大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)
第29話・私のハートはストップモーション

【いいもんだな故郷は】

(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…キーッ、プシュー…)

時は、1月27日の朝9時半頃であった。

JR新宮駅のプラットホームに大阪方面からやって来た特急オーシャンアロー号が到着した。

到着した列車の中から比佐志《ひさし》さんが降りた。

ものすごくつらい表情を浮かべている比佐志《ひさし》さんは、改札を通って駅から出たあと伯母《おば》の家族たちが暮らしている家へ歩いて向かった。

時は、午前10時過ぎであった。

またところ変わって、新宮市神倉《しないかみくら》にある特大和風建築の家にて…

特大和風建築の家は、比佐志《ひさし》さんの伯母《おば》・比江島佐和子《ひえじまさわこ》の家族たちが暮らしている家である。

家の前にかわいい柄のエプロンをつけている32歳くらいの女性がいた。

女性は、佐和子《さわこ》のメイ・京田美羽《きょうだみう》(32歳)であった。

家の前にいる美羽《みう》は、ほうきを竹ほうきを使って掃き掃除をしていた。

この時、比佐志《ひさし》さんがふらりとやって来た。

美羽《みう》は、ものすごくオタついた表情で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「ちょっと比佐志《ひさし》さん!!なんで帰って来たのよ!?」
「美羽《みう》、おれは伯母《おば》さまと伯父《おじ》さまにあやまりに来たのだよ!!」
「困るわよもう!!」

美羽《みう》は、あつかましい声で比佐志《ひさし》さんに言うたあと家の中にかけこんだ。

またところ変わって、家の大広間にて…

大広間のテーブルに比佐志《ひさし》さんと佐和子《さわこ》と伯父《おじ》・智太郎《ともたろう》が集まっていた。

となりの部屋に比佐志《ひさし》さんのひとり息子・智之《ともゆき》(3つ)がいた。

智之《ともゆき》は、ひとりでしょんぼりと落ち込んでいた。

比佐志《ひさし》さんは、帰って早々に智太郎《ともたろう》からものすごくあつかましい声で言われた。

「比佐志《ひさし》!!わしらはすごく心配していたのだぞ!!たまよさんの入院生活が長引いている上に、智之《ともゆき》はずっと家の中にいる状態がつづいている…そんな中でおまえはなにをしていたのだ!?」

比佐志《ひさし》さんは、ものすごくつらい表情を浮かべながら智太郎《ともたろう》にわびた。

「長いあいだ、ごめいわくをおかけしてすみませんでした。」

佐和子《さわこ》は、ものすごく心配げな表情で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「比佐志《ひさし》!!櫃石島商事《ひついしじま》の社長さまがゆうべうちに電話をかけてきたのよ!!比佐志《ひさし》が出向先の会社を休みがちになっているので、なにがあったのかと心配していたのよ!!」

智太郎《ともたろう》は、ものすごくあつかましい声で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「比佐志《ひさし》!!出向先の会社の人も比佐志《ひさし》がいないと伝票処理ができないと言うて困っているのだよ!!櫃石島商事《ひついしじま》の人たちは、あと3ヶ月がんばったらもとへ戻すと言うてるのだよ!!」

比佐志《ひさし》さんは、出向先の会社をふくめて櫃石島商事《まえのかいしゃ》をやめてちがう会社に転籍したことを佐和子《さわこ》と智太郎《ともたろう》に伝えた。

智太郎《ともたろう》は、おどろいた表情で言うた。

「よその会社へ転籍したって…どうして勝手なことをしたのだ!?」

比佐志《ひさし》さんは、ものすごく怒った表情で智太郎《ともたろう》に言い返した。

「出向先と櫃石島商事《まえのかいしゃ》の処遇面に不満があったからやめた!!」
「比佐志《ひさし》!!」
「あなたやめて!!」

佐和子《さわこ》は、智太郎《ともたろう》を止めたあとあつかましい声で比佐志《ひさし》さんに言うた。

「比佐志《ひさし》!!お前は一番大切なことを忘れているわよ!!お前は誰のおかげで公立高校《コーコー》から大阪の大学へ行くことができたと思っているのよ!?お前ひとりのせいで比佐人《ひさと》(44歳)とみわこ(42歳)がギセイになったのよ!!おまえひとりのために二人分の学資保険《ほけん》を解約したことが原因で、ふたりは高校に行くことができなくなる恐れが出たのよ!!比佐志《ひさし》はそのことがまだ分からないと言うのね!!」

佐和子《さわこ》と智太郎《ともたろう》からどぎつい声で言われた比佐志《ひさし》さんは、ものすごくつらい表情で言うた。

「ごめいわくをおかけしてすみませんでした。」

佐和子《さわこ》は、ものすごくあつかましい声で言うた。

「もういいわよ…比佐志《ひさし》が櫃石島商事《まえのかいしゃ》と出向先の会社の処遇に不満があるからよその会社へ転籍したことと転籍先の会社のことについてはなにも言わないわよ…だけど…櫃石島商事《まえのかいしゃ》と出向先の会社の人たちは、みんな親切な人たちばかりがいたのよ!!お前は、親切にしてくださったみなさまのお気持ちをふみにじったのよ!!」
「だからごめんなさいと言うてるのだよ!!」
「もういいわよ…話変わるけど…比佐志《ひさし》!!これから美羽《みう》ちゃんは病院へ行くのよ!!」
「病院?」
「たまよさんが入院している病院よ!!今から2年前の夜、比佐志《ひさし》はたまよさんに対して悪いことをしたのよ!!…家族みんなで智之《ともゆき》の誕生日を祝う日にお前は会社の人にさそわれてキャバクラへ行った!!そのせいで、たまよさんはひとりぼっちで行った先の公園で集団レイプの被害を受けたのよ!!」
「わかったよ!!お見舞いに行きゃいいんだろ!!」

比佐志《ひさし》さんは、佐和子《さわこ》と智太郎《ともたろう》に対して怒鳴り声をあげたあと大広間から飛び出した。

時は、12時頃であった。

またところ変わって、新宮市磐楯《しないいわだて》にある病院の個室病棟《びょうしつ》にて…

病棟《びょうしつ》のベッドに寝巻き姿のたまよがいた。

たまよは、ものすごくさびしげな表情を浮かべていた。

この時、美羽《みう》は比佐志《ひさし》さんと一緒に病棟《びょうしつ》に入った。

美羽《みう》は、やさしい声でたまよに言うた。

「たまよさん…比佐志《ひさし》さんが帰ってきたわよ〜」
「………………」

たまよは、美羽《みう》の呼びかけに対してひとことも言わなかった。

美羽《みう》は、ものすごく怒った表情でたまよに言うた。

「たまよさん!!比佐志《ひさし》さんはあなたのために大阪から帰って来たのよ!!」

たまよは、めんどくさい声で『うるさいわね〜』と言うたあとふとんの中にもぐりこんだ。

美羽《みう》は、ものすごく怒った表情で言いながらかけふとんを取った。

「たまよさん!!お願いですからダンナさんと向き合ってください!!」
「めんどくさいからイヤ!!」
「どうして逃げるのですか!?」
「アタシは、ものを言いたくないのよ!!」
「たまよさん!!比佐志《ひさし》さんはいそがしい中で時間を作ってあなたに会うために帰ってきたのよ!!せめてお顔だけでも見てください!!」
「イヤ!!拒否するわよ!!」

比佐志《ひさし》さんは、ものすごく怒った表情で言うた。

「もういいよ!!ぼくはたまよのことが大キライなんだよ!!」
「比佐志《ひさし》さん!!」
「ぼくは、櫃石島商事《まえのかいしゃ》の上司のいいなりになってたまよとお見合いして結婚したのだよ!!ほんとうは結婚をヤクソクしていたカノジョがいたのだよ!!上司がどうしてもと言うから仕方なく結婚したのだよ!!たまよの胎内《なか》にいる赤ちゃんのテテオヤになれと言われたから仕方なく智之《ともゆき》のテテオヤになったのだよ!!もう帰る!!」

思い切りブチ切れた比佐志《ひさし》さんは、病棟《びょうしつ》のドアを右足でけとばしたあと病院から出ていった。

その後、比佐志《ひさし》さんは大阪・京都方面行きの特急オーシャンアロー号に乗って逃げた。

この一件が原因で、比佐志《ひさし》さんとたまよの夫婦仲《なか》が険悪になったようだ。
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