面社長のお見合い8連敗~庇護欲強めの恋愛初心者でした~
 お礼を言われるとは思わなかった。厳しいことを言うけれど社長として仕事のことを考えている証拠なのだ。

「何か力になれることがないかと思って来たのだが……」

 そういうことだったのか。私はほっとして胸をなで下ろした。

 せっかく来てもらったのでお言葉に甘えて力を貸してもらおう。

「味見をしすぎてわからなくなってしまったんですが、試食をしていただけませんか?」

「いいだろう」

 椅子に座ってもらう。

 焼き上がったケーキを切り分けて社長の前に出した。

 フォークもお皿も彼の目の前に置くと小さく見える。いや、熊崎社長が大きすぎるのかも。

 熊崎社長は、ケーキをフォークで小さく切り分けて口に運ぶと咀嚼をした。心なしか表情が和らいでいく。

「美味しい」

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