大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【いっそセレナーデ】

(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー!!)

時は、午後1時過ぎであった。

またところ変わって、国鉄後免駅から歩いて200メートル先にある酒場街にて…

酒場街にあるラブホの前にニッサンスカイラインの高知県警《けんけい》のパトカー20台が停まっていた。

20台のパトカーは、けたたましいサイレンを鳴らしながら停まっていた。

ラブホの入り口付近におおぜいの人たちが集まっていた。

おおぜいの人たちは、ものすごく不安げな表情で現場のラブホを見つめていた。

……………………

(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…キーッ!!バタン!!)

事件現場のラブホの前にミツビシエテルナの黒パトが停車した。

車の後部座席のドアがひらいたあと、えんじ色のコートを着た男性がものすごくけわしい表情を浮かべながら降りた。

男性が着ているコートの左腕に捜査一課長のワッペンがつけられていた。

男性は、高知県警《けんけい》の本部の捜査一課長《いちかちょう》だと思う。

この時、ラブホの中にいた若手の刑事たち数人が捜査一課長《いちかちょう》の前に集まった。

捜査一課長《いちかちょう》は、怒った声で言うた。

「おい!!現場の状況はどうなってるのだ!?」
「ただいま、現場検証が行われています。」
「そうか…それで、被害者《がいしゃ》の身元は!?」
「30代くらいの女性でございますが、身元を証明できるものを所持していません!!」
「所持してないだと!?…困ったな!!…それで、被害者《がいしゃ》と一緒にいたツレのモンはどこへ行ったのだ!?」
「所在不明でございます!!」
「所在不明だと!?」
「はい。」
「困ったな…被害者《がいしゃ》を刺した凶器は!?」
「刃渡りのするどいサバイバルナイフです!!」
「大急ぎで凶器を探せ!!」
「分かりました!!」

このあと、若手の刑事たちは事件現場へ戻った。

捜査一課長《いちかちょう》は、近くにいた消防隊員の男性に声をかけた。

「おい若いの!!」
「はい。」
「被害者《がいしゃ》の女性はどうなってるのだ!?」
「出血多量で、意識不明の重体におちいってます!!」
「急ぐのだ!!」
「はい!!」

それから1分後であった。

ふたりの消防隊員が被害者の女性を載せたストレッチャーを運びながらホテルの外へ出た。

被害者の女性は、目を閉じた状態で眠っていた。

(がちゃ…カチャン…バタン!!)

被害者の女性が載せられているストレッチャーが救急車に乗せられた。

(バタン!!キキキキキキキキキキキキキキキ!!ピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポーピーポー!!)

後ろのドアがしまったあと、救急車はサイレンを鳴らしながら事件現場から出発した。

カノジョは、命にかかわる重大事態におちいった。

カノジョを乗せた救急車は、高知市内にある救急救命センターへ向かった。

到着したあと、すぐに緊急のオペが行われる予定である。

時は、夕方4時頃であった。

またところ変わって、奈良県明日香村にあるセバスチャンじいさんが所有している家の8畳の寝室にて…

セバスチャンじいさんが寝ているふとんのまわりに、秀典《ひでのり》たちきょうだい6人と花栄《はなえ》とさよと明美の息子ふたりが集まっていた。

この時、セバスチャンじいさんの病状はきわめて深刻な状態におちいった。

6人のきょうだいたちは、セバスチャンじいさんから遺産を分配する方法が知りたい気持ちでいっぱいになっていた。

えいみとりつこは、ものすごく怒った声でセバスチャンじいさんに言うた。

「おとーさん!!今日と言うきょうは、遺産を分配する方法を聞いておきたいのよ!!」
「そうよそうよ!!」

セバスチャンじいさんは、つらそうな声で『わかった…話す〜』と言うたあと少しだけ時間をくれと言うた。

「その前に…少しだけ…時間を…くれ〜」

えいみは、ものすごく怒った声でセバスチャンじいさんに言うた。

「アタシたちは時間がないのよ!!」
「少しだけ時間くれと言うたら時間をくれ〜」
「うるさいわねクソジジイ!!」
「なんだと!!」

この時、祝夫《のりお》がえいみを止めた。

「えいみ!!やめてくれ!!」
「なんで止めるのよ!?」
「おとーさまに、少しだけ時間を与えてください!!」
「うるさいわね!!」
「おとーさまは、昭夫にどうしても伝えたいことがあると言うてるのです!!」

えいみは、怒った声で『手短にしてよね!!』と言い返した。

セバスチャンじいさんは、ものすごく泣きそうな声で昭夫に言うた。

「昭夫…昭夫…」

昭夫は、ものすごく怒った声でセバスチャンじいさんに言うた。

「おれ、高校をやめて陸自の男子校へ行くから…」

セバスチャンじいさんは、ものすごく怒った声で言うた。

「なんで勝手にやめるのだ!?」
「推薦《ひとのコネ》で入学した私立高校《コーコー》がイヤになったのだよ!!」
「ふざけるな!!昭夫が私立高校《コーコー》に入ることができたのはだれのおかげだと思っているのだ!?」
「うるせー!!クソジジイ!!」
「やかましい!!私立高校《ガッコー》へ行け!!私立高校《ガッコー》へ行け!!」

りつこは、怒った声でセバスチャンじいさんに言うた。

「うるさいわねクソジジイ!!あんたの夢はその程度しかないのね!!」

りつこにどぎつい言葉を言われたセバスチャンじいさんは、メソメソメソメソと泣き出した。

「メソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソ…なんや!!もう一度言うてみろ!!今なんて言うた!?」

えいみは、ものすごく怒った声でセバスチャンじいさんに言うた。

「うるさいわねクソジジイ!!あんたは昭夫になにを求めていたのよ!?」

えいみからどぎつい言葉を言われたセバスチャンじいさんは、メソメソ泣きながら言うた。

「わしは…ガッコーに行くことができなかったのだよ…13の時に見知らぬ街の…卸問屋で…働いていたのだよ…自分と同い年の子どもたちが…希望に満ちあふれた表情で…ガッコーに行ってるのを見るたびに…『ガッコーへ行きたい…』と泣いていたのじゃ…メソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソメソ…わしは…昭夫が…希望に満ちあふれた表情で…友達たちと…ガッコーを楽しんでいる姿をみたい…」

この時、秀典《ひでのり》が冷めた声でセバスチャンじいさんに言うた。

「おれ…おりるわ…とうさんの遺産を相続する権利を放棄するよ。」

つづいて、拓司《たくじ》とえいみとりつこと明美の4人がセバスチャンじいさんの遺産相続を放棄することを伝えた。

それを聞いた祝夫《のりお》は、オタついた声で言うた。

「相続を放棄する…なんで放棄するのですか!?」

えいみは、ものすごく怒った声で言うた。

「うるさいわね!!いらなくなったのよ!!」
「しかしですね〜」

りつこは、怒った声で祝夫《のりお》に言うた。

「祝夫《のりお》にいさん、知らなかったの!?…おとーさまの財産を弁護士さんに頼んで調査してもらったのよ!!その結果、資産と負債の差し引きがマイナスであったことがわかったのよ!!」

りつこからことの次第を聞いた祝夫《のりお》は、がっくりと肩を落とした。

しばらくして、祝夫《のりお》は『遺産相続を放棄する…』と言うた。

これにより、セバスチャンじいさんが新たに取得した財産を相続する人は誰もいなくなった。

秀典《ひでのり》たち10人は、寝室から出たあと帰宅準備を始めた。

セバスチャンじいさんは、ふとんにもぐりこんだあとグーグーといびきをかきながら寝た。

そのあいだに、秀典《ひでのり》たち10人は家から出発した。
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