面社長のお見合い8連敗~庇護欲強めの恋愛初心者でした~
 外の空気は冷たいけれど、暖房が近くに設置されているためさほど寒さを感じない。

「ここも季菜子のために用意したんだ」

「……用意?」

「ああ。座って」

 並んで腰を掛けた。
 張り詰めた空気が流れ出した。

 きっと気持ちを正式に伝えようとしてくれているのだ。
 
ここまでされたら私は自分の返事をしなければならないと覚悟を決めていた。

「こんな俺が人のことを好きになれるなんて思わなかった」

「……」

「結婚を目的にお見合いを続けてきたが失敗ばかりで傷ついていた。俺はブライダル関係の仕事をしているのに一生結婚することができないと心の底から落ち込んでいたんだ」

 私は隣で黙って話を聞いていた。

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