不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
エピローグ
「黒瀬さん! 空間デザイン大賞で私の設計が特別賞だって!」
私は家に帰るなり、キッチンで夕食の支度をしていた黒瀬さんに飛びついた。
うれしくてうれしくて、この喜びを分かち合いたかったのだ。
受賞の連絡が来てからずっと興奮していて、早く黒瀬さんに伝えたくてジリジリしていた。
電話やメッセージではなく直接言いたかったからだ。
「やったな。おめでとう。あの設計はスタイリッシュさと快適さが見事に調和していたから、なにかの賞が取れると思ってたよ」
黒瀬さんは私の頭を撫でて、祝ってくれる。
その手の感触が心地よくて、私は目を細めた。
付き合い始めてからすぐ黒瀬さんは引っ越して、自分で設計したデザイナーズマンションで暮らし始めた。
『餌付けしてやる』との言葉通り、ご飯に釣られてここに入り浸っているうちに、『一緒に暮らそう』と言われた。
同棲してから一年、出向は解除されたけど、彼は相変わらず建築の知識を私に与え続けてくれていて、その結果、今回賞を取ることができたのだ。
「黒瀬さんのおかげです。ありがとうございます」
「いいや、瑞希の実力だ。色彩や心理学まで勉強して頑張っていたじゃないか」
自分の頑張りをわかって評価してくれる人がいるのはなんて幸せなことだろう。
ますますうれしくなって、私はより強く彼に抱きついた。
好きだという気持ちがあふれる。
「明日は休みだろう? お祝いにどこでも好きなところに連れていってやるよ」
「じゃあ、シータウンがいい」
私は始まりの場所の名を口にした。
高校時代に憧れ、あとから黒瀬さんが設計したとわかった建物だ。それが無性に見たくなった。
「わかった」
彼は、少し照れた顔でうなずいてくれた。
私は家に帰るなり、キッチンで夕食の支度をしていた黒瀬さんに飛びついた。
うれしくてうれしくて、この喜びを分かち合いたかったのだ。
受賞の連絡が来てからずっと興奮していて、早く黒瀬さんに伝えたくてジリジリしていた。
電話やメッセージではなく直接言いたかったからだ。
「やったな。おめでとう。あの設計はスタイリッシュさと快適さが見事に調和していたから、なにかの賞が取れると思ってたよ」
黒瀬さんは私の頭を撫でて、祝ってくれる。
その手の感触が心地よくて、私は目を細めた。
付き合い始めてからすぐ黒瀬さんは引っ越して、自分で設計したデザイナーズマンションで暮らし始めた。
『餌付けしてやる』との言葉通り、ご飯に釣られてここに入り浸っているうちに、『一緒に暮らそう』と言われた。
同棲してから一年、出向は解除されたけど、彼は相変わらず建築の知識を私に与え続けてくれていて、その結果、今回賞を取ることができたのだ。
「黒瀬さんのおかげです。ありがとうございます」
「いいや、瑞希の実力だ。色彩や心理学まで勉強して頑張っていたじゃないか」
自分の頑張りをわかって評価してくれる人がいるのはなんて幸せなことだろう。
ますますうれしくなって、私はより強く彼に抱きついた。
好きだという気持ちがあふれる。
「明日は休みだろう? お祝いにどこでも好きなところに連れていってやるよ」
「じゃあ、シータウンがいい」
私は始まりの場所の名を口にした。
高校時代に憧れ、あとから黒瀬さんが設計したとわかった建物だ。それが無性に見たくなった。
「わかった」
彼は、少し照れた顔でうなずいてくれた。