婚約破棄したいのに、天才華道家の独占愛に火を付けてしまったようです。


 結婚式場も披露宴会場も、至るところに美しい生け花が飾られ、ゲストをおもてなししてくれている。
 紅真自身が生けた作品もあれば、お祝いにと家元や蘭が贈ってくれた花もある。

 どこを見てもお花に囲まれた紅真と菜花らしい結婚式となっていた。


「来てる人みんなすごいっていっぱい写真撮ってたよ」
「よかった、楽しんでもらえて」
「じゃ、私はそろそろ行くね」
「うん、ありがとう」


 手を振って雛乃と別れた。
 雛乃と入れ替わりに入って来たのは蘭だった。


「きゃ〜! 菜花ちゃんものすごく綺麗!」


 瞳をキラキラ輝かせる蘭は、淡いピンクと藤色の華やかな振袖を着ていた。


「蘭ちゃんこそすっごく綺麗だよ」
「ありがとう! 成人式の時の振袖、せっかくだから着ちゃった」
「すごく似合ってるよ」
「菜花ちゃんこそめちゃくちゃ綺麗よ! もう私が菜花ちゃんと結婚したいくらい!」
「絶対ダメ」


 はしゃぐ蘭を真顔で制するのは、光沢感のあるゴールドベージュのタキシードに身を包んだ紅真だった。
 柔らかく温かみのある色合いと胸に差した白いバラが菜花のウェディングドレスと非常にマッチしている。

 何度見てもカッコいい! と叫びたくなってしまう程だ。


「実の妹でも菜花は渡さないから」
「ほんっとに兄さんって冗談通じないわよね。嫉妬深い男は嫌われるわよ?」
「うるさい。早く戻りなよ」

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