聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

 男子学生のグループが、マルティーナたちの横をまさに通り過ぎようとした。
 そのとき、そのうちのひとりが、それまでも視界に入っていたはずのマルティーナに改めて気がつき、大きく目を見開いた。
 その驚きぶりに、マルティーナのほうこそ驚いてしまう。

「……なぜ、ここにいる?」

 質問が唐突すぎて、すぐに返答ができない。

(なぜって訊かれても……)

 今しがた夕食を食べ終えて、これから寮に戻るつもりだからだ。
 だが、そんな返答を求めているようには到底見えない。
 なら、何と言えばよいのか。

 マルティーナが答えに困っていると、その学生は次の質問を投げてきた。

「ルーボンヌ神国から来たのか? まさかと思うが、君は留学生なのか?」

 マルティーナはようやく自分を見て驚かれた理由と、最初の質問の意味も理解できた。

(この人はルーボンヌ神国とルーボンヌ人のことを知ってるのね。それなら驚くのも道理だわ)
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