恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

嫉妬

軽井沢から帰り、2週間ぶりに広い部屋を大掃除して待たせ過ぎていた安藤くんにようやく電話をかけた。


「本当にごめんなさい！アルバイトで
　バタバタして連絡が遅くなって‥。』


"いいよ、気にしなくて。それよりさ、歴史の課題が終わってなかったら
一緒にやらないか？"


「うん！！あ……それなんだけど、
　いい資料を幾つか見付けたから
　家でやろうと思ってて。」


別荘で安藤君から連絡をもらい帰宅するまで連絡できないかもと伝えていた。
瀬木さんの本の事に集中したかったし、
実際は色々あって忘れていたのも事実。


軽井沢から帰る前に、瀬木さんと
良さそうな本を一緒に選んでから
帰ってきたのだ。


"あのさ‥それ、俺も見に行っていい？"


「えっ？うーん……ちょっと確認して
　からでもいい？」

"オッケー。バイトが始まるからまた
メールして？゛


電話を切り部屋を出てから階下を覗くと、オフを満喫してる瀬木さんはリビングでホラーを鑑賞中だった。



「あの…瀬木さん少しいいですか？」


『今は仕事休み』


ヴッ‥‥

「‥‥ッ‥隼人くん。」

『ん？』


仕事以外では瀬木さんと呼ばれたくないという我が儘を言うので、まだ慣れないけれどそう呼ぶことにしている


テレビからは私の恥ずかしさなど
消えるくらいの大音量でホラー映画の
中の女性の悲鳴が聞こえてくる


瀬木さんはコメディでもホラーでも恋愛ものでも、なんでも興味を持って見る
小説のアイデアになるからだって。


「えっと‥‥あのね……？友達とここ
　で残りの課題をやったらダメかな？」

『課題？……あぁ‥歴史の？』


さすがに悲鳴が煩いのに気付いてくれ、
テレビを消してくれた。


『ここは、日和の家でもあるだろ？
　勉強は佐伯さんと？』


佐伯さんとは彩のことだ。
瀬木さんが名前を覚えてくれて嬉しいな


「えっと……違うの。‥安藤くんと」

『駄目‥』


えっ！！？


もう一度テレビを付けてしまった瀬木さんに悲しくなって泣きそうになる。


確かに‥さ、恋人の家に他の男の子を
呼ぶなんて嫌だとは思う‥‥。けど、
安藤くんは友達だよ？そんなに怒らなくてもいいのに……


腕を引き寄せられ、座っている瀬木さんの胸の中に収まりそっと抱き締められた


『泣かないで？でもこれだけは駄目。』

「ん‥ごめんなさい。大丈夫、
　‥‥……駄目なら図書館で」

『もっと駄目』


ええっ！！？ここでも駄目！！
外でも駄目なの！？


2人で会うのが駄目だって事だよね‥。
隼人君に逆のことをされたらやっぱり
嫌な気持ちになるから‥‥。


ん？そうか………！！
2人きりじゃなきゃいいんだ！


「は、隼人くん？彩とか他の子も誘えば
　ここでやってもいい？」


彩は歴史専攻はとっていないけど、
まだ他のレポートあるだろうし、
もう一人歴史専攻で知り合った子にも
声かけてみようかな‥


『はぁ……仕方ない…いいよ。』


「ほんと！？良かった……じゃあ早速
　連絡とってみるね！ありがとう！」


嬉しくなり自分から抱き付くと、隼人
君の胸に顔を埋めた。