大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)
第78話・酒と泪と男と女
【酒と泪と男と女】
時は、夜9時50分頃であった。
またところ変わって、国鉄岡山駅のコンコース内にある公衆電話のコーナーにて…
私は、10円の赤電話機を使って電話をかけていた。
「もしもし、夜分遅くにお電話をおかけして申しわけございません…津山市北園町《つやましきたぞのまち》にお住まいの◎内さまでございますか?…お世話になります…コリントイワマツヨシタカグラマシーと申します…あの…私は…人を探しているのです…え~と…松山でファッションクラブを経営していた女性を探しているのです…イナイ…ハルナさん…ああ、イナイハルナさまでしたね…少々お待ちくださいませ〜」
私は、黒のラッションペンを使ってメモパッドにメモを書きながら『イナイ…ハルナ…』と言うた。
…………………………
(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン…)
日付が変わって、3月13日の深夜0時10分頃であった。
またところ変わって、国鉄吉備線《きびせん》の備前三門駅《びぜんみかどえき》の付近にて…
警笛が鳴っている踏み切りに岡山行きの各駅停車《どんこう》がゆっくりと通過した。
私は、踏み切りから300メートル先にある電話ボックスにいた。
私は、電話ボックスにある水色の四角のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。
「もしもし、こんな夜中にお電話をおかけしてもうしわけございません…備前市東片上にお住まいの▲▲▲さまのお宅でございますか?…お世話になります、私はコリントイワマツヨシタカグラマシーと申します…え~と、私、人を探しているのです…松山でファッションクラブを経営していたイナイハルナさまをご存じでしょうか?…はい、その方でございます…え~と…ハルナさまはおたくにいらっしゃいますか?…わかりました…あの、もしおたくにお越しになられたらお伝えしたいことがあるのです…コリントが心配していた…と言うことをお伝え願いますか?…よろしくお願いいたします。…お世話になりました〜」
(ガチャ…ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)
私が左手でフックをひいたと同時に返却口に10円玉がたくさん出た。
私は、赤のラッションペンを使ってメモパッドに『確認済み』と記入した。
…………………………
それからまた70分頃であった。
またところ変わって、岡山市津倉町《しないつくらちょう》の国道180号線沿いの歩道に設置されている電話ボックスにて…
私は、四角のだいだい色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。
「もしもし、こんな夜中にお電話をおかけしてもうしわけございません…長船町福里《おさふねちょうふくさと》にお住まいの□村さまのお宅でございますか?…お世話になります…私はコリントイワマツヨシタカグラマシーと申します…あの、そちらにイナイハルナさまはいらっしゃいますか?…松山でファッションクラブを経営していた女性でございます…え~と…先月の終わり頃に行方不明になったのです…そうですか…分かりました…もし、おたくにお越しになられた時にお伝えしたいことがあるのです…コリントが心配していた…それだけでけっこうです…はい、よろしくお願いします…お世話になりました。」
(ガチャ、ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)
私が左手でフックをひいたと同時に返却口に10円玉がたくさん出た。
私は、赤のラッションペンを使ってメモパッドに『確認済み』と記入した。
それからまた70分後であった。
またところ変わって、岡山市《しない》いすみ町にある運動公園の敷地内に設置されている電話ボックスにて…
私は、四角のだいだい色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。
「もしもし、こんな夜中にお電話をおかけしてもうしわけございません…あの…邑久町虫明《おくちょうむしあけ》にお住まいの■沢さまのおたくでございますか?…お世話になります…私はコリントイワマツヨシタカグラマシーと申します…あの、そちらにイナイハルナさまはいらっしゃいますか?…え~と…松山でファッションクラブを経営していた女性でございます…先月の終わり頃に行方不明になったのです…そうですか…分かりました…あの、もしおたくにお越しになられたらお伝えしたいことがあるのです…そうですか…よろしくお願いします。」
(ガチャ…ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)
私が受話器をフックに置いたと同時に、返却口に10円玉がたくさん出た。
私は、赤のラッションペンを使ってメモパッドに『確認済み』と記入した。
その後、返却口に入っている10円玉を取り出した。
私が次の家に電話をかけようとした時だった。
(ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!)
この時、けたたましい電話のベルが鳴り響いた。
ハルナさん…
ハルナさんだ…
私は、受話器を取ったあと話をした。
「はいもしもし…えっ?…コリントイワマツは私でございますが…どちらさまでしょうか?」
受話器のスピーカーから女性の声が聞こえた。
「コリントイワマツヨシタカグラマシーさまですね…西大寺《さいだいじ》(岡山市東区)中野本町の□井と申します…あの…コリントさまにおたずねしたいことがございますがよろしいですか?」
「はい、なんでしょうか?」
「え~と…イナイハルナさんと言う女性のことで話したいことがあるのです。」
「あの…こんなことをおたずねするようでもうしわけございませんが…□井さまは、ハルナさんとはどういうご関係がありますか?…あっ、はい…あっ、すみません…少々お待ちくださいませ。」
私は、一度電話を止めたあと公園の敷地内をみわたした。
もしかしたら…
この近くに…
誰かいるかもしれない…
先ほど、黒ブチメガネのグタグタ顔のおまわりさんが電話ボックスの近辺を通りかかったのを見た。
それ以外に公園内にいた人はいなかった。
しかし、もし近くに番頭《ばんと》はんがいた場合は話がややこしくなる…
番頭《ばんと》はんは、気色悪い声で『運動公園の敷地内にある電話ボックスを使いませんでしたか?』と言うてくると思う。
または…
………………………
公園内のどこかに…
ヤクザの男たちがひそんでいるかもしれない…
……………………
私は、近くに人がいないことを確認したあと電話の応対を再開した。
「もしもしお待たせしました…あの…メモを取る準備ができましたのでお話していただけますか?」
私は、メモパッドを手に取ったあと黒のラッションペンを使って女性が話した内容を書き込んだ。
受話器のスピーカーから女性の困った声が聞こえた。
「コリントさま…私は…イナイハルナと言う女から…金銭的な被害を受けたのです。」
私は『金銭的な被害を受けた…』とつぶやきながらメモ書きをした。
その後、私は女性に声をかけた。
「□井さまがハルナさんに対してお金を貸したのですね。」
「はい、そうです。」
「お金を貸した…(カキカキとメモ書きをしたあと、声をかけた)…それはいつ頃の話しですか?」
「いつ頃って…今から4年前の1月頃の話でございます〜」
「4年前の…1月…」
4年前と言うと…
1979年だ…
私は、メモ書きをしながら女性の話を聞いた。
女性は、ものすごく困った声で私に言うた。
「ハルナは、松山でファッションクラブを経営していました…カノジョは他にも、経営していた風俗店《おみせ》があったと思います。」
松山のファッションクラブ以外にも…
経営していた風俗店《おみせ》があった?
メモ書きをしていた私は、受話器越しにいる女性に声をかけた。
「ハルナさんが経営していた風俗店《おみせ》は、いくつあったのですか?」
「カノジョは、北信(北陸と長野県)〜西日本にかけての広範囲に風俗店《おみせ》をたくさん持っていました…風俗店《おみせ》の運営資金の大部分は、借金でまかなわれていたのです!!」
私は、おどろいた声で受話器越しにいる女性に言うた。
「なんだって…それじゃあ、ハルナさんはあちらこちらに借金を作っていた…と言うことですか!?」
「はい…そうですけど…」
「少々お待ちくださいませ!!」
この時、黒縁メガネのグタグタ顔の警官が通りかかったので通話を一度止めた。
警官が公園から離れたのを確認したあと、通話を再開した。
「お待たせしました…え~と…ハルナさんが借金していた件について、おたずねしたいのですが…□井さまを入れて、何人の方からおカネを借り入れていたのですか?」
「覚えてないわよ!!」
「そうですか。」
「ハルナは、正規の金融機関《きかん》に行ってユウシの申込みをしたけど、お断りされたのよ。」
「(メモ書きしながら言う)ユウシの申込みを断られた…(メモ書きを終えたあと声をかけた)…それで?」
「だから!!ユウシの申込みを断られたので、複数の人間からカネを借り入れたのよ!!」
「そうですか…それで、総額はいくらでしょうか?」
「軽く…10億はあると思うわよ〜」
「10億…」
「10億はすべて風俗店《おみせ》の運営資金に使われた…と思うけど…」
「…と思うけど…それはどういうことでしょうか?」
「目的外に使われたかもしれないと言うことよ!!」
「えっ?」
「もしもし、話を聞いてよ!!」
「すみません…あの…その目的外と言うのは…なんでしょうか?」
「だ~か~ら~…オトコに大金を与えたかもしれない…と言うことよ。」
「オトコに大金を与えた?」
「コリントさん、そんなことも知らなかったの?」
「いえ、今日はじめてお聞きしました…それで、ハルナさんがあちらこちらの人たちからカネを借り入れたのは…いつ頃から始まったのですか?」
「いつ頃からって…5年前からよ!!」
「5年前!?」
5年前と言うと…
1978年…
受話器越しにいる女性は、怒りを込めながら私に話した。
「ハルナは、5年前の1月中旬頃に…私にカネを借りにきたのよ!!」
「え~と、□井さまはどこにいたのですか?」
「宝くじ売り場よ!!」
「宝くじ売り場?」
「そうよ!!…ハルナは、私が年末(ジャンボ宝くじ)で1等5000万円を当てたのを聞いたので、アタシに対して『あやかりたい』とわけのわからないことを言うたのよ!!」
「あやかりたい?…ハルナさんは『あやかりたい』と言うたあと□井さまに『おカネ貸して〜』と言うたのですね。」
「そのとおりよ!!…ハルナが『きちんと返すから〜』と言うたのでアタシはハルナにおカネを貸したのよ!!」
「それで、□井さまはハルナさんにいくら貸したのですか?」
「10万…10万よ!!」
「(メモ書きしながら言う)ハルナさんは…□井さまから10万円を借り入れた…(書き終えたあと声をかける)…それで、その後はどうなったのですか?」
「私は、ハルナに対して『あんたに貸したカネをいつになったら返してくれるのよ!?』と言うてサイソクしたわよ!!…だけどハルナは『ゴメ〜ン』『そのうちに返す〜』『あとにして〜』…とヘラヘラ嗤《わら》いながら言うて返済を引き伸ばしたのよ!!…それから1ヶ月後に会った時だったわ…ハルナは右手で頭をポリポリかきながら『ゴメ〜ン…あのお金盗まれたの〜』と言うたあと逃げたのよ!!…だけど…ハルナはアタシの他にも複数の人たちからカネを借り入れていたのよ!!…その分を含めて総額は2000億円に上るわよ!!」
「(おどろいた声で言う)2000億!?…もしもし□井さま…□井さまと複数人の方の他に…ハルナさんにカネを貸した人はいらっしゃいますか!?」
「いるわよ!!ハルナは私と複数人の人たちの他にも、70前後の金融会社《かねかし》を利用していたわよ…その分を加算すると…軽く1兆円になっていると思うわよ〜」
「(おどろいた声で言う)1兆円!!」
「それともう一つ…何日か前にある人から聞いた話だけど…ハルナがヤミ金から8億のカネを借りていたみたいよ!!」
「(ものすごくおどろいた声で言う)なんだって!?ハルナさんがヤミ金を利用していた!?」
衝撃的な話を聞いた私は、背筋が凍りついて動けなくなった。
…………………………
またところ変わって、国鉄岡山駅のコンコース内にある公衆電話のコーナーにて…
私は、10円の赤電話機を使って電話をかけていた。
「もしもし、夜分遅くにお電話をおかけして申しわけございません…津山市北園町《つやましきたぞのまち》にお住まいの◎内さまでございますか?…お世話になります…コリントイワマツヨシタカグラマシーと申します…あの…私は…人を探しているのです…え~と…松山でファッションクラブを経営していた女性を探しているのです…イナイ…ハルナさん…ああ、イナイハルナさまでしたね…少々お待ちくださいませ〜」
私は、黒のラッションペンを使ってメモパッドにメモを書きながら『イナイ…ハルナ…』と言うた。
…………………………
(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン…)
日付が変わって、3月13日の深夜0時10分頃であった。
またところ変わって、国鉄吉備線《きびせん》の備前三門駅《びぜんみかどえき》の付近にて…
警笛が鳴っている踏み切りに岡山行きの各駅停車《どんこう》がゆっくりと通過した。
私は、踏み切りから300メートル先にある電話ボックスにいた。
私は、電話ボックスにある水色の四角のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。
「もしもし、こんな夜中にお電話をおかけしてもうしわけございません…備前市東片上にお住まいの▲▲▲さまのお宅でございますか?…お世話になります、私はコリントイワマツヨシタカグラマシーと申します…え~と、私、人を探しているのです…松山でファッションクラブを経営していたイナイハルナさまをご存じでしょうか?…はい、その方でございます…え~と…ハルナさまはおたくにいらっしゃいますか?…わかりました…あの、もしおたくにお越しになられたらお伝えしたいことがあるのです…コリントが心配していた…と言うことをお伝え願いますか?…よろしくお願いいたします。…お世話になりました〜」
(ガチャ…ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)
私が左手でフックをひいたと同時に返却口に10円玉がたくさん出た。
私は、赤のラッションペンを使ってメモパッドに『確認済み』と記入した。
…………………………
それからまた70分頃であった。
またところ変わって、岡山市津倉町《しないつくらちょう》の国道180号線沿いの歩道に設置されている電話ボックスにて…
私は、四角のだいだい色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。
「もしもし、こんな夜中にお電話をおかけしてもうしわけございません…長船町福里《おさふねちょうふくさと》にお住まいの□村さまのお宅でございますか?…お世話になります…私はコリントイワマツヨシタカグラマシーと申します…あの、そちらにイナイハルナさまはいらっしゃいますか?…松山でファッションクラブを経営していた女性でございます…え~と…先月の終わり頃に行方不明になったのです…そうですか…分かりました…もし、おたくにお越しになられた時にお伝えしたいことがあるのです…コリントが心配していた…それだけでけっこうです…はい、よろしくお願いします…お世話になりました。」
(ガチャ、ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)
私が左手でフックをひいたと同時に返却口に10円玉がたくさん出た。
私は、赤のラッションペンを使ってメモパッドに『確認済み』と記入した。
それからまた70分後であった。
またところ変わって、岡山市《しない》いすみ町にある運動公園の敷地内に設置されている電話ボックスにて…
私は、四角のだいだい色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。
「もしもし、こんな夜中にお電話をおかけしてもうしわけございません…あの…邑久町虫明《おくちょうむしあけ》にお住まいの■沢さまのおたくでございますか?…お世話になります…私はコリントイワマツヨシタカグラマシーと申します…あの、そちらにイナイハルナさまはいらっしゃいますか?…え~と…松山でファッションクラブを経営していた女性でございます…先月の終わり頃に行方不明になったのです…そうですか…分かりました…あの、もしおたくにお越しになられたらお伝えしたいことがあるのです…そうですか…よろしくお願いします。」
(ガチャ…ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)
私が受話器をフックに置いたと同時に、返却口に10円玉がたくさん出た。
私は、赤のラッションペンを使ってメモパッドに『確認済み』と記入した。
その後、返却口に入っている10円玉を取り出した。
私が次の家に電話をかけようとした時だった。
(ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!)
この時、けたたましい電話のベルが鳴り響いた。
ハルナさん…
ハルナさんだ…
私は、受話器を取ったあと話をした。
「はいもしもし…えっ?…コリントイワマツは私でございますが…どちらさまでしょうか?」
受話器のスピーカーから女性の声が聞こえた。
「コリントイワマツヨシタカグラマシーさまですね…西大寺《さいだいじ》(岡山市東区)中野本町の□井と申します…あの…コリントさまにおたずねしたいことがございますがよろしいですか?」
「はい、なんでしょうか?」
「え~と…イナイハルナさんと言う女性のことで話したいことがあるのです。」
「あの…こんなことをおたずねするようでもうしわけございませんが…□井さまは、ハルナさんとはどういうご関係がありますか?…あっ、はい…あっ、すみません…少々お待ちくださいませ。」
私は、一度電話を止めたあと公園の敷地内をみわたした。
もしかしたら…
この近くに…
誰かいるかもしれない…
先ほど、黒ブチメガネのグタグタ顔のおまわりさんが電話ボックスの近辺を通りかかったのを見た。
それ以外に公園内にいた人はいなかった。
しかし、もし近くに番頭《ばんと》はんがいた場合は話がややこしくなる…
番頭《ばんと》はんは、気色悪い声で『運動公園の敷地内にある電話ボックスを使いませんでしたか?』と言うてくると思う。
または…
………………………
公園内のどこかに…
ヤクザの男たちがひそんでいるかもしれない…
……………………
私は、近くに人がいないことを確認したあと電話の応対を再開した。
「もしもしお待たせしました…あの…メモを取る準備ができましたのでお話していただけますか?」
私は、メモパッドを手に取ったあと黒のラッションペンを使って女性が話した内容を書き込んだ。
受話器のスピーカーから女性の困った声が聞こえた。
「コリントさま…私は…イナイハルナと言う女から…金銭的な被害を受けたのです。」
私は『金銭的な被害を受けた…』とつぶやきながらメモ書きをした。
その後、私は女性に声をかけた。
「□井さまがハルナさんに対してお金を貸したのですね。」
「はい、そうです。」
「お金を貸した…(カキカキとメモ書きをしたあと、声をかけた)…それはいつ頃の話しですか?」
「いつ頃って…今から4年前の1月頃の話でございます〜」
「4年前の…1月…」
4年前と言うと…
1979年だ…
私は、メモ書きをしながら女性の話を聞いた。
女性は、ものすごく困った声で私に言うた。
「ハルナは、松山でファッションクラブを経営していました…カノジョは他にも、経営していた風俗店《おみせ》があったと思います。」
松山のファッションクラブ以外にも…
経営していた風俗店《おみせ》があった?
メモ書きをしていた私は、受話器越しにいる女性に声をかけた。
「ハルナさんが経営していた風俗店《おみせ》は、いくつあったのですか?」
「カノジョは、北信(北陸と長野県)〜西日本にかけての広範囲に風俗店《おみせ》をたくさん持っていました…風俗店《おみせ》の運営資金の大部分は、借金でまかなわれていたのです!!」
私は、おどろいた声で受話器越しにいる女性に言うた。
「なんだって…それじゃあ、ハルナさんはあちらこちらに借金を作っていた…と言うことですか!?」
「はい…そうですけど…」
「少々お待ちくださいませ!!」
この時、黒縁メガネのグタグタ顔の警官が通りかかったので通話を一度止めた。
警官が公園から離れたのを確認したあと、通話を再開した。
「お待たせしました…え~と…ハルナさんが借金していた件について、おたずねしたいのですが…□井さまを入れて、何人の方からおカネを借り入れていたのですか?」
「覚えてないわよ!!」
「そうですか。」
「ハルナは、正規の金融機関《きかん》に行ってユウシの申込みをしたけど、お断りされたのよ。」
「(メモ書きしながら言う)ユウシの申込みを断られた…(メモ書きを終えたあと声をかけた)…それで?」
「だから!!ユウシの申込みを断られたので、複数の人間からカネを借り入れたのよ!!」
「そうですか…それで、総額はいくらでしょうか?」
「軽く…10億はあると思うわよ〜」
「10億…」
「10億はすべて風俗店《おみせ》の運営資金に使われた…と思うけど…」
「…と思うけど…それはどういうことでしょうか?」
「目的外に使われたかもしれないと言うことよ!!」
「えっ?」
「もしもし、話を聞いてよ!!」
「すみません…あの…その目的外と言うのは…なんでしょうか?」
「だ~か~ら~…オトコに大金を与えたかもしれない…と言うことよ。」
「オトコに大金を与えた?」
「コリントさん、そんなことも知らなかったの?」
「いえ、今日はじめてお聞きしました…それで、ハルナさんがあちらこちらの人たちからカネを借り入れたのは…いつ頃から始まったのですか?」
「いつ頃からって…5年前からよ!!」
「5年前!?」
5年前と言うと…
1978年…
受話器越しにいる女性は、怒りを込めながら私に話した。
「ハルナは、5年前の1月中旬頃に…私にカネを借りにきたのよ!!」
「え~と、□井さまはどこにいたのですか?」
「宝くじ売り場よ!!」
「宝くじ売り場?」
「そうよ!!…ハルナは、私が年末(ジャンボ宝くじ)で1等5000万円を当てたのを聞いたので、アタシに対して『あやかりたい』とわけのわからないことを言うたのよ!!」
「あやかりたい?…ハルナさんは『あやかりたい』と言うたあと□井さまに『おカネ貸して〜』と言うたのですね。」
「そのとおりよ!!…ハルナが『きちんと返すから〜』と言うたのでアタシはハルナにおカネを貸したのよ!!」
「それで、□井さまはハルナさんにいくら貸したのですか?」
「10万…10万よ!!」
「(メモ書きしながら言う)ハルナさんは…□井さまから10万円を借り入れた…(書き終えたあと声をかける)…それで、その後はどうなったのですか?」
「私は、ハルナに対して『あんたに貸したカネをいつになったら返してくれるのよ!?』と言うてサイソクしたわよ!!…だけどハルナは『ゴメ〜ン』『そのうちに返す〜』『あとにして〜』…とヘラヘラ嗤《わら》いながら言うて返済を引き伸ばしたのよ!!…それから1ヶ月後に会った時だったわ…ハルナは右手で頭をポリポリかきながら『ゴメ〜ン…あのお金盗まれたの〜』と言うたあと逃げたのよ!!…だけど…ハルナはアタシの他にも複数の人たちからカネを借り入れていたのよ!!…その分を含めて総額は2000億円に上るわよ!!」
「(おどろいた声で言う)2000億!?…もしもし□井さま…□井さまと複数人の方の他に…ハルナさんにカネを貸した人はいらっしゃいますか!?」
「いるわよ!!ハルナは私と複数人の人たちの他にも、70前後の金融会社《かねかし》を利用していたわよ…その分を加算すると…軽く1兆円になっていると思うわよ〜」
「(おどろいた声で言う)1兆円!!」
「それともう一つ…何日か前にある人から聞いた話だけど…ハルナがヤミ金から8億のカネを借りていたみたいよ!!」
「(ものすごくおどろいた声で言う)なんだって!?ハルナさんがヤミ金を利用していた!?」
衝撃的な話を聞いた私は、背筋が凍りついて動けなくなった。
…………………………