奈落の悪役メイドは孤高の御曹司に求愛される
ぬいぐるみを本棚に戻した入江くん。

屈託のない笑顔から、優しく穏やかな表情へと変わる。



「改めて、久しぶり。元気だった?」

「……うん。まぁ、それなりに」

「サビ猫ちゃんとはまだ会ってる?」

「ううん。あれ以来、姿見せなくなっちゃって」



視線を斜め下に落とす。


梅雨に入る前と入った直後、買い物帰りに何度か様子を見に行ったけれど、捜しても呼んでも出てこなかった。


あれから2週間。怪我をしていたのだから、誰かに保護された可能性もなくはない。

野良のままだとしても、あのあたりは他にも公園あるし、それこそおこぼれをもらえそうなスーパーもある。


ご近所さんじゃないからそういった情報は回ってこないけど……今もどこかで生きていることを信じている。



「お散歩中だったのにごめんね」

「ううん。あのスーパー、よく行くの?」

「うん。行きつけなの」
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