大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【夜行列車】

時は、夕方5時半頃であった。

またところ変わって、三次市《みよし》の中心部を流れている西城川沿《かわぞ》いの河川敷にある公園にて…

私は、シカヌマさんと言う女性を知っている50代なかばの男性と公園で会った。

男性は、1945年の終戦当時は19歳であった。

男性はその当時、西条(東広島市)にある零細工場で働いていた。

私は、男性に対してシカヌマさんと言う女性のことをたずねた。

男性は、おだやかな声で『シカヌマさんを知ってるよ〜』と答えた。

私は、男性に対してこう言うた。

「そうですか…ご存知でしたね…実はですね…私は…シカヌマさんの知人の…ある女性を探しているのです…今、写真を出しますのでお待ち下さい。」

私は、ショルダーバッグの中からパスケースを取り出した。

その後、私はママがうつっている白黒写真を男性に見せながら言うた。

「あの…私は、この白黒写真《しゃしん》にうつっている女性を探しているのです…この方は、シカヌマさんの知人の女性なのです…あの、おぼえている範囲でかまいません…ヒントだけでもいいです…お願いいたします。」

男性は、私にこう言うた。

「ああ思い出した!!」
「えっ?」
「実は…シカヌマさんと…白黒写真《しゃしん》にうつっているその女性が…あの日の朝早くに西条駅《えき》にいたところを見たよ。」
「そ、それじゃあ…その白黒写真《しゃしん》にうつっている女性とシカヌマさんが広島方面へ向かったと言うことですか!?」
「そこまでは知らないけど…」

私は、パスケースをショルダーバッグにしまったあと男性にこう言うた。

「話かえますけど…あなたはあの日に西条駅にいましたね。」
「ええ…あの日は仕事が休みだったので、広島市にある実家へ帰省する予定でした…たしか…8時半発の下りの汽車に乗る予定でした。」
「その時にあなたは…あの恐ろしい黒煙をみたのですね。」
「はい。」

まさか…

男性から話を聞いた私は、より強い不安にかられた。

もしかしたら…

ママは…

シカヌマさんと一緒に…

広島で被ばくしたかもしれない…

………………

私は、男性に対してこう言うた。

「すみません、シカヌマさんのことをご存知の方はほかにいらっしゃいますか?」

男性は、ものすごく言いにくい声で私に言うた。

「さあ、それ以上のことはよくおぼえてないけど…そうだ…境港に行けばわかるのじゃないかな?」
「境港?」
「境港で暮らしている行商のばあさんがシカヌマさんとなかよしだったので…そのばあさんから話を聞いたら分かるよ。」
「分かりました。」

男性から話を聞いた私は、ショルダーバッグを持って再び旅に出た。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、夜10時過ぎであった。

私は、国鉄芸備線の各駅停車《どんこう》に乗って備後落合駅まで行った。

備後落合駅で列車を降りた私は、国道183号線を歩いて米子方面へ向かった。

とにかく急がなきゃ…

時間がない…
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