大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【シングル・アゲイン】

私・イワマツは、11月6日から8日のあいだにかけて福江市内《しない》でほたるさんをさがしていた。

しかし、ほたるさんはどこにもいなかった。

ほたるさんは、福江島《このしま》にいないと思う…

長崎へ引き返そうか…

どうしようかな…

…………………………

時は、11月9日の午前11時半頃であった。

またところ変わって、福江市木場町《しないこばちょう》にある教会にて…

チャペル内に神父さんと私がいた。

神父さんは、亡くなった温大《はると》が実母と一緒に福江島《このしま》で暮らしていたことを私に話した。

「温大《はると》さんは、実のおかあさまと一緒に福江島《このしま》で暮らしていた時がありました。」
「温大《はると》さんの実母《おかあ》さまは、どんな人でしたか?」
「日本人でしたよ。」
「日本人?…私はてっきり…日本と海外のハーフだと思いました…実母《おかあ》さま方の親類のうちはどこにありますか?」
「実母《おかあ》さま方の親類の家は、南米ブラジルにあります。」
「ブラジル。」
「ええ。」
「移住していた…と言うことでしょうか?」
「そうですよ。」
「そうでしたか。」

神父さんは、温大《はると》がアメリカのガッコーへ行ったわけを説明した。

「温大《はると》さんは、先に移住していた家の知人の人のすすめでアメリカのガッコーへ行きました…理由はそれだけです。」
「そう…でしたか…あの…渕崎太兵衛《ふちざきたべえ》と言う方はご存知ですか?」
「フチザキタベエ?…さあ、知らないな〜」
「ご存知ないのですか?」
「ええ。」
「それじゃあ、温大《はると》の実父《おとう》さまは?」
「いたけれど…温大《はると》さんが生まれてくる前に亡くなったと思うよ。」
「生まれてくる前に亡くなった?」
「はい。」
「それじゃあ…太兵衛《たべえ》は…」

神父さんから話を聞いた私は、コンワクした表情でつぶやいた。

おかしい…

一体どうなっているのだ…

…………………………

(ボーッ、ボーッ、ボーッ、ボーッ…)

時は、夕方4時頃であった。

私は、長崎行きのフェリーに乗って再び旅に出た。

甲板《デッキ》にいる私は、福江港《みなと》の風景を見つめながらつぶやいた。

神父さんが太兵衛《たべえ》のことを知らないと言うた…

太兵衛《たべえ》と温大《はると》は祖父と孫の関係だと言うのはウソなのか?

…………………………

もしかしたら…

私は、聞き間違いをしたと思う…

…………………………

温大《はると》は…

ほんとうに渕崎の家の子どもなのか?

分からない…

……………………
< 665 / 900 >

この作品をシェア

pagetop