大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)
第51話・迷い道
【迷い道】
「オラオドレ!!わしや!!竹宮だ!!」
となりの部屋から溝端屋の番頭《ばんと》はんの怒鳴り声が聞こえた。
こわい…
なんで溝端屋の番頭《ばんと》はんがとなりの部屋にいるのだ…
私は、ふとんの中でおびえていた。
番頭《ばんと》はんは、どこへ電話をかけているのだ…
たぶん…
番頭《ばんと》はんに暴行を加えた…
例のモラハラ顔の男の家にかけていると思う…
布団の中にいる私は、番頭《ばんと》はんの会話を息をひそめた状態で聞いた。
「奥さん、関係ないと言うて逃げたらどうなるのか分かってるのか!?」
奥さん…
…………………………
番頭《ばんと》はんは、あのヤローの一番上の兄の家に電話をかけていると思う。
一番上の嫂《おねえ》は、番頭《ばんと》はんに対して『やめてください!!』と言うたあと電話を切ろうとした。
番頭《ばんと》はんは、ものすごく怒った声であのヤローの一番上の嫂《おねえ》に怒った声で言うた。
「おい、知りませんと言うたあと電話を切ったらどないなるのか分かっとんか!?…義理とはいえきょうだいであることに変わりはねえんだよ!!…あんたの義弟に貸した5000万を踏み倒して逃げた…その上に、わしに殴るけるの暴行を加えた…その後、スタコラサッサと逃げた…おいオドレ!!わしの用心棒《ケツモチ》は長州組だぞ!!オドレの義弟《おとうと》は、長州組《うちのくみ》に宣戦布告をしたのだぞ!!コラ!!わしの声が聞こえないのか!?」
ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…
こわい…
布団の中にいる私は、ひどくおびえまくった。
………………………
時は、8月20日の朝8時半頃であった。
またところ変わって、国電佐世保駅付近にある魚市場《いちば》にて…
私は、魚市場《いちば》に仕入れに来た行商のおばちゃんと話をしていた。
行商のおばちゃんは、カナクラのことを知ってると私に言うた。
「あんたのおっかさんのボーイフレンドのカナクラのことは知ってるよ。」
「あっ、カナクラさんのことをご存じでしたか…おばちゃんはあの当時、どちらで暮らしていたのですか?」
「佐世保市内《しない》にいたよ…うちは生まれてから今までのあいだここから一歩も出ていないよ〜」
「そうですか…カナクラさんはよく佐世保《このまち》に来ていたのですか?」
「来ていたよ…貿易商のお仕事でね。」
行商のおばちゃんは、しかめた表情で私に言うた。
「カナクラは貿易商をいとなんでいたと言うけど、それはタテマエよ!!」
「タテマエ?…それじゃあ、カナクラさんは…」
「言わなくても分かるわよ…あの男は札つきのワルよ!!」
「札つきのワル…」
「だからあの日(昭和20年8月9日)、ピカドンを喰らったのよ。」
「それじゃあ、カナクラさんは亡くなられたのですね。」
「そうよ…カナクラはなにをやってもダメ男よ!!」
「なにをやってもダメ男…」
「あの男は、何百人の女性をだました極悪サギ師よ!!」
「それじゃあ、母はなんでカナクラのガールフレンドになったのだ?」
「カナクラは、あんたのおっかさんがもっていると思われるアレ(イワマツの財産一式)がほしいのよ…カナクラはアレをいただくためにあんたのおっかさんのボーイフレンドになったのよ…ただそれだけよ!!」
「それでは、カナクラさんが貿易商を営んでいたと言うのは…」
「デタラメ大ウソよ!!」
「デタラメ大ウソ!?」
行商のおばちゃんは、ポーチの中からハイライト(たばこ)の箱を取り出した。
その後、箱からたばこを取り出して口にくわえた。
その後、マッチでつけた火をたばこにつけたあと一服くゆらせた。
そのあいだに、おばちゃんは私にカナクラの悪口を言うた。
「カナクラは、自分が温室育ちであると言うことが分からない大バカ者よ!!」
「温室育ちであることが分からない大バカ者…」
「あの男の生まれは、京都にある大富豪の家の末っ子だったのよ…遅くに産まれた末っ子だったので…主人が過度に甘やかしたのよ。」
「お母さまは?」
「カナクラの実母は、主人に犯されたゲイシャさんよ。」
「ゲイシャさん?」
「ゲイシャさんは、デイスイしていた主人にレイプされたのよ…」
「実のお母さまは、どうなされているのですか?」
「死んだよ…赤ちゃんを取られたことを苦に入水《いのちをたったの》よ。」
「入水《いのちをたった》…」
「主人は、カナクラと他の子どもたちを差別した…他の子どもたちには八つ当たりするなど暴力をふるった…」
「カナクラはデキアイされた…」
「そうよ。」
「それじゃあ、なんでカナクラはカンドーされたのですか?」
「言わなくてもわかるでしょ…せっかく入ることができた(旧制)中学を勝手にやめたあと家出したのよ…その後、戸籍《せき》を抜かれたのよ!!」
「なんとも言えん…」
「フツーに中学に行ってたら、人生の選択肢がいっぱいあったのに…あの男は…自分の一生をダイナシにしたのよ…だから極悪人になったのよ!!」
「なんとも言えん…」
……………………………
(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)
時は、午前10時過ぎであった。
私は、国電佐世保駅から博多方面へ行く各駅停車《どんこう》に乗って再び旅に出た。
座席に座っている私は、ウォークマンで歌を聴きながら考え事をしていた。
イヤホンから渡辺真知子さんの歌で『迷い道』が流れていた。
行商のおばちゃんからカナクラが極悪人であったことを聞いた私は、ひどく動揺した。
この時、私は大番頭《おおばんと》はんたちの居場所を知られたのではないかと感じた。
そうなれば、すべてがパーになってしまう…
カナクラがあの日(昭和20年8月9日)、長崎に投下された恐ろしい爆弾に巻き込まれて死亡した…
もう一人、イワマツの財産一式がほしいと言うた男がいたが、その男の身元が分からない…
一体、どう言うことだ…
イワマツグループとイワマツ家の財産書に記載されている財産一式と仕事に必要な資格と終始博士号とアメリカ三軍の最高位…がないと仕事ができない…
大番頭《おおばんと》はんたちがいないと困る…
……………………
急がないと、大変なことになるぞ!!
となりの部屋から溝端屋の番頭《ばんと》はんの怒鳴り声が聞こえた。
こわい…
なんで溝端屋の番頭《ばんと》はんがとなりの部屋にいるのだ…
私は、ふとんの中でおびえていた。
番頭《ばんと》はんは、どこへ電話をかけているのだ…
たぶん…
番頭《ばんと》はんに暴行を加えた…
例のモラハラ顔の男の家にかけていると思う…
布団の中にいる私は、番頭《ばんと》はんの会話を息をひそめた状態で聞いた。
「奥さん、関係ないと言うて逃げたらどうなるのか分かってるのか!?」
奥さん…
…………………………
番頭《ばんと》はんは、あのヤローの一番上の兄の家に電話をかけていると思う。
一番上の嫂《おねえ》は、番頭《ばんと》はんに対して『やめてください!!』と言うたあと電話を切ろうとした。
番頭《ばんと》はんは、ものすごく怒った声であのヤローの一番上の嫂《おねえ》に怒った声で言うた。
「おい、知りませんと言うたあと電話を切ったらどないなるのか分かっとんか!?…義理とはいえきょうだいであることに変わりはねえんだよ!!…あんたの義弟に貸した5000万を踏み倒して逃げた…その上に、わしに殴るけるの暴行を加えた…その後、スタコラサッサと逃げた…おいオドレ!!わしの用心棒《ケツモチ》は長州組だぞ!!オドレの義弟《おとうと》は、長州組《うちのくみ》に宣戦布告をしたのだぞ!!コラ!!わしの声が聞こえないのか!?」
ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…
こわい…
布団の中にいる私は、ひどくおびえまくった。
………………………
時は、8月20日の朝8時半頃であった。
またところ変わって、国電佐世保駅付近にある魚市場《いちば》にて…
私は、魚市場《いちば》に仕入れに来た行商のおばちゃんと話をしていた。
行商のおばちゃんは、カナクラのことを知ってると私に言うた。
「あんたのおっかさんのボーイフレンドのカナクラのことは知ってるよ。」
「あっ、カナクラさんのことをご存じでしたか…おばちゃんはあの当時、どちらで暮らしていたのですか?」
「佐世保市内《しない》にいたよ…うちは生まれてから今までのあいだここから一歩も出ていないよ〜」
「そうですか…カナクラさんはよく佐世保《このまち》に来ていたのですか?」
「来ていたよ…貿易商のお仕事でね。」
行商のおばちゃんは、しかめた表情で私に言うた。
「カナクラは貿易商をいとなんでいたと言うけど、それはタテマエよ!!」
「タテマエ?…それじゃあ、カナクラさんは…」
「言わなくても分かるわよ…あの男は札つきのワルよ!!」
「札つきのワル…」
「だからあの日(昭和20年8月9日)、ピカドンを喰らったのよ。」
「それじゃあ、カナクラさんは亡くなられたのですね。」
「そうよ…カナクラはなにをやってもダメ男よ!!」
「なにをやってもダメ男…」
「あの男は、何百人の女性をだました極悪サギ師よ!!」
「それじゃあ、母はなんでカナクラのガールフレンドになったのだ?」
「カナクラは、あんたのおっかさんがもっていると思われるアレ(イワマツの財産一式)がほしいのよ…カナクラはアレをいただくためにあんたのおっかさんのボーイフレンドになったのよ…ただそれだけよ!!」
「それでは、カナクラさんが貿易商を営んでいたと言うのは…」
「デタラメ大ウソよ!!」
「デタラメ大ウソ!?」
行商のおばちゃんは、ポーチの中からハイライト(たばこ)の箱を取り出した。
その後、箱からたばこを取り出して口にくわえた。
その後、マッチでつけた火をたばこにつけたあと一服くゆらせた。
そのあいだに、おばちゃんは私にカナクラの悪口を言うた。
「カナクラは、自分が温室育ちであると言うことが分からない大バカ者よ!!」
「温室育ちであることが分からない大バカ者…」
「あの男の生まれは、京都にある大富豪の家の末っ子だったのよ…遅くに産まれた末っ子だったので…主人が過度に甘やかしたのよ。」
「お母さまは?」
「カナクラの実母は、主人に犯されたゲイシャさんよ。」
「ゲイシャさん?」
「ゲイシャさんは、デイスイしていた主人にレイプされたのよ…」
「実のお母さまは、どうなされているのですか?」
「死んだよ…赤ちゃんを取られたことを苦に入水《いのちをたったの》よ。」
「入水《いのちをたった》…」
「主人は、カナクラと他の子どもたちを差別した…他の子どもたちには八つ当たりするなど暴力をふるった…」
「カナクラはデキアイされた…」
「そうよ。」
「それじゃあ、なんでカナクラはカンドーされたのですか?」
「言わなくてもわかるでしょ…せっかく入ることができた(旧制)中学を勝手にやめたあと家出したのよ…その後、戸籍《せき》を抜かれたのよ!!」
「なんとも言えん…」
「フツーに中学に行ってたら、人生の選択肢がいっぱいあったのに…あの男は…自分の一生をダイナシにしたのよ…だから極悪人になったのよ!!」
「なんとも言えん…」
……………………………
(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)
時は、午前10時過ぎであった。
私は、国電佐世保駅から博多方面へ行く各駅停車《どんこう》に乗って再び旅に出た。
座席に座っている私は、ウォークマンで歌を聴きながら考え事をしていた。
イヤホンから渡辺真知子さんの歌で『迷い道』が流れていた。
行商のおばちゃんからカナクラが極悪人であったことを聞いた私は、ひどく動揺した。
この時、私は大番頭《おおばんと》はんたちの居場所を知られたのではないかと感じた。
そうなれば、すべてがパーになってしまう…
カナクラがあの日(昭和20年8月9日)、長崎に投下された恐ろしい爆弾に巻き込まれて死亡した…
もう一人、イワマツの財産一式がほしいと言うた男がいたが、その男の身元が分からない…
一体、どう言うことだ…
イワマツグループとイワマツ家の財産書に記載されている財産一式と仕事に必要な資格と終始博士号とアメリカ三軍の最高位…がないと仕事ができない…
大番頭《おおばんと》はんたちがいないと困る…
……………………
急がないと、大変なことになるぞ!!