大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【雨だれ】

(ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…)

時は、1月24日の朝7時頃であった。

この日は、朝から雨が降っていた。

またところ変わって、魚市場《いちば》にて…

私は、魚市場《いちば》に来ていた行商のおばちゃんと会って話をしていた。

私は、おばちゃんに対して雅弥《まや》の母妹《おやきょうだい》のことについてたずねた。

おばちゃんは、私に対してこう言うた。

「熊口《くまご》さんの母娘《おやこ》のこと?」
「ええ…11年前に自動車が転落した事故で亡くなられた母娘《おやこ》のことをご存じであればと思っておばちゃんに尋ねてみたのです。」

おばちゃんは、私に対してこう答えた。

「ああ、知ってるわよ。」
「そうでしたか…話を変えますが…おばちゃんは、今どちらにお住まいですか?」
「鏡川町よ。」
「鏡川町で暮らしているのですね。」
「以前は、あの長屋で暮らしていたのよ〜」
「ああ、そうでございましたか…おばちゃんはその長屋の住人の方をご存じですか?」
「もちろんよ。」
「長屋の住人の方との交友関係は?」
「あったわよ…だけど、1人だけ交友がなかった人がいたわよ。」
「1人だけ交友関係がなかった人がいた!?」
「ええ。」

万年筆を使って手帳にメモ書きをしている私は、おばちゃんに声をかけた。

「その方は、どう言ったお方でしたか?」
「たしか、80代の男性だったと思うわよ。」
「80代の男性の方…」

私は、写真が入っているパスケースを取り出したあとパスケースに入っているセヴァスチャンじいさんの写真をおばちゃんに見せながら言うた。

「あの…もしかしたら…こちらの方ではないでしょうか!?」

おばちゃんは、私に問いに対してこう答えた。

「ええ、この写真に写っている男性でした。」
「やっぱり〜」

…………………………

(ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…)

それからまた30分後であった。

この時、強い雨が降り出した。

またところ変わって、魚市場《いちば》の軒下にて…

私は、魚市場《いちば》の近くにあるパン屋で購入したあんぱんとジャムパンを食べながら考え事をしていた。

行商のおばちゃんが…

長屋で暮らしていたと思われるセヴァスチャンじいさんを見た…

セヴァスチャンじいさんは…

長屋の人たちと交友関係がなかった…

一体…

どうなっているのだ…

この時であった。

(ピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピー…)

ズボンの前ポケットに入っているポケベルのベルが鳴ったので、ポケットからポケベルを取り出した。

ポケベルを取り出した私は、ディスプレイに表示されているメッセージを読んだ。

「ファッションクラブのママからだ…」

………………………

(ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ…)

またところ変わって、松山市土居田町にあるマンションにて…

電話台の上に置かれているハウディ(プッシュホン)の着信音が鳴り響いた。

ファッションクラブのママは、受話器を取ってあげたあと話をした。

「もしもし…コリントさま。」

またところ変わって、平戸市中心部にある魚市場《いちば》の近くにあるパン屋にて…

私は、パン屋のとなりにあるタバコ屋のカウンターに設置されている10円の赤電話機を使って電話をかけていた。

「もしもしママ!!…今どこにいるって…平戸市《ひらど》…だから九州の平戸市《ひらど》だよ!!…なんでそんなところにいるのかって…こっちは心身ともにヒヘイしているのだよ!!…わかってくれよ!!…それよりも、話ってなに!?」

ファッションクラブのママは、つらそうな声で言うた。

「コリントさま、落ち着いて話を聞いてよ〜…」
「分かったよ〜」
「この最近だけど、三永《みえ》ちゃんかほたるさんを見てない?」
「えっ?…見てないけど…もしもしママ!!…一体何があったの!?」

ファッションクラブのママは、ものすごく言いにくい声で私に言うた。

「三永《みえ》ちゃんとほたるさんがシッソウしたのよ…きのう…市役所にシッソウセンコクが出されていたのを聞いたのよ〜」
「シッソウセンコク…その話、オレ…聞いてないけど…まさか…」 

この時であった。

(ピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピー…)

この時であった。

ズボンの前ポケットに入っているポケベルのベルがまた鳴り響いた。

私は、受話器ごしにいるママに声をかけた。

「分かった…それじゃあ、またかけなおす…えっ…ポケベルが鳴りだしたから…うん…分かった…三永《みえ》さんかほたるさんを見たら知らせるから…はい…」

(ガチャ…ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)

私が受話器を置いたと同時に返却口に10円玉がたくさん出た。

私は、ポケベルを取り出したあとディスプレイに表示されているメッセージを見た。

その後、私は受話器を手にした。

(チャリンチャリンチャリンチャリンチャリン…ジージー…)

コイン投入口に10円玉をたくさん入れたあと、ダイヤルを回した。

(ポト…)

10円玉1枚が金庫に落ちたあと、私は会話をした。

「もしもし、あっ■村さまでございますね…ゆうべはどうもお世話になりました…ええ…もしもし…それはほんとうなのですか!?…分かりました!!…はい、はい…」

……………………………

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

それからまた80分後であった。

私は、魚市場《いちば》でヒッチハイクした長距離トラックに乗って再び旅に出た。

トラックは、平戸市《ひらど》の中心部から出発したあと東へ向かって走行した。

セヴァスチャンと雅弥《まや》の母妹《おやきょうだい》が平戸市《ひらど》に来る前にどこで暮らしていたのかが分かった…

そこへ行けば…

なにか分かるかもしれない…

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