大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【いかさまだらけのルーレット】

時は、1月22日の深夜1時過ぎであった。

またところ変わって、大阪市中央区城見にあるテレビ局の楽屋にて…

イワマツグループのA班のメンバーたち12人は、班ごとのお仕事に取り組んでいた。

私・イワマツは、日曜日昼に放送されているディベート番組の大量収録に出演しているのでスタジオにいた。

大量収録は、1月24日の深夜0時まで行われる予定である。

そんな中であった。

30人の丁稚《でっち》どんたちが落ち着いた色の背広姿の男性を連れて楽屋に入った。

男性は福津比佐志《ふくつひさし》さん(41歳)であった。

以前は総合商社に勤務していたが、出向先の会社の処遇面に不満があったので会社自体をやめてうち(イワマツ)に転籍した。

…………………

話は変わって…

比佐志《ひさし》さんは、丁稚どんたちと一緒にゆあさんのもとにやって来た。

比佐志《ひさし》さんは、ゆあさんに対して初対面のごあいさつをかわした。

「はじめまして…福津比佐志《ふくつひさし》です…よろしくお願いします。」
「ああ、よろしくね。」

ゆあさんは、ひとテンポ置いてから比佐志《ひさし》さんにお声がけした。

「福津さん。」
「はい。」
「以前は、どこで働いていたのよ?」
「(比佐志《ひさし》、ぼんやりとした表情で言う)えっ?」
「以前はどこで働いていたのと尋《たん》ねてるのよ!!」
「すみませんでした…ああ…以前は…櫃石島商事《ひついしじましょうじ》です。」
「ああ、櫃石島商事《ひついしじましょうじ》ね…櫃石島商事《まえのかいしゃ》ではどんなお仕事をしていたのよ?」
「経理事務《ケーリ》です。」
「経理事務《ケーリ》ね…あんたはなんで櫃石島商事《まえのかいしゃ》をやめたのよ?」
「(比佐志《ひさし》さん、おどろいた表情で言う)えっ?」
「なんで櫃石島商事《まえのかいしゃ》をやめたのと尋《たん》ねてるのよ!!」
「えっ?」
「櫃石島商事《まえのかいしゃ》をやめた理由を答えてよ!!」

ゆあさんは、ものすごくいらついた声で比佐志《ひさし》さんに言うたあとややあつかましい声で言うた。

「福津さん、あんたはなんで櫃石島商事《まえのかいしゃ》に就職したのよ!?」
「えっ?」
「櫃石島商事《まえのかいしゃ》に就職した動機はなによ!?」
「志望動機ですか?」
「せや!!…福津さんが櫃石島商事《まえのかいしゃ》に就職したあとどんな仕事がしたかったのよ?」
「どんな仕事がしたかった…って?」
「あんたは大学にいた時にいいかげんな気持ちでシューカツしたのじゃないの!?」
「すみませんでした…そのように言われてもしかたがありません…」
「もうええわ…これ以上聞いてもきりがあらへん…話を変えるけど…福津さんは雑用全般のお仕事をお願いします…それでいいですか?」
「よろしくお願いします。」
「素直でいい人ね…がんばって〜な。」
「ありがとうございます。」

このあと、比佐志《ひさし》さんは雑用全般のお仕事を始めた。

(ブロロロロロロロロロロロロロロロ…)

時は、1月24日の深夜3時頃であった。

イワマツグループのA班のメンバーたち12人と比佐志《ひさし》さんが乗り込んだ60人乗りの特大バスが高速道路を走行していた。

バスは、阪神高速道路〜第二神明道路〜姫路バイパス〜山陽自動車道を通って目的地へ向かった。

バスの車内にて…

私は、エクスペリアのウォークマンで歌を聴きながら窓に写る真夜中の風景を見つめた。

イヤホンから長渕剛さんの歌で『いかさまだらけのルーレット』が流れていた。

私は、少し離れた席に座っている比佐志《ひさし》さんをちらっと見たあと心配げな表情でつぶやいた。

比佐志《ひさし》さん…

大丈夫かな…

心配だ…
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