婚約破棄したいのに、天才華道家の独占愛に火を付けてしまったようです。


 それから紫陽にせがまれもう一着ドレスを試着し、いよいよクタクタになった菜花は座って休憩する。
 紅真がペットボトルの水を買ってきてくれた。


「はい」
「ありがとう」
「ごめん、蘭が強引で」
「ううん、うちのお姉ちゃんの方が強引だから」


 とはいえ、紫陽も蘭も菜花たちの結婚を心から祝福し、喜んでいることは伝わる。
 その気持ちは純粋に嬉しかった。


「紅真くんはどれがいいと思った?」
「どれも綺麗で決めかねるな。全部かわいいけど、これかな」


 紅真が選んだのはプリンセスラインのドレスだった。
 Vネックでレースの長袖が上品さを醸し出している。

 ローズ柄のレースの中にはビジューが輝き、シンプルながら全体的に可愛らしい雰囲気のドレスだ。


「実際に白いバラを頭に付けてみたらかわいいなぁと思って」
「えっそれ素敵!」
「花飾りは僕が作るね」
「本当? 嬉しい! このドレスにする」


 菜花自身もかわいいなぁと思っていたドレスだったので、紅真が選んでくれて嬉しかった。

 お色直しのカラードレスも選びたかったが、流石に試着に疲れてしまったのでまたの機会にすることにした。
 また、前撮りでは白無垢と紋付も着ることになっており、そちらも後日選ぶことになっている。

 ウェディングドレスが着たいという菜花の希望を叶えてくれて洋装になったが、紅真の紋付姿も捨てられなかったので前撮りでは和装も着ることにしたのだ。
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