大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【私はピアノ】

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

時は、1月15日の深夜3時半過ぎであった。

私は、ヒッチハイクした長距離トラックに乗って再び旅に出た。

コックピット内にある仮眠用のベッドにて…

ベッドに寝ている私は、カーラジオから流れている歌を聴きながら考えごとをしていた。

カーラジオのスピーカーから宮崎放送ラジオで放送されている『いすゞ歌うヘッドライト』が流れていた。

曲は、留守電リクエストを利用したリスナーさんからのリクエストで高田みづえさんの歌で『私はピアノ』が流れていた。

……………………

今…

どのあたりを走っているのだろうか…

今…

何時ごろだろうか…

………………………

(ゴーッ…)

時は、朝10時頃であった。

私は、宮崎ブーゲンビリア空港から東亜国内航空機に乗って松山空港へ向かった。

松山空港には、午前10時55分に到着した。

…………………………

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…キーッ、プシュー…)

時は、午後1時に5分前であった。

またところ変わって、いよてつ松山市駅前にて…

バスの降車場に空港リムジンバスが到着した。

バスのトビラがあいたと同時に、バスに乗っていた乗客たちが降り立った。

ショルダーバッグを持ってバスから降りた私は、まつちかタウンへ歩いて向かった。

このあと、私は地下街を通って路面電車《トラム》の乗り場へ行った。

……………………

(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

それからまた10分後であった。

私は、道後温泉行きの路面電車《トラム》に乗って大街道の交差点まで行った。

路面電車《トラム》から降りた私は、歩行者用の信号機が青になったと同時に交差点《スクランブル》を渡ってロープウェイ街に入った。

時は、午後2時50分頃であった。

またところ変わって、西一万町にあるパーマ屋にて…

私は、パーマの順番待ちをしている古株のホステスさんと話をしていた。

古株のホステスさんは、ひざの上に読みかけの『微笑』(女性週刊誌)を置いた状態で座っていた。

古株のホステスさんは、私に対して小田島のご主人のことを話した。

「小田島のご主人のことなら知ってるわよ…うちも(ファッションクラブのママ)が経営していた宮崎のスナックで働いていたことがあったわよ。」
「そうですか…分かりました…え~とですね〜」

私は、手帳をパラパラとめくったあとメモの内容をみながら話をした。

「1点だけおたずねしたいことがあります…今から14年前(1969年)のいつ頃だったかさだかではないですが…小田島のご主人が預かっていた親展書《てがみ》に関するトラブルが発生したのです。」

古株のホステスさんは、私に対してこう答えた。

「アタシ…小田島《あのクソジジイ》の被害を一番多く受けていたホステスさんが誰なのかを知ってるわよ。」
「えっ?」
「たしか…三永《みえ》ちゃんだったかしら…」
「三永《みえ》さん…なんで三永《みえ》さんが多く被害を受けたのですか?」
「さあ、よくわからないけど〜」

私は、手帳の余白のページをパラパラとめくったあと万年筆でメモ書きをしながら『三永《みえ》さんばかりが被害を受けていた…』と言うた。

………………………

時は、夜7時半頃であった。

またところ変わって、堀之内公園の敷地内にて…

テーブルの上に、マクドナルドで購入した食べ物が入っている紙袋とコカ・コーラが入っている紙コップが置かれていた。

私は、ダブルチーズバーガーを食べながらつぶやいた。

きょう一日かけて、松山市内《しない》のあちらこちらを回って三永《みえ》さんのことについて調べた。

しかし、これと言った手がかりを得ることはできなかった。

困ったな〜…

どうすればいいのだよ…

………………………

時は、夜8時50分頃であった。

夕食を摂り終えた私は、公園の敷地内の歩道を歩いていた。

この時であった。

松山市民会館《しみんかいかん》の近くで男二人が言い争っている声が聞こえた。

あれは小田島のダンナと…

溝端屋の番頭《ばんと》はんの声だ…

なんで…

どうして…

私は、現場から300メートル離れた場所からゆっくりと歩いて向かった。

私は、現場の100メートル手前にあるコンクリートの柱に隠れた状態でふたりの会話を聞いた。

小田島のダンナは、怒った声で番頭《ばんと》はんに言うた。

「やめてくれ!!これ以上言いがかりをつけるようであれば考えがあるぞ!!」

焼きそばヘアでスナイパーのサングラスとボロボロのハラマキ姿に地下足袋をはいている番頭《ばんと》はんは、怒った声で言うた。

「言いがかりをつけているのはテメエの方だ!!…そんなことよりもじいさんよ…三番町のファッションクラブの姐《ねえ》さん(ママ)が宮崎で経営していたスナックで働いていたレコ(ホステス)たちのことで話があるのだよ…レコたちの身元保証人《ほしょうにん》を引き受けたきっかけはなんや?」
「私は…自らの意思で名乗り出た…それだけだ〜」
「他には?」
「他になにがあると言うのだ!!」
「まあそうかっかしなさんな〜」
「うるさい!!もういいだろ…うちに帰してくれ!!」

小田島の主人がその場から立ち去ろうとした。

番頭《ばんと》はんは、怒った声で小田島のご主人に言うた。

「おい、どこへ行くのだ!?」
「どこへ行くって、うちに帰ると言うてるのだよ!!もうあんたには用はない!!」

番頭《ばんと》はんは、ものすごく怒った声で小田島のご主人に言うた。

「おい、このまま逃げたらどないなるんかわかっとんか!?」
「ふざけるな!!私に対して言いがかりをつけたあんたが全部悪いのだよ!!」
「なんや!!」
「ふざけるなクソバカやろう!!」
「おい、今さっきわしにクソバカやろうと言うたな!!」
「ああ!!言うた!!バカをバカと言うてどこが悪いのだ!?」
「なんやオドレ!!」
「帰らせてもらうぞ!!」
「まてよ!!」
「なんだ!!」
「シブシの家に帰る前に14年前のオトシマエをつけてからにしろ!!」
「14年前のことなんか忘れた!!」
「なにィ!!忘れただと!!」
「ああ、そのとおりだ!!」

番頭《ばんと》はんは、ハラマキの中に入れていたメモパッドを取り出したあと、ちびたえんぴつで書かれたメモ書きをみながら言うた。

「じいさんよ…あんたは口で忘れたと言うけど、あんたが犯したあやまちは一生残るのだよ〜…あんた、レコたちにとどいた親展書《てがみ》を預かっていたよね…そのうち、ひとりのレコに届いた親展書《てがみ》の封があいていたのだよ〜」
「そんなことは知らない!!」
「おいコラクソジジイ!!」
「どけと言うたらどけ!!」
「なんだと!!」
「私が封を勝手にあけたと言う証拠がないのに言いがかりをつけたから許さないぞ!!」
「なんやオドレ!!」
「オドレクソバカ!!」

(ドカッ!!)

思い切りブチ切れた小田島のダンナは、番頭《ばんと》はんに対して体当たりをして倒したあとその場から逃げた。

小田島のダンナから体当たりを食らった番頭《ばんと》はんは、その場に倒れた。

起き上がった番頭《ばんと》はんは、電話ボックスへ向かって走り出した。

たいへんだ…

小田島のダンナが…

番頭《ばんと》はんに対して…

体当たりを食らわせたあとスタコラサッサと逃げた…

大急ぎで奥さまに知らせなきゃ…

……………………………
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