大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【夕暮れ時はさびしそう】

時は、夕方5時55分頃であった。

またところ変わって、川之江市川原町《しないかわはらまち》にある川之江港《みなと》にて…

空は、真赤に染まっていた。

私は、泣きそうな表情で海をみつめながらNSPの歌で『夕暮れ時はさびしそう』を歌っていた。

私がいる場所から300メートル先にかわいいエプロン姿の主婦と3人の子どもたちがいた。

この時、背広姿の男性が妻子4人のもとへ帰って来た。

「ただいま〜」
「あなた、お帰りなさい〜」
「パパ〜」

妻子4人と男性は、このあと家路へ向かった。

………………………

いいな〜…

帰りを待ってくださる妻子《かぞく》がいるのはいいな〜…

私には…

妻子がいない…

帰る家がない…

どこへ行っても…

安心して暮らすことができる場所がない…

…………………………

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

時は、夜7時55分頃であった。

またところ変わって、港通りの国道11号線沿いにて…

たくさんの自動車が車道を往来していた。

ショルダーバッグを持ってあてもなく歩いている私は、泣きそうな表情で『夕暮れ時はさびしそう』を歌っていた。

ひと通り歌い終えた私は、涙をポロポロとこぼしながら泣いた。

「ううううううううううううううううううううううううううう…お嫁さんがいないと…生きて行けない…ううううううううううううううううううううう…お嫁さんがいないと…生きて行けない…うううううううううううううううう…」

……………………

2031年12月22日…

場所は、カナダ・プリンスエドワード島・フレンチリバーの本籍地の家の敷地にある特大豪邸の特大広間にて…

時は、夕方5時過ぎだった。

私は、テーブルに顔をふせて泣いていた。

テーブルの上には、エクスペリアのウォークマンが置かれていた。

イヤホンからNSPの歌で『夕暮れ時はさびしそう』が一曲リピートにセットされた状態で繰り返し流れていた。

(この時、大音量になっていた)

「うううううううううううううううう…桜子たち…アンナ…桜子たち…アンナ…うううううううううううううううううう…桜子たち…アンナ…桜子たち…アンナ…桜子たち…アンナ…うううううううううううううううううううううううううううううううう…」

…………………………

桜子たち…

アンナ…

桜子たち…

アンナ…

桜子たち…

アンナ…

…………………………

歌を聴きながら泣いている私は、桜子たちとアンナを呼びつづけた。

…………………………
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