プレイボール
夕食も、シャワーも済ませて夜の21時。
やっとスマホが使える。
僕は早速、寮母さんからスマホを受け取って例のベランダで佐々木監督から預かった西村先生のスマホに電話をかける。
トウルルルル・・・・
「誰だ。」
低い声が聴こえる。
「あの、初めまして、西村先生でしょうか。
桜木高校、新入生の佐藤と言います。番号は西村先生のお知り合いという佐々木監督に聞きまして。僕、シニア時代では佐々木監督の元で野球をやっていまして。」
相変わらず緊張すると少し早口で言ってしまう。
「あー、お前がか。佐々木から聞いている。なんか面倒見てやってくれってな。」
低い声だ。顔が見えない分、余計に怖い。
僕は負けじと答える。
「はい。僕は、どうしても甲子園に最短で行きたいのです。力をお借りできないでしょうか。」
「んだよ。そんなの簡単じゃねーか、ここは石巻、甲子園は兵庫県にあんの!
最短で行くなら、新幹線だな。いや時間の最短は新幹線だが、距離の最短なら徒歩だな。
ハッハッハ。」
僕は少しむっとする。そういうのを聞きたいわけではい。
「ええ。そうではなくて、甲子園に出場したいのですが、、以前、西村先生がこの学校で顧問をしてらして、とても良い成績だったとか。できればそのことについてお伺いしたのですが。」
「・・・佐藤といったな。俺がなぜ、野球部から追い出されたかわかるか?」
低い声がさらに一段低くなって西村先生は問う。
「あの、校長室でアンケートを読みました。その、顧問が厳しすぎるとか。」
僕は遠慮がちに言う。
「そうだ。あれが全てだ。俺についてこれないやつのために俺が手を貸すとでも?
俺だってそんな暇人じゃねーよ。」
「でも、西村先生。週1回しか練習していないのでは?」
僕は疑問を投げかける。週1の練習でどうしてきついのだろうか。一体週1回でどのような練習をしていたのだろうか。
「そうだな。俺は週1しか指導をしていない。だが誰もついてこなかった。だから俺は辞めた。どうせお前も無理だろう。」
僕は半分ムキになって言う。
「いいえ、西村先生。僕は本気です。本気で甲子園に行きたいのです。
それも最短で。僕は先生からどのような指導を受けても弱音を吐くつもりはありません。」
西村先生は言う。
「いったな。だったら証拠を見せてみろ。
来週の金曜日までに、野球部を作ってみろ。そうしたら考えてやる。」
僕はやったと心の中でつぶやいてから、先生に礼を言う。
「ありがとうございます。1週間ですね。必ず6人以上の部員を集めてみせます!」
そう言って電話を終える。
大した根拠があるわけでは無いが、これには自信があった。
すでに3人は決まっているようなものだから後3人で良いのだ。空先輩も入部はしないが応援はすると言っていた。力になってくれると思うし、1週間もあればなんとかなる。
そんなことを考えながらそろそろスマホを返しにいく時間になる。
ベランダから出ると、同部屋のさんちゃんと吾郎が部屋で寛いでいる。
僕はお構いなしに部屋から出て、寮母室まで歩いていく。
途中、仁太を見かける。向こうもスマホを返しにいく途中のようだ。
「あ、一郎君、一郎君も寮母室までいくの?」
仁太から声を掛けられる。
僕は、今のうちに仁太を部に誘っておくべきだと思って言う。
「ああ、そうだよ。なあ、仁太、この前、食堂でさ、一緒に野球部作って甲子園行こうみたいなこと言ってたよな。よかったら、一緒に野球、やってみないか?」
仁太は不思議そうな顔をしている。
ポカンとした顔で言う。
「何言ってんの、一郎君、僕はもうそのつもりだよ。多分、生徒会の玲子さんも。僕、さっき玲子さんとそのことで話してたんだ」
そう言って仁太は持ってたスマホを僕に見せる。
「え、仁太、いつの間に玲子さんと連絡先交換してたの?」
こんどは僕がポカンとしてしまう。
「だって一郎君、生徒会室では空先輩からもらったノートをずーっと読んでるんだもん。
僕はその間に玲子さんと、野球部発足について話してたんだよ。聞いてなかったの?」
全然、気づかなかった。いつの間に仁太はそんなことをしていたのだろう。案外と仁太は侮れないな。
でも、これで3人の部員は確保だ。僕は仁太に言う。
「よくやったぞ、仁太!これで3人も部員が集まった」
仁太もニッコリして言う。「一郎君、まだ喜ぶには早いよ!野球は9人必要なんでしょ」
僕も笑って返す。「そうだな、玲子さんはマネージャーだから後最低でも7人はいないとな」
僕は仁太のやる気に少しホッとしている。どんなヤツでも味方がいると心強い。
そんなことを思っていると、仁太が手にしているスマホを掲げてさらに言う。
「僕、さっきまで、玲子さんと連絡とっていて、昨年までの野球部員のリストをもらったよ。
3年生は引退だろうから、無理だけど、2年生を中心にあたってみるよ!
よかったら、明日、一郎君も一緒にどう?」
「え、仁太、そこまでやってくれたの?もちろんだ!素人より、少しでも野球のできる人が欲しいに決まっている」
そう言って僕は仁太にガッツポーズを見せる。
僕らは元野球部員のメンバーの情報交換と、明日の集合時間などを話しながら、スマホを寮母室まで返しにいく。
返し終わった後、僕はいつも通りの素振りと投げ込みをする。
仁太は先に部屋に戻るでもなく、玄関からずっと僕の自主練の様子をみている。
僕は一緒にやってみるか?と声を掛けたけど、仁太はいや、みてるだけでいいやって言う。
そんなところにずっといたら暇だろう?って言うが、仁太はそうではないみたい。
時々、なるほどとか言いながら、素振りや投球の様子をみている。
相変わらず変わったヤツだが、いいやつなのだ。
僕も今日は良い夢が見れそうだな。そんなことを思いながら、自主練を終えて仁太と一緒に部屋の前までに戻って別れた。
やっとスマホが使える。
僕は早速、寮母さんからスマホを受け取って例のベランダで佐々木監督から預かった西村先生のスマホに電話をかける。
トウルルルル・・・・
「誰だ。」
低い声が聴こえる。
「あの、初めまして、西村先生でしょうか。
桜木高校、新入生の佐藤と言います。番号は西村先生のお知り合いという佐々木監督に聞きまして。僕、シニア時代では佐々木監督の元で野球をやっていまして。」
相変わらず緊張すると少し早口で言ってしまう。
「あー、お前がか。佐々木から聞いている。なんか面倒見てやってくれってな。」
低い声だ。顔が見えない分、余計に怖い。
僕は負けじと答える。
「はい。僕は、どうしても甲子園に最短で行きたいのです。力をお借りできないでしょうか。」
「んだよ。そんなの簡単じゃねーか、ここは石巻、甲子園は兵庫県にあんの!
最短で行くなら、新幹線だな。いや時間の最短は新幹線だが、距離の最短なら徒歩だな。
ハッハッハ。」
僕は少しむっとする。そういうのを聞きたいわけではい。
「ええ。そうではなくて、甲子園に出場したいのですが、、以前、西村先生がこの学校で顧問をしてらして、とても良い成績だったとか。できればそのことについてお伺いしたのですが。」
「・・・佐藤といったな。俺がなぜ、野球部から追い出されたかわかるか?」
低い声がさらに一段低くなって西村先生は問う。
「あの、校長室でアンケートを読みました。その、顧問が厳しすぎるとか。」
僕は遠慮がちに言う。
「そうだ。あれが全てだ。俺についてこれないやつのために俺が手を貸すとでも?
俺だってそんな暇人じゃねーよ。」
「でも、西村先生。週1回しか練習していないのでは?」
僕は疑問を投げかける。週1の練習でどうしてきついのだろうか。一体週1回でどのような練習をしていたのだろうか。
「そうだな。俺は週1しか指導をしていない。だが誰もついてこなかった。だから俺は辞めた。どうせお前も無理だろう。」
僕は半分ムキになって言う。
「いいえ、西村先生。僕は本気です。本気で甲子園に行きたいのです。
それも最短で。僕は先生からどのような指導を受けても弱音を吐くつもりはありません。」
西村先生は言う。
「いったな。だったら証拠を見せてみろ。
来週の金曜日までに、野球部を作ってみろ。そうしたら考えてやる。」
僕はやったと心の中でつぶやいてから、先生に礼を言う。
「ありがとうございます。1週間ですね。必ず6人以上の部員を集めてみせます!」
そう言って電話を終える。
大した根拠があるわけでは無いが、これには自信があった。
すでに3人は決まっているようなものだから後3人で良いのだ。空先輩も入部はしないが応援はすると言っていた。力になってくれると思うし、1週間もあればなんとかなる。
そんなことを考えながらそろそろスマホを返しにいく時間になる。
ベランダから出ると、同部屋のさんちゃんと吾郎が部屋で寛いでいる。
僕はお構いなしに部屋から出て、寮母室まで歩いていく。
途中、仁太を見かける。向こうもスマホを返しにいく途中のようだ。
「あ、一郎君、一郎君も寮母室までいくの?」
仁太から声を掛けられる。
僕は、今のうちに仁太を部に誘っておくべきだと思って言う。
「ああ、そうだよ。なあ、仁太、この前、食堂でさ、一緒に野球部作って甲子園行こうみたいなこと言ってたよな。よかったら、一緒に野球、やってみないか?」
仁太は不思議そうな顔をしている。
ポカンとした顔で言う。
「何言ってんの、一郎君、僕はもうそのつもりだよ。多分、生徒会の玲子さんも。僕、さっき玲子さんとそのことで話してたんだ」
そう言って仁太は持ってたスマホを僕に見せる。
「え、仁太、いつの間に玲子さんと連絡先交換してたの?」
こんどは僕がポカンとしてしまう。
「だって一郎君、生徒会室では空先輩からもらったノートをずーっと読んでるんだもん。
僕はその間に玲子さんと、野球部発足について話してたんだよ。聞いてなかったの?」
全然、気づかなかった。いつの間に仁太はそんなことをしていたのだろう。案外と仁太は侮れないな。
でも、これで3人の部員は確保だ。僕は仁太に言う。
「よくやったぞ、仁太!これで3人も部員が集まった」
仁太もニッコリして言う。「一郎君、まだ喜ぶには早いよ!野球は9人必要なんでしょ」
僕も笑って返す。「そうだな、玲子さんはマネージャーだから後最低でも7人はいないとな」
僕は仁太のやる気に少しホッとしている。どんなヤツでも味方がいると心強い。
そんなことを思っていると、仁太が手にしているスマホを掲げてさらに言う。
「僕、さっきまで、玲子さんと連絡とっていて、昨年までの野球部員のリストをもらったよ。
3年生は引退だろうから、無理だけど、2年生を中心にあたってみるよ!
よかったら、明日、一郎君も一緒にどう?」
「え、仁太、そこまでやってくれたの?もちろんだ!素人より、少しでも野球のできる人が欲しいに決まっている」
そう言って僕は仁太にガッツポーズを見せる。
僕らは元野球部員のメンバーの情報交換と、明日の集合時間などを話しながら、スマホを寮母室まで返しにいく。
返し終わった後、僕はいつも通りの素振りと投げ込みをする。
仁太は先に部屋に戻るでもなく、玄関からずっと僕の自主練の様子をみている。
僕は一緒にやってみるか?と声を掛けたけど、仁太はいや、みてるだけでいいやって言う。
そんなところにずっといたら暇だろう?って言うが、仁太はそうではないみたい。
時々、なるほどとか言いながら、素振りや投球の様子をみている。
相変わらず変わったヤツだが、いいやつなのだ。
僕も今日は良い夢が見れそうだな。そんなことを思いながら、自主練を終えて仁太と一緒に部屋の前までに戻って別れた。