大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【やどかりの歌】

(ジャーン!!ジャーン!!ジャーン!!ジャンジャンジャンジャンジャンジャン!!ジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャン!!ワーッ!!ワーッ!!ワーッ!!)

時は、8月8日の午前11時半頃であった。

またところ変わって、広島競輪場にて…

場内にジャンがはげしく響いたと同時にスタンドにいる大ぜいの観客たちの大歓声があがった。

私は、競輪場の前にある広場を歩いていた。

広場には、テントがたくさん立っていた。

テントは、競輪場に来たおっちゃんたち相手の店やであった。

質屋さん・麺類やさん・のみやさん…

いろんな店が立ち並んでいた。

この時であった。

やきそばヘアと黒のサングラスでももけたはらまき姿の番頭《ばんと》はんが広場の真ん中に立っていたのを見た。

番頭《ばんと》はんは、なれなれしい声で私に言うた。

「ねえそこのニイチャン〜」
「なんぞ〜」
「いかがですか〜」
「いかがですかって?」
「ケーリンでおますがな〜」
「オレは今、急いでるのだよ!!」
「まあそんなこと言わずに、1レースでもいいからどうですか?」
「オレはケーリンしに来たのじゃねえんだよ!!ひとをさがしに来たのだよ!!」
「ひとをさがしにきたって?」
「番頭《ばんと》はん。」
「なんでおますか?」
「オレは今、ママを探しているのだよ!!」
「ママって…ああ、コリントはんがちいちゃい時に大好きだったキョウコはんのことでおますか?」
「そうだよ!!それともうひとり、ママの知り合いのシカヌマさんと言う女性を探しているのだよ!!」
「ああ、西条でお茶やをいとなんでいたあのババアか。」
「知ってるのかよ!!…それともうひとり、トーカイチマチで質屋さんをいとなんでいたシロキさんと言う女性も探しているのだよ!!」
「ああ、トーカイチの質屋のババアか…コリントさん…コリントさんは3人のうち、どなたに会いたいのかな?」
「一番に会いたいのはママだよ!!…だけど、ママの居場所を知っているのはシカヌマさんかシロキさんだけだよ!!どちらかを見つけないと、ママの居場所を特定することができないのだよ!!」
「ああ、さようでおますか〜」
「そう言うことで、オレは行くよ。」
「へぇ、お気をつけて。」

私は、ゆっくりとした足取りで番頭《ばんと》はんの元から離れた。

私は、時々あしを止めてはうしろをふりむいた。

もしかしたら…

番頭《ばんと》はんは…

ゆうべ私が公衆電話で電話をしていたところをみていたと思う…

まさか…

…………………………
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