大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【真夜中】

話は【天草ひとり】からつづく。

時は、8月23日の深夜11時20分頃であった。

またところ変わって、天草市港町にある旅館の部屋にて…

テーブルの上にはケータイラジオとイベント会場のバザーで売れ残った幕の内弁当と清酒大関の300ミリリットルのワンカップと熊本県の郷土料理・からしレンコンのてんぷらと黒のラッションペンとメモパッドが置かれていた。

ラジオのスピーカーからNHKラジオ第一放送で放送されていた『夢のハーモニー』が流れていた。

私は、幕の内弁当とからしレンコンのてんぷらをさかなにワンカップ大関をのんでいた。

ごはんを食べたら早く寝よう…

…………………

そう思っていた時であった。

(ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!)

この時、部屋に置かれている四角形の手回しハンドルがついている黒電話のベルが鳴り響いた。

私は、ワンカップ大関をのんだあとラッションペンとメモパッドを手に取った。

「はいはい出ますよ〜」

私は、受話器を取ったあと話をした。

電話は、おかみからであった。

「はいイワマツです…あっ、おかみ。」
『イワマツさま、お電話がかかっています。』
「どちらからですか?」
『韓国人の女性さまからです…ひどくソワソワとなされていますけど…』

もしかしたら…

ドナ姐《ねえ》はん?…

私は、受話器の向こうにいるおかみに対して『すぐにつないでください!!』とたのんだ。

…………………………

またところ変わって、東予市の山沿いにある世田薬師の駐車場にて…

クリーム色のサマーコート姿のドナ姐《ねえ》はんは、ひどくソワソワとしていた。

受話器のスピーカーから私の声が聞こえた。

『もしもし!!もしもし!!ドナ姐《ねえ》はん!?ドナ姐《ねえ》はん!?』

ドナ姐《ねえ》はんは、不安げな声で私に言うた。

「よーくん、よーくんいまどこにいるの!?」
『天草市《あまくさ》…天草市《あまくさ》だよ!!」
「よーくんは天草にいるのね…ちょっと待って!!」

ドナ姐《ねえ》はんは、ひどくソワソワした表情であたりを見渡した。

受話器のスピーカーから私の声が聞こえた。

『もしもしドナ姐《ねえ》はん!!』
「よーくん。」
『ドナ姐《ねえ》はん!!ドナ姐《ねえ》はんはどこにいるの!?…もしもし!!』

ドナ姐《ねえ》はんは、前にあるボートを見ながら言うた。

「ドナいま…世田薬師にいるの…」

天草の旅館にて…

電話の応対をしている私は、困った表情で言うた。

「世田薬師…世田薬師って、(東予市)河原津の山の方じゃないか…なんでそんなところにドナ姐《ねえ》はんがいるの!?」

受話器の向こうにいるドナ姐《ねえ》はんは、切羽つまった声で『ちょっと待って!!』と言うたあとまたあたりをキョロキョロと見渡した…と思う。

私は、受話器の向こうにいるドナ姐《ねえ》はんに声をかけた。

「もしもしドナ姐《ねえ》はん…ドナ姐《ねえ》はん!!」

受話器の向こうにいるドナ姐《ねえ》はんは、切羽つまった声で私に言うた。

『もしもしよーくん…今からよーくんに話すことがあるからメモして…』
「うん分かった。」
『よーくん…きょうの午後…湯ノ浦のケーオーホテルで…よーくんのママとよく似た女を見かけたわよ。』
「なんだって?」

世田薬師の駐車場にある電話ボックスにて…

ドナ姐《ねえ》はんは、受話器ごしにいる私に言うた。

「よーくんに伝えたいことはそれだけよ…ドナ、今から韓国へ行くから…」
『韓国へ行く!?』
「ジナ姐《ねえ》ちゃんを探しに行くのよ!!」
『マァマを探しに行くって!?』
「よーくん、ドナは大番頭《おおばんと》はんたちとジナ姐《ねえ》ちゃんを見つけに行くから…大番頭《おおばんと》はんたちとジナ姐《ねえ》ちゃんが見つかるまでのあいだ、待っていてね…それじゃあ…」

(ガチャーン!!)

ドナ姐《ねえ》はんは、そこで電話を切った。

天草の旅館にて…

私は、受話器の向こうにいるドナ姐《ねえ》はんを呼びつづけた。

「ドナ姐《ねえ》はん…ドナ姐《ねえ》はん!!」

(ツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツーツー…)

…………………………

またところ変わって、世田薬師の駐車場にて…

ドナ姐《ねえ》はんは、黒の大きめサイズのサックスバーのスーツケースを持って電話ボックスから出たあと壬生川方面へ向かって歩いた。

……………………………

天草の旅館にて…

私は、小首をかしげながら受話器をゆっくりと置いた。

……………………

ドナ姐《ねえ》はんは…

なんで世田薬師の駐車場にある電話ボックスから電話をかけたのか?

……………………

ドナ姐《ねえ》はんは…

なんでひどくソワソワとしていたのか?

……………………

まさか…

……………………

私がひどく動揺していた時であった。

(ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!)

また電話のベルが鳴ったので、私は受話器をあげた。

「はいイワマツです。」

電話はおかみからであった。

おかみは、私に対して『男の人から電話です。』と言うた。

私は『つないでください。』とたのんだ。

このあと、私の身体にものすごく激しいセンリツが襲いかかるのであった。
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