婚約破棄したいのに、天才華道家の独占愛に火を付けてしまったようです。
紅真とのディナーデートの前に雛乃とランチしたことが、なんだかもう懐かしく感じる。
「そりゃそうでしょ。後からサプライズの話聞かされた時も絶対プロポーズするつもりだったんだろうなって。なのに婚約破棄したいって言われて、可哀想だったよね」
「もうその話はやめて……」
「まあ、あれを経て今があるんだからいいじゃない」
雛乃は笑いながら再びシャッターを押す。
「私は友人代表のスピーチだけじゃなく、カメラマンまで任せてもらえて光栄だよ」
「本当にありがとね」
「てかカメラは私でいいの? プロに頼んだ方がいいのに」
「プロのカメラマンさんにも入ってもらってるんだけど、私も紅真くんもあんまり写真得意じゃなくて。前撮りも最初はすごく堅かったから、気心知れた人に撮ってもらった方がリラックスできるかなって思ったんだ」
最近雛乃が一眼レフカメラを買ったと言っていたので、カメラマン役もお願いしたというわけだった。
「紅真くんも雛乃ならいいよって言ってくれたの。私の一番の親友なら信頼できるねって」
「任せて、かわいい菜花ならいくらでも撮れるから」
「ふふ、ありがとう。もちろんゲストとしても楽しんでね」
「既に楽しんでるよ。流石千寿流次期家元の結婚式、お花がどれも綺麗すぎてびっくりしちゃった」