聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

「そうです」
「ルーボンヌ神国の聖女がなぜ?」

 マルティーナはムッとした。

「違います。私は聖女ではありません」
「はあ? まさか神聖魔法が使えないのか?」

(いちいち『まさか』、『まさか』って何なの!?)

「使えないことはないですけど」
「君が聖女ではないなんてどういう……それに自然魔法を学ぶこの学院に、どうして留学しているんだ?」
「なぜって、入学が認められたからですよ!」

 それは確かだ。
 特別推薦枠ではあるが。
 おまけに、在学中ある特殊な研究に協力するという契約もセットになっているが。

 裏口入学でも何でもない。
 第一マルティーナがその条件付で留学が決めたとき、寄付金という名目でお金を支払ったのはルーボンヌではなく、アンダルイド側だ。

(この人、一体何なの? 初対面で失礼すぎるんだけど! それとも、ルーボンヌの国民は全員神官か聖女だとでも思い込んでいるのかしら?)
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