大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)
【帰らざる日々】
時は、9月3日の午前11時頃であった。
この日、ママが暮らしている家の大広間で文金高島田《うちかけ》の試着が行われていた。
大広間にはママと婚礼衣装屋《いしょうや》の人たち4人と沙知代《さちよ》と和義《かずよし》がいた。
ものすごく不安げな表情を浮かべているママは、祝言《しゅうげん》で着用する文金高島田《うちかけ》の試着をしていた。
沙知代《さちよ》と和義《かずよし》は、満面の笑みでママの晴れ姿を見つめていた。
ものすごく不安げな表情を浮かべているママは、胎内《なか》にいるママに呼びかけた。
よーくん…
ママは…
今週末に…
東京へ行くのよ…
来週からは…
才之原《さいのはら》の家《おうち》で暮らすのよ…
よーくんは…
東京の生まれになるのよ…
よーくんは…
日本のガッコーへ通うのよ…
カナダに帰ることができなくなったのよ…
ごめんね…
さて、その頃であった。
家の前にいる女中さんは、ほうきを使って掃きそうじをしていた。
この時、電報の配達員が家にやって来た。
「城島《きじま》さん、電報です。」
「ご苦労さまです。」
電報を受け取った女中さんは、電報の内容を見た。
9ガツツイタチ…
オオジシンデサイノハラノ゙イエガカイメツシタ…
カゾク4ニンゼンインシボウシタ…
シュウゲンハチュウシニナリマシタ…
電報を打った人は、才之原《さいのはら》の奥さま方の親類の人だったと思う。
電報を読んだ女中さんは、大急ぎで家に入った。
家の中にて…
女中さんは、ものすごくあわてた様子で沙知代《さちよ》と和義《かずよし》に声をかけた。
「ダンナさま!!奥さま大変です!!」
沙知代《さちよ》は、怒った声で言うた。
「ちょっと、大きな声を出さないでよ!!」
「すみません!!あの…デンポーが届きました!!…これを診てください!!」
「あとにしてよ!!」
「今すぐ見てください!!」
和義《かずよし》は、めんどくさい声で言うた。
「分かった…見る…」
女中さんから電報を受け取った和義《かずよし》は『なんやいたずらか…』と言うたあと女中さんに電報を渡した。
沙知代《さちよ》は、困った表情で和義《かずよし》に言うた。
「あなた。」
「なんぞぉ〜」
「なんて書かれていたの?」
「大地震が発生したので、祝言《シュウゲン》は中止になりました…って…」
「ほんとうなの?」
「きょうこの結婚に不満を唱えている親類《モン》によるいやがらせだよ。」
「そうよね。」
和義《かずよし》は、女中さんに対して声をかけた。
「女中さん。」
「はい。」
「9月6日に出発する分の汽車の予約は取ったかな?」
この時、女中さんはスットンキョウな声をあげた。
「ああ!!忘れた!!」
沙知代《さちよ》は、怒った声で女中さんに言うた。
「あなた!!今までなにしていたのよ!?」
「すみませんでした…アレコレといそがしかったので汽車の予約を入れるのを忘れました〜」
「コラ!!」
「すみませんでした〜」
「急ぎなさい!!」
沙知代《さちよ》にどやされた女中さんは、大急ぎで電話がある場所へ向かおうとした。
(ジリリリリリリリン!!ジリリリリリリリン!!)
この時であった。
けたたましいベルが家中になりひびいた。
女中さんは、大急ぎで電話に出た。
「もしもし城島《きじま》でございます…しばらくお待ちくださいませ…奥さま!!電話です!!」
電話は、才之原《さいのはら》のご主人さまの戦友さんからであった。
沙知代《さちよ》は、女中さんから受話器を受け取ったあと話をした。
「もしもし代わりました…ああ、才之原《さいのはら》のご主人さまの戦友さまの奥さまですね…えっ?…デンポー?…さあ、聞いてませんけど…それよりも奥さま…9月8日はなんの日でしょうか?…テーコクホテルできょうこが祝言《シュウゲン》を挙げるのです…えっ?…中止になった?…そんなはずはないわよ…デンポーは受け取ったけど、あれはいたずらですよ…きょうこの結婚が決まったことに対するたんなるシットよ…えっ?…新聞を読んでないのですかって…もしもし…それは何月何日頃の新聞でしょうか!?…9月2日付け…ちょっと女中さんに聞いてみます…あんた!!」
「はいなんでしょうか?」
「9月2日付けの新聞があったら持って来て!!」
「すみません…今朝、クズヤサンに古新聞を出したのでありません…」
「なにやってるのよ!!」
「すみません!!」
「すみませんじゃないでしょ!!」
沙知代《さちよ》は、困った表情で受話器ごしにいる奥さまに言うた。
「あのもしもし…9月1日になにがあったのですか!?…東京で大地震があったのはほんとうですか!?…もしもし!!」
大パニックを起こした沙知代《さちよ》は、受話器ごしにいる奥さまに説明を求めた。
しかし、受話器ごしにいる奥さまも大パニックを起こしたので対応できなくなった。
9月1日の昼前に、東日本一帯でマグニチュード7・9に相当する巨大地震が発生した。
関東南部に甚大な被害が生じた…
才之原《さいのはら》の家が大火災でショウシツした…
その上に、家族4人全員が避難した先の公園で発生した大火の被害を受けて亡くなった…
知らせを聞いた沙知代《さちよ》は、よりひどい悲しみに包まれた。
これにより、ママと才之原《さいのはら》の長男との結婚は取りやめとなった。
和義《かずよし》と沙知代《さちよ》は、違う相手を選び直すことになった。
(ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ…)
時は、9月8日の午後1時過ぎであった。
またところ変わって、マンシュウリの駅の中にある貨物ヤードにて…
貨物ヤードに番頭《ばんと》はんがいた。
貨物列車のカーゴに特大サイズのコンテナが積み込まれていた。
特大サイズのコンテナの中にはアメリカドル紙幣が大量に入っていた。
才之原《さいのはら》の家の家族たち4人が大震災《しんさい》で亡くなった…
4人には、死亡時に20万円(今の金額で12億円)が支払われる生命保険9999兆9999億9999万9999口がかけられていた…
コンテナの中に入っているアメリカドル紙幣は、生保金であった。
午後5時半頃であった。
(プォー、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)
アメリカドル紙幣が大量に積み込まれている貨物列車がマンシュウリの駅からゆっくりと出発した。
番頭《ばんと》はんは、ニヤニヤした表情で出発した貨物列車を見つめた。
この日、ママが暮らしている家の大広間で文金高島田《うちかけ》の試着が行われていた。
大広間にはママと婚礼衣装屋《いしょうや》の人たち4人と沙知代《さちよ》と和義《かずよし》がいた。
ものすごく不安げな表情を浮かべているママは、祝言《しゅうげん》で着用する文金高島田《うちかけ》の試着をしていた。
沙知代《さちよ》と和義《かずよし》は、満面の笑みでママの晴れ姿を見つめていた。
ものすごく不安げな表情を浮かべているママは、胎内《なか》にいるママに呼びかけた。
よーくん…
ママは…
今週末に…
東京へ行くのよ…
来週からは…
才之原《さいのはら》の家《おうち》で暮らすのよ…
よーくんは…
東京の生まれになるのよ…
よーくんは…
日本のガッコーへ通うのよ…
カナダに帰ることができなくなったのよ…
ごめんね…
さて、その頃であった。
家の前にいる女中さんは、ほうきを使って掃きそうじをしていた。
この時、電報の配達員が家にやって来た。
「城島《きじま》さん、電報です。」
「ご苦労さまです。」
電報を受け取った女中さんは、電報の内容を見た。
9ガツツイタチ…
オオジシンデサイノハラノ゙イエガカイメツシタ…
カゾク4ニンゼンインシボウシタ…
シュウゲンハチュウシニナリマシタ…
電報を打った人は、才之原《さいのはら》の奥さま方の親類の人だったと思う。
電報を読んだ女中さんは、大急ぎで家に入った。
家の中にて…
女中さんは、ものすごくあわてた様子で沙知代《さちよ》と和義《かずよし》に声をかけた。
「ダンナさま!!奥さま大変です!!」
沙知代《さちよ》は、怒った声で言うた。
「ちょっと、大きな声を出さないでよ!!」
「すみません!!あの…デンポーが届きました!!…これを診てください!!」
「あとにしてよ!!」
「今すぐ見てください!!」
和義《かずよし》は、めんどくさい声で言うた。
「分かった…見る…」
女中さんから電報を受け取った和義《かずよし》は『なんやいたずらか…』と言うたあと女中さんに電報を渡した。
沙知代《さちよ》は、困った表情で和義《かずよし》に言うた。
「あなた。」
「なんぞぉ〜」
「なんて書かれていたの?」
「大地震が発生したので、祝言《シュウゲン》は中止になりました…って…」
「ほんとうなの?」
「きょうこの結婚に不満を唱えている親類《モン》によるいやがらせだよ。」
「そうよね。」
和義《かずよし》は、女中さんに対して声をかけた。
「女中さん。」
「はい。」
「9月6日に出発する分の汽車の予約は取ったかな?」
この時、女中さんはスットンキョウな声をあげた。
「ああ!!忘れた!!」
沙知代《さちよ》は、怒った声で女中さんに言うた。
「あなた!!今までなにしていたのよ!?」
「すみませんでした…アレコレといそがしかったので汽車の予約を入れるのを忘れました〜」
「コラ!!」
「すみませんでした〜」
「急ぎなさい!!」
沙知代《さちよ》にどやされた女中さんは、大急ぎで電話がある場所へ向かおうとした。
(ジリリリリリリリン!!ジリリリリリリリン!!)
この時であった。
けたたましいベルが家中になりひびいた。
女中さんは、大急ぎで電話に出た。
「もしもし城島《きじま》でございます…しばらくお待ちくださいませ…奥さま!!電話です!!」
電話は、才之原《さいのはら》のご主人さまの戦友さんからであった。
沙知代《さちよ》は、女中さんから受話器を受け取ったあと話をした。
「もしもし代わりました…ああ、才之原《さいのはら》のご主人さまの戦友さまの奥さまですね…えっ?…デンポー?…さあ、聞いてませんけど…それよりも奥さま…9月8日はなんの日でしょうか?…テーコクホテルできょうこが祝言《シュウゲン》を挙げるのです…えっ?…中止になった?…そんなはずはないわよ…デンポーは受け取ったけど、あれはいたずらですよ…きょうこの結婚が決まったことに対するたんなるシットよ…えっ?…新聞を読んでないのですかって…もしもし…それは何月何日頃の新聞でしょうか!?…9月2日付け…ちょっと女中さんに聞いてみます…あんた!!」
「はいなんでしょうか?」
「9月2日付けの新聞があったら持って来て!!」
「すみません…今朝、クズヤサンに古新聞を出したのでありません…」
「なにやってるのよ!!」
「すみません!!」
「すみませんじゃないでしょ!!」
沙知代《さちよ》は、困った表情で受話器ごしにいる奥さまに言うた。
「あのもしもし…9月1日になにがあったのですか!?…東京で大地震があったのはほんとうですか!?…もしもし!!」
大パニックを起こした沙知代《さちよ》は、受話器ごしにいる奥さまに説明を求めた。
しかし、受話器ごしにいる奥さまも大パニックを起こしたので対応できなくなった。
9月1日の昼前に、東日本一帯でマグニチュード7・9に相当する巨大地震が発生した。
関東南部に甚大な被害が生じた…
才之原《さいのはら》の家が大火災でショウシツした…
その上に、家族4人全員が避難した先の公園で発生した大火の被害を受けて亡くなった…
知らせを聞いた沙知代《さちよ》は、よりひどい悲しみに包まれた。
これにより、ママと才之原《さいのはら》の長男との結婚は取りやめとなった。
和義《かずよし》と沙知代《さちよ》は、違う相手を選び直すことになった。
(ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ…)
時は、9月8日の午後1時過ぎであった。
またところ変わって、マンシュウリの駅の中にある貨物ヤードにて…
貨物ヤードに番頭《ばんと》はんがいた。
貨物列車のカーゴに特大サイズのコンテナが積み込まれていた。
特大サイズのコンテナの中にはアメリカドル紙幣が大量に入っていた。
才之原《さいのはら》の家の家族たち4人が大震災《しんさい》で亡くなった…
4人には、死亡時に20万円(今の金額で12億円)が支払われる生命保険9999兆9999億9999万9999口がかけられていた…
コンテナの中に入っているアメリカドル紙幣は、生保金であった。
午後5時半頃であった。
(プォー、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)
アメリカドル紙幣が大量に積み込まれている貨物列車がマンシュウリの駅からゆっくりと出発した。
番頭《ばんと》はんは、ニヤニヤした表情で出発した貨物列車を見つめた。