大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【みちのくひとり旅】

8月30日から9月1日までのあいだ、私はポケベルが鳴る時を待ち続けた。

しかし、三世《みよ》さんはポケベルを鳴らさなかった。

もしかしたら…

なんらかのトラブルに巻き込まれたかもしれない…

私は、ものすごく不安な表情でつぶやいた。

…………………

(ザザーン、ザザーン、ザザーン、ザザーン…)

時は、9月2日の午後12時半頃であった。

またところ変わって、大隅半島の先端にある佐多岬にて…

私は、ぼんやりとした表情であれ模様の海を見つめていた。

あれ模様の海の上をしろいカモメたちがたくさん飛んでいた。

海を見つめている私は、山本譲二さんの歌で『みちのくひとり旅』を歌った。

一通り歌った私は、震える声で泣いた。

「ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう…うううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう…」

悲しい…

ものすごく悲しい…

お嫁さんがほしい…

お嫁さんがいないと…

生きて行くことができない…

私は、20分のあいだ海を見つめながら泣いた。

………………………

時は、午後3時過ぎであった。

私は、ショルダーバッグを持って再び旅に出た。

私は、遊歩道をトボトボと歩きながら震える声で『みちのくひとり旅』を歌っていた。

……………………

この時であった。

(ピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピー…)

私は、ズボンの左のポケットに入っているポケベルを取り出した。

(ピッ…)

私は、ディスプレイに表示されているメッセージを見た。

あれ…

番号が違ってる…

三世《みよ》さんは…

どこにいるのだ…

………………………
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