大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【夜の公園】

(チャリンチャリン…カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ…)

時は、夜7時頃であった。

またところ変わって、国鉄宮崎駅の東口の入り口付近にある電話ボックスにて…

私は、四角のだいだい色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。

私は、受話器をあげたあとコイン投入口に10円玉をたくさん入れた。

その後、ボタンをカチカチと押した。

(プルルルルルルルルルルルルルルルルルル…カチャ…ポト…)

電話がつながったと同時に、10円玉1枚が金庫に落ちた。

私は、受話器ごしにいる相手に話しかけた。

「もしもし、シブシ町にお住まいの小田島さまのお宅でございますか?…小田島さまの奥さまでございますね…コリントでございます…あの…すみませんけどご主人さまはご在宅でしょうか?…えっ?…まだ帰宅されてないって…分かりました…ご主人さまがご帰宅になられた時でかまいませんので、コリントさまが心配なされていたことをお伝え願いますか?…よろしくお願いいたします。」

(ガチャ…ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)

私が右手でフックを下にひいたと同時に、返却口に10円玉がたくさん出た。

私は、青のラッションペンを使って『本人不在、かけなおす』と書き込んだ。

時は、夜8時過ぎであった。

またところ変わって、宮崎市千草町《しないちぐさまち》の公園の中にある電話ボックスにて…

私は、四角のだいだい色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。

「もしもし、夜分遅くにお電話をおかけしてもうしわけございません…串間市西浜にお住まいの△沢さまのお宅でございますか?…お世話になります…コリントイワマツヨシタカグラマシーともうします…あの、そちらに小田島のご主人はお越しになられていますか?…お越しになられてない…分かりました…もしご本人がお越しになられた時には、コリントさまが心配になられていたと言うことをお伝え願いますか?…よろしくお願いいたします。」

(ガチャ…ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)

私が右手でフックをひいたと同時に、返却口に10円玉がたくさん出た。

私は、赤のラッションペンを使ってメモパッドに『確認済み』と記入した。

それからまた40分後であった。

またところ変わって、宮崎市清水《しないしみず》の公園の中にある電話ボックスにて…

私は、四角の黄色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。

「もしもし、夜分遅くにお電話をおかけしてもうしわけございません…串間市西方にお住まいの■田さまのお宅でございますか?…お世話になります…コリントイワマツヨシタカグラマシーともうします…あの、そちらに小田島のご主人さまはいらっしゃいますか?…そうですか…分かりました…あの…もし、そちらにお越しになられた時にお伝えしたいことがございます…コリントさまが心配なされていたと言うことをお伝え願いますか?…よろしくお願いいたします。」

(ガチャ…ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)

私が右手でフックを下にひいたと同時に返却口に10円玉がたくさん出た。

私は、赤のラッションペンを使ってメモパッドに『確認済み』と記入した。

時は、深夜11時頃であった。

またところ変わって、大淀川の緑地公園にて…

公園の灯りが灯っているベンチの上にスーパーマップルの九州地方の道路地図がひらいた状態で置かれていた。

私は、万年筆を使って地図上に書き込みをしていた。

今日一日かけて串間市で暮らしている小田島さんのご主人の知人宅に電話をかけて問い合わせたが、小田島さんはどこにもいなかった。

一体どうなっているのだ…

…………………………

この時であった。

(ピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピー…)

この時、私のズボンのポケットに入っているポケットが鳴った。

私は、ポケベルを取り出したあとディスプレイに表示されているメッセージを見た。

「ファッションクラブのママからだ…なんで?」

…………………………

(ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ…ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ…)

またところ変わって、松山市土居田町にあるマンションの一室にて…

広間に置かれている電話台にのっているオレンジ色のハウディ(プッシュホン)の着信音が鳴っていた。

この時、シルクのネグリジェ姿のママが受話器をあげたあと話した。

「はいもしもし…ああ、コリントさま〜」

またところ変わって、大淀川の緑地公園にある電話ボックスにて…

私は、四角の水色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。

「もしもしママ!!…コリントです!!…オレ…小田島さんの知人方へ電話をかけた…けれど、小田島さんはどこにもいなかった…小田島さん方へも電話をかけたよ…けれど、電話に出たのは奥さまだったよ…さあ聞いてない…何時ごろに小田島さんが外出したのかと言うのは聞いてないよ…」

(チャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリン…)

私は、コイン投入口に10円玉を続けて入れながら話をした。

「ママ!!ママは以前、親展書《てがみ》をたくした相手をまちがえたと言うたね…と言うことは、小田島さんのことは信用できないと言うことかよ!!」

ネグリジェ姿のママは、つらそうな声で受話器ごしにいる私に言うた。

「違うわよ〜」
「違うってどう言うことだよ!?」
「アタシは、小田島さんは信用できないとは言うてないのよ〜」

私は、怒った声でママに言うた。

「話がぜんぜん違うじゃないかよ!!ママは20年前に宮崎でスナックをオープンした時からの常連客の小田島さんがどんな気持ちでホステスさんの身元保証人《ほしょうにん》を引き受けたのかと言うことが分からないのかな!!」
「分かってるわよ!!小田島のご主人にはもうしわけないことをしたと思っているわよ!!」
「それじゃあ、ママは私にどうしてほしいと言うのですか!?」
「アタシは、コリントさまになにも求めていないわよ〜」
「ちょっと待ってよ!!…こっちは頭がごちゃごちゃになっているのだよ!!」
「コリントさま〜」
「ママがどうしても気になると言うのであれば、また明日シブシへ行けばいいのでしょ…わかりましたよ!!」

思い切りブチ切れた私は、電話をガチャンと切ったあと怒り狂った。

「なんだよ一体もう!!」

…………………………

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

それからまた30分後であった。

私は、国道220号線(大通り)の歩道をトボトボと歩いていた。

車道にたくさんの自動車が往来していた。

ママは…

小田島さんのことがそんなに信用できないのか…

理由が分からない…

…………………………

ママと小田島さんとのあいだで…

一体、なにがあったのだ…

…………………………
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