奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される
写真を見せようとポケットに手を突っ込んだけれど、空っぽだった。

そうだった。スマホはボストンバッグの中にしまってたんだっけ。


ドジな姿を見せてしまったのと、1人で興奮していたことに気づいて、途端に顔が熱くなる。



「……ふふっ。変わってないなぁ」



顔を上げたら、入江くんがクスクスと笑いながら私を見ていた。



「顔も話し方もはしゃぎ方も、何から何まで昔のまんまだ」

「っ……そういう入江くんは、だいぶ変わったね」

「そう?」

「そうだよ! 髪型違うし、全然日焼けしてないし、声も違うし! 身長だって……」



遠回しに子どもっぽいと言われて、ムキになって言い返す。


大人っぽい服や派手なメイクがいまひとつしっくりこないのは知ってるし。

家族からも、『乃蒼は暗い色よりも明るい色のほうが似合うね』って試着するたびに言われてきたから、自覚はあるけれども。
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