大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【母さんの手】

(ゴーッ…)

時は、午前10時10分頃であった。

私は、博多駅で寝台特急《れっしゃ》を降りたあと地下鉄に乗り換えて福岡空港まで行った。

福岡空港に到着したあと午前10時発の宮崎行きの東亜国内航空機に乗って再び旅に出た。

当初は、西鹿児島駅まで寝台特急《れっしゃ》に乗る予定だったが早めにシブシへ行きたいので予定を変更した。

午前11時頃に東亜国内航空機が宮崎ブーゲンビリア空港に到着した。

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

飛行機から降りた私は、空港から出発したあと国道220号線を歩いてシブシへ向かった。

車道には、たくさんの自動車が走っていた。

どこかでトラックをヒッチハイクしよう…

とにかく急がなきゃ…

…………………………

時は、夜7時23分頃であった。

またところ変わって、日南市イビイの国道220号線沿いにある終夜営業のラーメン屋にて…

私は、ギョーザとチャーハンで夕食を摂っていた。

店内に設置されているナショナルα2000の画面に宮崎放送が映っていた。

この時間は、『それは秘密です』(日本テレビ)が放送されていた。

画面には、番組最後のコーナー『涙のご対面』が映っていた。

画面に映っている40代後半の女性さまは、終戦時に朝鮮半島から引き揚げていた最中に行方不明になった母親とのご対面をするために番組に出演していた。

司会を務めている桂小金治さんがご対面を希望している40代後半の女性さまの生い立ちなどを紹介していた。

ひと通りの説明が終わったあと、司会の桂小金治さんが泣き出しそうな声で女性さまに呼びかけていた。

その後、桂小金治さんが『お母さまどうぞ!!』とコールしたあと、童謡『かあさんの歌』が流れた。

同時に、左のトビラのカーテンがひらいた。

カーテンの中から出演者の女性さまがずっと探していたお母さまが登場した。

その後、母娘《おやこ》が抱き合って泣き出した。

涙のご対面を見た私は、今にも泣きそうになった表情で食べかけのチャーハンを食べていた。

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

それからまた50分後であった。

私は、ラーメン屋から出たあと国道220号線を歩いてシブシへ向かった。

途中で足がつかれたので、国道沿いにあるバス停のベンチに腰かけて休んでいた。

ショルダーバックをひざの上にのせた状態で座っている私は、泣きそうな表情で星空を見つめながらつぶやいた。

ママ…

ママ…

ママはどうして…

2歳だった私を…

マンシュウリの草原に…

置き去りにしたのか…

……………………………

またところ変わって、星空の世界にて…

小さな星くずがたくさん流れている川のほとりに桜子たち(80億39人)と深眠の私がいた。

桜子たち(80億39人)は、ぐすんぐすんと泣きながら深眠の私の身体にキスをしていた。

しかし、私は目覚めなかった。

みどりを抱っこしているアンナは、小さな星くずが流れている川に入っていた。

アンナとみどりは、声をあげながら泣いていた。

「ワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーンワーン!!」
「オギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャーオギャー!!」

アンナとみどりがこぼしたたくさんの涙が小さな星くずが流れている川にたくさん落ちた。

下流にたくさんたまっている小さな星くずたちが空の下に一気に流れ落ちた。

………………………

またところ変わって、日南市の国道220号線沿いにあるバス停にて…

ベンチに座っている私は、夜空にたくさんきらめいている星をみつめながら言うた。

「ママ…ママ…ママはどこにいるのかな…もう、お星さまになったのかな…ママ…ママ…ママ…」

私の両目から涙がたくさんあふれ出た。

私は、しばらくのあいだ冬の星座をみつめながらママを呼び続けた。
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