プレイボール
朝7時、僕はいつも通り日課のランニングを終え、食堂へ向かう。
今日は休みということもあって、食堂で流れる時間もいつもよりゆっくりに感じる。

辺りを見渡すが、仁太の姿は見えない。
まあ、休みの日ということもあって、必ずしも7時に朝食を食べないといけないわけではない。

僕はいつものグラウンドに面しているカウンター席に座る。
この席が好きだ。ここからだと、グラウンドを見渡すことができるからだ。
朝食の味噌汁を啜りながら外を眺めていると、校舎側にある斜め向かいの女子寮からちらほらと人が出てきた。
何年生だろうか。普段は制服だが、私服に着替えて出掛けていく人もいる。

自由な学校だなあと僕は思う。これで1年生もスマホを自由に使えるようになれば、さらに自由度が増すのに、、
そんなことを思いながら、ぼーっとしていると、2人の女子がグランドを突っ切って、近づいてくるのが見える。
男子寮にでも用があるのかなと思っていると、どうやら玲子さんのようだ。

僕はあわてて、食器を片付け玄関へいく。
ちょうど、玲子さんともう1人が玄関に辿り着こうとしている。

僕はジャージのまま玲子さんに声をかける。
「お、おはようございます。何か男子寮に用でしょうか。」

キョロキョロして中を伺おうとしていた玲子さんが僕を見つけて笑顔になる。
「あ、一郎君、おっはよう!!今日は2年生への勧誘の日だったよね!早速だけど、1人連れてきたよー」

そう言って玲子さんは隣の女性の背中を押して前へ出す。

「こ、こんにちは! 2年の九条結城(くじょう ゆうき)と言います。よ、よろしくお願いします。」
九条さんが僕に向かってそういうが、女性にしては高身長だ。170cm近くあるに違いない。

「僕は佐藤一郎です。九条さんよろしくお願いしますね。マネージャーが増えると僕たちも嬉しいよ。」
僕はそう言って、控えめそうな九条さんに握手を求める。

すると、玲子さんが横から入って言う。
「一郎君、何言ってんのよ!彼女はプレイヤー志望なの!!こう見えても経験者なんだからね!」

え、、経験者!?僕か九条さんを二度見する。
確かに身長はあるけど、まさか、女性が入部希望とは思ってもいない。
僕かかける言葉に迷っていると、九条さんがさらに控えめな小さなな声で言う。
「ねえ、玲子、やっぱり無理だよ。やめようよ。。」

「ばかねえ。あんたは自身なさすぎなの!
一郎君、君も失礼よ!女の子をジロジロみて値踏みするなんて!」

僕はあわてて言う。
「あ、いえいえ、そういうわけでは。その、女性の方が入部希望、それも選手でなんて考えてもいなかったから。
でも、嬉しいです。今はとにかく人数を集めないといけないので。」
そう言って僕は改めて九条さんに握手を求めた。


こうして、僕らはついに4人のメンバーが揃った。
この際、野球の実力は気にしていられない。
とにかく人数を集めて部として認められ、早く試合ができるよにならなければならないのだ。



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