大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【さよならさざんか】

時は流れて…

9月22日の午前10時半頃であった。

ところ変わって、喜多郡内子町の中心地にある薬問屋・溝端屋《みぞはたや》の前にて…

店の前にいる丁稚《でっち》どんが木の桶とヒシャクを使って打ち水をしていた。

そこへ、ももけた(ボロい)ハラマキ姿の番頭《ばんと》はんが口笛を吹きながら帰って来た。

打ち水をしていた丁稚《でっち》どんがおたついた声で番頭《ばんと》はんに言うた。

「あっ…番頭《ばんと》はん…番頭《ばんと》はん!!」

番頭《ばんと》はんは、のんきな声で丁稚《でっち》どんに言うた。

「今けえったぞ〜」

丁稚《でっち》どんは、オタついた声で番頭《ばんと》はんに言うた。

「番頭《ばんと》はん!!きのうまでどちらへ行ってたのですか!?ダンナはんが呼んでますよ!!」

番頭《ばんと》はんは、のんきな声で『分かってるよ〜』と言うたあと口笛をふきながら店の中に入った。

丁稚《でっち》どんは、ものすごくいらついた声で『はよしてください!!』と言うた。

番頭《ばんと》はんは、ものすごくのんきな声で『分かってるよ〜』と言うた。

またところ変わって、屋敷の奥にあるダンナの部屋にて…

部屋にダンナと二岡と田嶋《たじま》と小林と山岡の5人がいた。

部屋の外から番頭《ばんと》はんの声が聞こえた。

「ダンナ…ただいまマンシュウリからけえってまいりやした。」
「あっ、帰って来たか…入れ。」
「へえ。」

(ガラッ…)

番頭《ばんと》はんは、ゆっくりふすまをあけたあと部屋に入った。

その後、ゆっくりとふすまをしめた。

ダンナは、部屋に入った番頭《ばんと》はんに対して『まあ楽にせえや。』と言うた。

番頭《ばんと》はんは、楽な姿勢でダンナの前に座った。

ダンナは、番頭《ばんと》はんに対して声をかけた。

「竹宮。」
「へえ。」
「例のアレは、どうなった?」
「へえ…マンシュウリの駅で貨物列車に載せかえました…貨物列車は、陸路ソヴィエト経由でフィンランドに入ったあと…スウェーデン・アイスランド経由で最終目的地に移しました…最終目的地には…日本時間のおとといの夕方に到着しやした。」
「よくやった…これで才之原《さいのはら》の家は完全にほろんだ…」
「しかし、まだきょうこは…城島《きじま》の家にヨクリュウされています。」
「まだ…きょうこは救出されていないのか…」
「へえ。」
「それは困るな…それと、プリンスエドワード島の療養所《サナトリウム》に移ったセヴァスチャンじいさんは、まだ持ちこたえているのか?」
「今のところは大丈夫です。」
「そうか…だが、セヴァスチャンじいさんは長くてもあと3〜4年しか生きることができない…一刻も早くきょうこを救出しなければならんぞ!!…ジナさんたちは大丈夫だろうか…」

ダンナは、ものすごくおたついた表情で言うた。

さて、その頃であった。

またところ変わって、今治市通町《しないとおりまち》にある大型和風建築の家にて…

家の大広間にママの家の家族たち5人と仲人さん夫婦がいた。

仲人さん夫婦は、沙知代《さちよ》の幼なじみであった。

この時、ママの結婚相手《おあいて》が決まった。

ママの結婚相手《おあいて》に決まった人は、越智郡玉川町の竜岡《りゅうおか》にある農家の次男坊であった。

沙知代《さちよ》と和義《かずよし》は、結婚相手《おあいて》をムコヨウシにすると決めた。

祝言《しゅうげん》の日は、9月29日に決まった。

この時であった。

家の庭に丁稚《でっち》どんが隠れていた。

丁稚《でっち》どんは、えんぴつでメモ書きしながら双方の会話を聞いていた。

時は、夜7時半頃であった。

またところ変わって、溝端屋《みぞはたや》の丁稚《でっち》どんたちが集まる居間にて…

居間には、番頭《ばんと》はんと20人の丁稚《でっち》どんたちと子守女《こもりめ》さん一人がいた。

番頭《ばんと》はんは、子守女《こもりめ》さんに砥部焼のお茶わんを差し出しながら『おかわり』と言うた。

子守女《こもりめ》さんは『へえ。』と言うたあと砥部焼のお茶わんに白いごはんをついだ。

子守女《こもりめ》さんは、白いごはんが入っているお茶わんを番頭《ばんと》はんに渡した。

「ありがとう。」

番頭《ばんと》はんは、ひとことも言わずにごはんを食べつづけた。

それから8分後であった。

丁稚《でっち》どんたちは『ごちそうさまでした〜』と言うたあと席から離れた。

番頭《ばんと》はんは、食後のお茶をのんでいた。

そこへ、別の子守女《こもりめ》さんが居間にやって来た。

居間にやって来た子守女《こもりめ》さんは、番頭《ばんと》はんに対して『ダンナさまがお呼びです。』と言うた。

番頭《ばんと》はんは『分かった…今行く…』と言うたあと食卓から離れた。

またところ変わって、ダンナの部屋にて…

部屋にはダンナと二岡と田嶋《たじま》と小林と山岡と丁稚《でっち》どんがいた。

部屋の外から番頭《ばんと》はんの声が聞こえた。

「ダンナ、おまたせしやした。」
「おう、入れ。」

(ガラッ…)

番頭《ばんと》はんは、ゆっくりとふすまをあけたあと『失礼しやす〜』と言うた。

部屋に入った番頭《ばんと》はんは、ゆっくりとふすまをしめた。

ダンナは、番頭《ばんと》はんに対して『楽にせえや。』と言うた。

番頭《ばんと》はんは、楽な姿勢でダンナの前に座った。

その後、ダンナは丁稚《でっち》どんに声をかけた。

「おい頓松《とんまつ》!!」
「へえ。」
「今日、今治《むこう》で聞いた話を報告しろ!!」
「分かりやした。」

丁稚《でっち》どんは、ダンナたちに昼前聞いた話をすべて話した。

ひと通り話を聞いたダンナは『わかった〜』と言うたあと丁稚《でっち》どんに対して『持ち場へ戻れ!!』と言うた。

丁稚《でっち》どんは、部屋から出たあと持ち場ヘ戻った。

このあと、ダンナたちは密談を始めた。

ダンナは、番頭《ばんと》はんに声をかけた。

「竹宮。」
「へえ。」
「頓松《とんまつ》は、9月29日に祝言《しゅうげん》を挙げると言うていたな!!」
「へえ。」
「祝言《しゅうげん》を挙げる場所は、奥鈍川《にぶかわ》にある高級旅館だったな!!」
「へえ、そう言うてました。」
「よし分かった…話を変えるけど、きょうこのムコに決まった和田山孝平《わだやまこうへい》は農家の次男坊だったな!!」
「へえ。」
「あのヤローはたしか、ワシらに対してたきつけたことがあったな。」

田嶋《たじま》は、不気味な声で『ああ…間違いない…』と言うた。

小林は、怒った声で言うた。

「ダンナ!!どないしまっか!?」

ダンナは、怒った声で言うた。

「ちょうどええわ…あの高級旅館は、温泉街からうんと遠くにあったな…こうなったら…奥の手を使うぞ!!」

このあと、ダンナたちはうすぐらい灯りが灯る部屋で話し合いをすすめた。
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