大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【酒と泪と男と女・その2】

(ボーッ、ボーッ、ボーッ、ボーッ…)

時は、午後2時過ぎであった。

私は、宇野港から出航した宇高国道フェリーに乗って再び旅に出た。

2等の客室(カーペット席)にて…

緑色のカーペットの上に78〜80年の3年手帳がひらいた状態で置かれていた。

私は、万年筆を使って1978年1月のカレンダーにハルナさんがカネを借りたイキサツを記入していた。

メモパッドに書かれた内容を一つずつ確認しながら万年筆を使ってカレンダーにメモの内容を転記した。

ハルナさんは、複数の友人知人たちと複数の金融会社《かねかし》にだけではなく…

ヤミ金からも大金を借り入れていた…

ハルナさんは…

借りた金を…

1円も返さずに逃げ回っていた…

………………………

ハルナさんは…

かなり危険な状態に…

おちいった…

……………………………

フェリーは、午後3時半頃に高松港に到着した。

ショルダーバックを持ってフェリーから降りた私は、歩いて高松市中心部《ちゅうしんぶ》へ向かった。

…………………………

時は、夜7時頃であった。

またところ変わって、ことでん片原町駅の商店街《アーケード》の裏にある居酒屋にて…

カウンターの上に、冷ややっこと山かけと清酒金陵《きんりょう》のアツカンが入っている白いトクリとおちょこが並んでいた。

カウンターに座っている私は、すごく疲れた表情を浮かべながらアツカンをのんでいた。

店のユーセンのスピーカから河島英五さんの歌で『酒と泪と男と女』が流れていた。

…………………………

時は、夜10時過ぎであった。

またところ変わって、ことでん瓦町駅の裏手にある露地にて…

私は、居酒屋を出たあとあちらこちらを歩き回っていた。

この時、私は道に迷ったことに気がついた。

たいへんだ…

道に迷ってしまった…

……………………

この時、私は300メートル先で男女が言い争っている声を聞いた。

私は、現場の手前100メートルの場所に到着したあと身をひそめた状態で座り込んだ。

あの声は…

番頭《ばんと》はんとハルナさんだ…

一体、なにがあったのだ…

……………………

私がいる場所から100メートル先の場所にて…

番頭《ばんと》はんは、ハルナさんに対して怒った声で言うた。

「おいネーチャン!!オレがなんで怒っているのか…と言うのがまだ分からんのか!?オレが怒っているのは、ネーチャンが借りたカネを返さずに逃げ回っていることに対して怒っているのだよ!!」

ハルナさんは、ものすごく泣きそうな声で番頭《ばんと》はんに言うた。

「お願いです…許してください…うちは今…(台所事情が)苦しいのよ…」

番頭《ばんと》はんは、ものすごく怒った声でハルナさんに言うた。

「あのよ…ネーチャンが言うたそのセリフはもう聞きあきたのだよ…ネーチャンが『あと1週間待ってください…』と言うたけん、オレは『ほな待ったるわ!!』と言うたんや…オレはネーチャンがカネを返す意思があると見込んで1週間待ったんや!!…せやのにネーチャンが『もう1週間だけ待って〜』と言うた!!…ネーチャンはどこのどこまでワテをグロウする気や!?ああ!!」

ハルナさんは、ものすごく泣きそうな声で番頭《ばんと》はんに言うた。

「お願いです…もう1週間だけ待ってください!!」
「アカン!!はよ返せ!!」
「お願いこの通り…うちはすごく苦しいのよ〜」

番頭《ばんと》はんは、腹巻きの中に入れていたメモパッドを出したあと、メモパッドに書かれている内容をみてからハルナさんに言うた。

「おい!!こっちはネーチャンがワテに対して言うたいいわけをメモがあるぞ!!…『こまかいのが手もとにない』『今、苦しいの…』『ほかにも借金がたくさんあるので困っているのよ…』…ネーチャンの頭は、逃げることしか知らねえのかよ!?」
「逃げてなんかいないわよ!!ほんとうに苦しいのよ!!」

番頭《ばんと》はんは、腹巻に隠していた刃渡りのするどいサバイバルナイフを取り出した。

ハルナさんは、番頭《ばんと》はんに対して泣きながら言うた。

「やめて…殺さないで…」

番頭《ばんと》はんは、ものすごく怒った声でハルナさんに言うた。

「借りたカネを返すことができないのであれば、ネーチャンのからだで払うことになってるのだよ!!…ワテはネーチャンに3000万円を貸してんねん…その3000万円をまだ受け取ってねえんだよ!!…ネーチャンはワテの他にも、複数の友人知人たちから大金《カネ》を借り入れていた…それだけじゃあらへん…ネーチャンは、複数の金融会社《カネカシ》からも大金《カネ》を借り入れた…と言うことも聞いたぞ!!…その上また上に、複数のヤミ金からも大金《カネ》を借り入れてたことがわかった!!…債務額《そうがく》は1京《けい》円にのぼるみたいだな!!」

1京《けい》円!!

ハルナさん…

そんなになるまで…

大金《カネ》を借りていたって…

番頭《ばんと》はんが言うた言葉を聞いた私は、思わずゼックした。

番頭《ばんと》はんは、ものすごく怒った声で言いながらハルナさんに接近した。

「おいネーチャン!!…グダグダ言わずにカネを出せ!!」
「やめて…明日になったら払うから…イヤ!!」

(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)

思い切りブチ切れた番頭《ばんと》はんは、ハルナさんが着ていた黒のストッキングをサバイバルナイフで斬《き》り裂いた。

ハルナさんは、泣き叫ぶ声で言うた。

「なにすんのよ!!」
「ふざけるな!!」
「やめて!!」

(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)

思い切りブチ切れた番頭《ばんと》はんは、ハルナさんが着ていた赤色のミドルスカートをサバイバルナイフでズタズタに斬《き》り裂いた。

ハルナさんは、非常に激しい声で番頭《ばんと》はんを怒鳴りつけた。

「なにすんのよ!!アタシのオキニのカシミヤのスカートを傷つけたら許さないわよ!!」

番頭《ばんと》はんは、ものすごく怒った声でハルナさんを攻撃した。

「ふざけるなクソアマ!!複数の人間と金融会社《カネカシ》から借り入れたカネの使い道が風俗店《おみせ》を経営する資金が大ウソであったことがよくわかった!!やっつけてやる!!」

………………………

私がいる場所にて…

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!やめて!!やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて!!」

(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!…パチーン!!パチーン!!パチーン!!パチーン!!)

「いたい!!いたい!!いたい!!いたい!!いたい!!」

ハルナさんの痛烈な叫び声と布が激しく破れる音と乾いた音が私の耳に届いた。

こわい…

やめろ…

やめてくれ…

……………………

身を潜めている私は、全身をブルブルと震わせながらおびえまくった。
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