面社長のお見合い8連敗~庇護欲強めの恋愛初心者でした~
 力を入れていた仕事だったが、会社にとって一番いい道を選ぶのが大切だと思う。

 私は与えられたことをやっていくしかない。

 話が終わったので、早めに家に帰って休みたかった。落ち込む気持ちを自分で慰めて気持ちを切り替えたかったのだ。

 ところが熊崎社長は私の目の前から動こうとしない。

「たしか池川は一人暮らしだったと聞いているが」

「はい。そうです」

 彼の視線は私の右手のギプスに注がれる。

 利き手が使えないとなるとかなり不便だ。

 料理や洗濯もままならないだろうし左手で箸を持つこともできない。

「親御さんは? 兄弟は?」

「両親は亡くなっています……。私は一人っ子です」

< 28 / 91 >

この作品をシェア

pagetop