大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【かもめはかもめ・その3】

またところ変わって、三原駅の前にある広場にて…

私は、四角の水色のコイン投入式のプッシュホンにかかってきた電話の応対をしていた。

電話は、大三島で暮らしている哲也の友人のひとりからかかってきた。

「分かりました…モチュウのために欠席で返信しましたね…ありがとうございました〜…おやすみなさいませ〜」

(ガチャ…)

私は、受話器をおいたあと青のラッションペンでカクニンがとれた人の欄に『モチュウ』と書いた。

まだ返信していない人が何人かいると思う…

まだの人は早く返信してよ…

………………………

(チャリンチャリンチャリンチャリン…カチカチカチカチ…)

またところ変わって、ジャスコの近くにある電話ボックスにて…

私は、だいだい色の四角のコイン投入式のプッシュホンのコイン投入口に10円玉を8枚入れたあとボタンを押した。

またところ変わって、大山祇神社《じんじゃ》の参道沿いの商店街にある旅館にて…

(ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!)

部屋の中にある四角の手回しハンドルがついている黒電話のベルが鳴り響いた。

電話に出たのは、昼前に大山祇神社《じんじゃ》で会った啖呵売《テキヤ》のおっちゃんであった。

「もしもし…ああ、昼前に会ったコリントさん…」

ところ変わって、三原港の近くにあるジャスコの前にて…

電話ボックスにいる私は、受話器の向こうにいる啖呵売《テキヤ》のおっちゃんに話した。

「もしもしおっちゃん…オレ、ウテナダムであったおばちゃんが衝撃的な事実を話したんだよ…おっちゃんは、口総《くちすぼ》にあった庄屋の家のこと知ってたの?」
「知ってるよ〜…小芝の家のことは大三島《しま》じゅうのひとたちはみんな知ってるよ〜」
「知ってたんだね…ちょっと待って…」

私は、うしろをふりかえったあとあたりを見渡した。

その後、再び話をした。

「もしもしおっちゃん…オレ…三原の港の前にあるジャスコの付近にいる…そこの電話ボックスから電話をかけているのだよ…それよりもおっちゃんに聞くけど、ママの名前を勝手に使っていた小芝イチカと言う女のことで2〜3ほどたずねたいことがあるのだよ…おっちゃん聞いてる?」
「ああ、聞いてるよ…小芝イチカは、セバスチャンじいさんのノチゾエだったと言う説があるかもしれない…と言ううわさがあるのだよ〜」

私は、ややおどろいた表情で言うた。

「ノチゾエ…おっちゃん、それはほんとうの話?」
「ほんとうにほんとうだよ〜」
「おっちゃん、その話はどこで聞いたの?」
「どこでって?」
「おっちゃん!!でたらめ言うたらいかんねん!!」
「でたらめじゃないよ〜、ほんとうだよ〜…セバスチャンじいさんは、ノチゾエさんのほかにも数百から数千のテカケはんたらがいたのだよ〜」
「…ってことは、ノチゾエさんやテカケはんたちに子がたくさんいると言うことよね〜」
「そうだよ〜」
「ききずてならん話だな…もう一度おっちゃんに聞くけど、小芝イチカはセバスチャンじいさんのどっちになるの?…ノチゾエさんかテカケはんのどちらかだよ…ちょっと待って…」

私は、再びあたりを見渡した。

その後、再び話をした。

「どうしたのって…人通りが少ないのでまわりが気になったのだよ…だから!!もしかしたらオレとおっちゃんが電話しているようすを聞き耳たてて聞いてるやつがいるかもしれないのだよ…それを警戒しているのだよ…それともう一点…ママの名前を勝手に使っている極悪女《おんな》と一緒にいたシカヌマと言う女のことだけど…トーカイチマチにシロキの質屋があったことは知ってる?…ええ…広島市中区のトーカイチマチです。」

(チャリンチャリンチャリンチャリンチャリン…)

私は、10円玉を6枚入れたあと話をした。

「おっちゃん、オレ、シカヌマさんがえげつないことをしていた話を聞いたのだよ…いつって…昭和20年の8月13日…終戦の2日前だけど…その日にシカヌマさんが山口にいるシロキさんの実家に居座った事件を起こしたのだよ…アレ(イワマツの財産一式)が記載されているモクロクを質入れしてカネを借りようとしたのだよ!!…そうだよ…おっちゃんはこう言うと思う…『戦時下末期で食うのに困っていたから仕方ないことだよ〜』と…」
「あの頃は戦時下末期だったからよくある風景だったよ〜…シカヌマのババァもくうもんに困っていたのだよ〜」
「おっちゃん、セバスチャンじいさんがこのことを聞いたらどうなると思う?…おそらくソットーすると思うけど…もしもしおっちゃん…おっちゃん!!」

この時であった。

トレンチコート姿の黒のサングラス男が電話ボックスにやって来た。

サングラス男は、平手打ちでアクリル板をバーンとたたいた。

やめてくれ〜…

やめてくれ〜…

「もしもしおっちゃん!!今それどころじゃないのだよ!!…うしろに2〜3人の人がならんでいて…前の人がイライラしているのだよ!!…おっちゃん!!」

(ギイ…ぐい!!)

サングラス男は、ドアを開けたあと私のえり首をつかんだあと怒った声で言うた。

「コラコリント!!」
「いたいいたいいたいいたいいたいいたい!!」
「三原駅《えき》の前の電話ボックスのベルがじゃんじゃん鳴っていたぞ!!」
「分かった分かった!!いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい!!」

またところ変わって、三原駅《えき》の前の広場にある電話ボックスにて…

私は、電話機にかかってきた電話の応対をしていた。

電話は、哲也の友人のひとりからであった。

「分かりました…欠席で返信しましたね…はい、はい…夜分遅くにお手間を取らせてもうしわけございませんでした〜…おやすみなさいませ〜」

(ガチャ…)

私は、受話器を置いたあと青のラッションペンでメモ書きをした。

これで、哲也の友人知人たちの大部分が返信はがきを出した…と言うことで一応おわった。

……………………
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