大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【もの憂げな10月】

時は、10月8日の朝6時過ぎであった。

またところ変わって、大街道《おおかいどう》の商店街の通りにあるマクドにて…

三永《みえ》さんと私は、朝マックのセットで朝食を摂っていた。

三永《みえ》さんは、コーヒーをひとくちのんだあと私に言うた。

「ヨシタカさん。」
「はい。」
「ゆうべは…イッスイもできなかったのね。」
「ええ…ちょっと…考え事を…していました。」
「考え事をしていたのね。」
「はい。」
「ヨシタカさん。」
「はい。」
「ゆうべ、うちとしなかったね。」
「はい。」
「どうして?」
「どうしてって?」
「ヨシタカさんは…恋愛経験はないの?」
「恋愛経験?」
「好きなコはいなかったの?」
「いませんでした。」
「なんで?」
「私が20代の時は…戦時下だったので…できませんでした。」
「そうだったわね〜…お嫁さんはいるの?」
「いません。」
「いないのね。」
「ええ。」

三永《みえ》さんは、コーヒーをひとくちのんだあと私に言うた。

「私はダンナがいるけど…別居中よ。」
「別居中?」
「うん。」
「どうして?」
「どうしてって…新しい男ができたからよ。」
「新しい男が…できた?」
「うん。」
「どこにいるの?」
「ワラビ…ワラビよ。」
「ワラビ。」
「ワラビの安アパートで暮らしている中国人の男とドーセー中よ。」
「ドーセー中?」
「松山《ここ》には、出稼ぎで来たのよ。」
「出稼ぎで来た?」
「うん。」

私は、三永《みえ》さんに対して声をかけた。

「三永《みえ》さんは、生まれはどちらですか?」
「岡山よ。」
「岡山。」
「農村の家の娘よ。」
「農村の家の娘?」
「うん…武下はダンナのミョウジよ…キュウセイメイはハギオだけど…」
「ハギオ…もしかしたら、萩生廉太郎《はぎおれんたろう》とトヨミ…」
「…はうちの両親よ…だけど、もうカンケーないわよ。」
「家を…すてた…」
「そうよ。」
「萩生の夫婦がマンモー開拓団にいたのは…」
「ウソよ。」
「ウソ?」
「両親がマンモー開拓団の一員に選ばれたことはほんとうの話だけど…母親が住み慣れた土地を離れるのはイヤだと言うたので辞退したのよ。」
「辞退した…」
「妹も妹でクソ生意気よ!!」
「なえさんがクソ生意気って?」
「両親は兄とうちとなえを差別したのよ!!」
「ほんとうですか?」
「ほんとうよ!!」
「そうですか。」

私は、コーヒーをひとくちのんだあと食べかけの料理を食べた。

……………………

(ゴーッ…)

時は、朝9時半頃であった。

三永《みえ》さんと私は、松山空港から羽田行きの全日空機に乗って旅に出た。

朝10時20分頃に飛行機が羽田空港に到着した。

三永《みえ》さんは、空港から出たあと都心へ向かった。

私は、それから75分後に石川小松空港行きの全日空機に乗って旅に出た。

大急ぎでドナ姐《ねえ》はんを見つけなきゃ…

時間がない…

…………………
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