大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【蒼い星くず】

さて、その頃であった。

私・イワマツは、東予市のラブホから出発したあとあてのない旅に出た。

小松から国道11号線経由で松山市へ出たあとフェリーに乗って本州方面へ脱出した。

それから約2週間のあいだ、岡山〜神戸〜大阪〜和歌山…と渡り歩いてカラオケ流しをしていた。

そのあいだに合計8000万円のおひねりを稼いだ。

当面の旅費が確保できた…

しかし、それがいつまでもつのか…

すごく心配だ…

…………………

(ボーッ、ボーッ、ボーッ、ボーッ…)

時は、10月26日の夜7時頃であった。

私が乗り込んだ伊勢湾フェリーが鳥羽港から出航した。

船室にいる私は、夜の海を見つめながらウォークマンで歌を聴きながら考え事をしていた。

イヤホンから加山雄三さんの全曲集に収録されている歌がたくさん流れていた。

……………………

これから先の人生を…

どう生きて行けばいいのか…

還暦が近い私に…

やり直しの機会は…

あるのか…

…………………………

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

時は、夜9時10分頃であった。

伊良湖港《いらご》でフェリーを降りた私は、ヒッチハイクした長距離トラックに乗って旅に出た。

トラックは、国道42号線から23号線を通って名古屋方面へ向かった。

10月27日の深夜3時頃であった。

ところ変わって、刈谷市一ツ木町の国道沿いにある終夜営業のラーメン屋の敷地にて…

敷地に設置されているベンチの上にスーパーマップルの中部地方の道路地図が広がった状態で置かれていた。

私は、万年筆を使って鳥羽港からここまで来たルートを地図の上に書き込みながらつぶやいた。

ほたるさんが急にいなくなった…

三永《みえ》さんも急にいなくなった…

一体どうなってるのだ…

…………………………

時は、10月27日の午前9時半頃であった。

またところ変わって、名古屋市千種区にある有名女子大の資料室にて…

有名女子大は、三永《みえ》さんが在籍していた大学であった。

私は、大学の職員さんに対して『興信所のおつかいで来た…秘密は厳守するから…』とたのんだ上で学生名簿の閲覧の許可を申し出た。

その後、資料室に入った。

……………………

資料室にいる私は、1980年度までに卒業した学生さんたちと在校生たちの名簿を閲覧していた。

私は、三永《みえ》さんが入学した年度〜卒業した年度にかけての間に在籍していた同期生たちと三永《みえ》さんの先輩・後輩にあたる学生さんたちの何百人かをピックアップしたあと万年筆を使って手帳に書き込んだ。

…………………………

大番頭《おおばんと》はんたちとマァマとドナ姐《ねえ》はんの居場所を知っているのはほたるさんだけ…

そのほたるさんが行方不明になった…

そのほたるさんと親しかった人は三永《みえ》さんである…

まずは、三永《みえ》さんを見つけなきゃ…

残された時間は…

そんなに多くない…

急がなきゃ…

…………………
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