたことも悲しい別れをしたことも再会して側で働いたこと、記憶を失ったこと、全てがあって今がある。


「隼人君‥‥ただいま。」


『おかえり‥。』