Only
それから、たくさんのことを考えた。
流した涙の分だけ、悩むことができるようになった。


明衣にもう、顔向けなんてできない。そう、一度考えたが、もう逃げることをしてはいけないんじゃないかと思った。

罪から、逃げ続けるわけにはいかないと思った。



『陽輔と出会えて、良かった。また、人をこんなにも愛せるなんて思わなかった。そして人を愛することがこんなにも幸せだってことも、私は忘れていたんだから。』


そんなことを言って笑った明衣が、本当に幸せそうで、俺も、動揺した頭でかすかな幸せを感じたから。



< 169 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop