大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【セピア色の雨】

(ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…)

時は、夕方4時半頃であった。

この時間も雷を伴ったザーザー降りの雨が降っていた。

またところ変わって、奈良県明日香村飛鳥にある特大和風建築の家にて…

家の8畳の和室にしかれているふとんにこの家の主・安楽やすし(120歳)が寝ていた。

安楽やすしは、以前はセバスチャンイワマツキザエモンと名乗っていた老人であった。

1923年のあの日、セバスチャンじいさんはイワマツの財産すべての所有名義を大番頭《おおばんと》はんたち連帯預かり人たち5000万人に移した。

スッカラカンになったと同時にセバスチャンイワマツキザエモンと言う名前も葬り去った。

その後、日本へ渡ったと同時に2度目の妻とサイコンした。

2度目の妻は、安楽コンツェルンの総帥《そうすい》の一人娘であった。

先代の総帥《そうすい》が亡くなられたあと、むすめムコのやすしが先代が所持していたばくだいな財産を手にした。

同時に、安楽コンツェルンの3代目の総帥《そうすい》になった。

(先代の総帥《そうすい》は2代目であった)

セバスチャンじいさんは、それから半世紀に渡って総帥《トップ》の座にクンリンしていた。

3ヶ月ほど前(9月の末頃)にセバスチャンじいさんは大量吐血をしたあと寝たきりの暮らしに入った。

それから3ヶ月のあいだに身体は少しずつスイジャクした。

……………………

わしは…

もう…

長くはない…

…………………

君波たち…

あれはどうなっているのだ…

教えてくれ…

セバスチャンじいさんは、天井を見つめながらつぶやいた。

………………………

またところ変わって、ろうかをはさんだ向かいにある12畳の大広間にて…

大広間のテーブルに緑茶が入っている信楽焼の湯のみが並んでいた。

テーブルには、セバスチャンじいさんと2番目の妻とのあいだに生まれたきょうだいたち6人とふたりの嫁とふたりの男の子の孫が並んで座っていた。

席に座っていたのは…

長男・安楽秀典《あんらくひでのり》(54歳)と妻・花栄《はなえ》(51歳)

次男・安楽拓司《あんらくたくじ》(52歳)と妻・さよ(49歳)

三男・安楽祝夫《あんらくのりお》(50歳・独身)

長女・中本えいみ(49歳)

次女・淡口《あわぐち》りつこ(47歳)

三女・美佐島明美《みさしまあけみ》(45歳)

孫・美佐島昭夫《みさしまあきお》(17歳)と一八《かずや》(14歳)

…であった。

拓司《たくじ》と祝夫《のりお》は、深刻な表情でこう言うた。

「オヤジは…もうだめだな〜」
「ああ、そうかもしれないな〜」

えいみは、深刻な表情で祝夫《のりお》に言うた。

「どうするのよ!?」
「(祝夫《のりお》、コンワクした表情で言うた)どうするって?」
「おとーさんが書いたユイゴン書よ!!」
「ユイゴン書?」
「あれがなかったら困るのはうちらよ!!」

腕組みをしている拓司《たくじ》は、不安げな表情で『そうだな〜』と言うた。

りつこは、困った表情でこう言うた。

「ねえ。」
「(えいみ、めんどくさい表情で言うた)何よ?」
「この中で、お父さんが書いたユイゴン状を預かっている人はだれなの?」

りつこの問いに対して、祝夫《のりお》は『預かってないけど…』と答えた。

祝夫《のりお》は、拓司《たくじ》にたずねた。

「拓司《たくじ》にいさんは?」
「預かってない。」

拓司《たくじ》は、秀典《ひでのり》にたずねた。

「兄さんは?」
「おれも…預かってない。」

秀典《ひでのり》は、吸いかけのたばこをいっぷくくゆらせたあとみんなに言うた。

「それなら、おとうさんに直接たずねた方がいいよ。」

秀典《ひでのり》が言うた言葉に対して、花栄《はなえ》は『それがいいわよ。』と答えた。

えいみは『そうしましょう〜』と言うた。

このあと、10人はセバスチャンじいさんがいる部屋に向かった。

またところ変わって、セバスチャンじいさんがいる寝室にて…

セバスチャンじいさんは、ぼんやりとした表情で窓に写っている外の風景を見つめていた。

そこへ、秀典《ひでのり》たち10人が部屋に入った。

10人は、セバスチャンじいさんの周りを取り囲んだ。

秀典《ひでのり》と拓司《たくじ》と祝夫《のりお》の3人は、セバスチャンじいさんに声をかけた。

「お父さま!!」
「お父さま!!」
「お父さま!!」

セバスチャンじいさんは、弱々しい声で『おい…わしをいじめるな〜…』と言うた。

秀典《ひでのり》と拓司《たくじ》と祝夫《のりお》は、怒った声で言うた。

「お父さま!!」
「お願いでございます!!」
「お父さまの遺産を分配する方法を教えてください!!」

3人の呼びかけに対して、セバスチャンじいさんは弱々しい声で言うた。

「もうすぐ…学校は冬休みだな〜」

えいみとりつこは、ものすごく怒った声でセバスチャンじいさんに言うた。

「おとーさん!!そんなことはどうでもいいから、遺産を分配する方法を教えてよ!!」
「そうよ!!アタシたちは時間がないのよ!!」

セバスチャンじいさんは、ものすごく怒った声で言い返した。

「やかましい!!わしはもうすぐ学校の冬休みが始まるねと言うたのじゃ!!」

思い切りブチ切れたえいみは、バンダナを取り出したあとセバスチャンじいさんの首に巻きつけた。

「ふざけるなクソジジイ!!ぶっ殺してやる!!」
「苦しい!!苦しい!!」

花栄《はなえ》とさよは、大急ぎでえいみを止めた。

「えいみさんやめて!!」
「えいみさん!!」

えいみは、ものすごく怒った声で言うた。

「離してよ!!」
「えいみさん!!」
「そんなことをしたら、義父《おとう》さまが死んじゃうよ!!」
「知らないわよ!!」
「落ち着いてよ!!」

えいみに首をしめられたセバスチャンじいさんは、ゲホゲホとせき込んだあとしくしく泣き出した。

「しくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしく…しくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしく…わしに死ねと言うのか…わしに死ねと言うのか!?…しくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしく…」

えいみは、セバスチャンじいさんに対して怒った声で『その通りよ!!』と言うたあとよりし烈な怒りを込めながら言うた。

「おとーさまが遺産を分配する方法を言わなかったから首をしめられたのよ!!」
「わしは時間をくれと言うたのじゃ!!」
「うるさいわね!!」
「(祝夫《のりお》、オタついた声で言う)えいみ!!やめてくれ!!」
「うるさいわね!!」
「おとーさまは、私たちきょうだいに対して遺産を分配しないと言うたのよ!!」
「ちがうのだよ!!おとーさまはその前にどうしても伝えなきゃいけないことがあると言うたのだよ!!」
「うるさい!!もういいわよ!!」

えいみは、よりし烈な怒りを込めながら言うた。

「おとーさまの遺産をブンパイする方法を聞こうと思ったけど、いらなくなったから(相続を)放棄するわよ!!」
「(祝夫《のりお》、おどろいた表情で言う)相続を放棄するって!?」
「そうよ!!」

この時、花栄《はなえ》とさよもセバスチャンじいさんの遺産相続を放棄すると言うた。

「うちら夫婦も、義父さまの遺産相続を放棄するわよ。」
「うちらの家も放棄するわよ!!」
「(祝夫《のりお》、オタついた声で言う)花栄義姉《はなえねえ》さん!!さよ義姉《ねえ》さん!!」
「うるさいわね!!いらないものはいらないのよ!!」
荒いものはうちら家族は義父さまの遺産がなくてもやっていけるわよ!!」
「秀典《ひでのり》にいさん!!拓司《たくじ》にいさん!!」

祝夫《のりお》の呼びかけに対して、秀典《ひでのり》と拓司《たくじ》はつらそうな声で言うた。

「嫁がいらないと言うたので、放棄するよ〜」
「にいさんと同じく、オレも放棄する〜」
「それじゃあ、どうなさるおつもりですか!?」

えいみは、怒った声で祝夫《のりお》に対して『知らないわよ!!』と言うたあと突き放す声で言うた。

「そんなもん、盗人に盗られてなくなったらいいのよ!!」

セバスチャンじいさんは『親不孝者!!』と怒鳴りつけたあと怒った声で言うた。

「もういい!!お前らは全員カンドーだ!!安楽の家から出て行け!!」

祝夫《のりお》は、つらそうな声で「おとーさま〜」と声をかけた。

セバスチャンじいさんは、しくしく泣きながら言うた。

「わしをひとりにさせろ!!わしはひとりぼっちで死ぬ!!お前ら全員除籍だ!!手切れ金は出さないぞ!!お前らの力だけで生きていけ!!」

えいみは、怒った声で言うた。

「わかったわよ!!うちら全員は、人の力を借りずに行きていくから…出るわよ!!」

このあと、10人は部屋から出ていった。

思い切りブチ切れたセバスチャンじいさんは、枕もとに置かれていた水が入っている洗面器をカベに投げつけた。

その後、ふとんにもぐりこんだ。

この時点で、セバスチャンじいさんが追加の財産を所有していたことが明らかになった。

次から次へとややこしいことが起こった…

どうすればいいのだ…
< 715 / 900 >

この作品をシェア

pagetop