大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【帰りたくなったよ】

時は、3月15日の朝9時半頃であった。

またところ変わって、伊予市の五色浜公園にて…

ベンチの上に78〜80年の3年手帳がひらいた状態で置かれていた。

私は、メモパッドに記載されている内容と手帳のカレンダーに記載されている内容を照合する作業をしていた。

ハルナさんが特大規模の借金を抱えたことが原因で行方不明になった。

ことの始まりは、ハルナさんが信金の職員からユウシを断られたことであった…

自暴自棄におちいったハルナさんは、複数の友人知人たちと金融会社《カネカシ》から大金《カネ》を借り入れた。

借り入れた大金《カネ》の使い道は…

風俗店《おみせ》の経営資金にあてたとハルナさんが言うたが…

それは大ウソだった…

一体、どうなっているのだ…

……………………………

時は、午前11時半過ぎであった。

またところ変わって、伊予市灘町《しないなだまち》の商店街の通りにあるたばこ屋にて…

私は、カウンターに設置されている10円の赤電話機を使って電話をかけていた。

(ポト…)

10円玉1枚が金庫に入ったあと通話を始めた。

「もしもし、松前町東古泉《まさきちょうひがしこいずみ》にお住まいの△原さまのおたくでございますか?…お世話になります…コリントイワマツヨシタカグラマシーと申します…え~と、そちらにイナイハルナさまはお越しになられましたか?はい、松山市内でファッションクラブを経営していた女性《ひと》でございます…そうですか…お見かけになられてないのですね…分かりました…あの…もし、イナイさまがお越しになられた時でかまいませんので、ひとことお伝えしたいことがございます…あの、コリントが心配になられていた…それだけでかまいません…よろしくお願いいたします…お世話になりました。」

(ガチャ…ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)

私が左手で白のフックを押したと同時に、返却口に10円玉がたくさん出た。

私は、赤のラッションペンを使ってメモパッドに『確認済み』と記入した。

………………………

さて、その頃であった。

またところ変わって、いよてつ余戸駅《ようごえき》から歩いて10分のところにある賃貸マンションの2LDKの部屋にて…

マンションの部屋は、ハルナさんの旧友の女性が暮らしている部屋であった。

旧友は、ものすごく困った声でハルナさんに言うた。

「あんたこの先どうするつもりよ…借金の総額は、想像を絶する金額よ…ハルナ!!ハルナってば!!」

旧友の問いに対して、ハルナさんは答えなかった。

うつろな表情を浮かべていたハルナさんの両目から涙がたくさんあふれていた。

旧友は、ものすごくいらついた声でハルナさんに言うた。

「ハルナ!!涙をたくさん流している場合じゃないのよ!!」

ハルナさんは、落胆した声で旧友に言うた。

「仕方ないわよ…アタシは…性格がだるいから…何やってもダメなのよ…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」

ハルナさんは、両手で顔を覆った状態でぐすんぐすんと泣き出した。

その後、ハルナさんは『アタシ…出ていくわ…』と泣きながらたちあがった。

旧友は『待って!!』と言うてハルナさんを止めたあと、バックの中から黒の長財布を取り出した。

その後、中から10万円を取り出した。

旧友は、ハルナさんに対して10万円を右手ににぎらせながらあつかましい声で言うた。

「宿代と食事代よ…ハルナ…今のハルナに残された選択肢は『裁判所へ出頭する』か『ヤクザ連中たちにコンクリ詰めにされる』か『野垂れ死に』の3つしかないのよ!!…分かってるの!?」
「ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」

ハルナさんは、ぐすんぐすんと泣いた。

旧友は、ものすごくイラついた声でハルナさんに言うた。

「ハルナ!!ビービービービービービービービービービービービーと泣いている場合じゃないのよ!!人の話を聞きなさい!!」
「ビービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービービー!!」

旧友がハルナさんに対してよりし烈な声をあげたので、ハルナさんの泣き方がひどくなった。

…………………………

(カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、午後2時半過ぎであった。

またところ変わって、いよてつ郡中駅にて…

駅のすぐ近くにある踏み切りの警笛が鳴っていたと同時に遮断器《バー》が降りていた。

警笛が鳴っている踏み切りに松山市駅行《しえきゆ》きの電車がゆっくりと走行していた。

私は、駅のすぐ近くにあるマンション(いよてつロフティ)の敷地内に設置されている電話ボックスにいた。

私は、四角の水色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。

松山市と周辺の地域で暮らしているハルナさんの友人知人方へ電話をかけていた。

午後2時半現在、ハルナさんがいたと言う知らせはまだなかった。

「そうですか、分かりました…あの、もしハルナさんがお越しになられたら…はい、コリントが心配なされていたと伝えればいいです…よろしくお願いいたします。」

………………………

ハルナさんは…

どこにいるのだ…

…………………………

それからまた5分後であった。

私は、万年筆を使ってスーパーマップルの四国地方の松山南部の地図上に書き込みをしていた。

地図上に青インクの筆跡《あと》がたくさんついていた。

私は、ものすごく困った声で言うた。

「ハルナさんは、どこへ行ったのだ…」

(パタ…)

書き込みを終えた私は、スーパーマップルを閉じた。

その後、スーパーマップルと万年筆をショルダーバックに収納した。

続いて、電話機の上に置いていたメモパッドを手に取った。

私は、メモパッドに記載されている内容を見ながら言うた。

「あちらこちらの家に電話をかけたけど…ハルナさんはいなかった…今のハルナさんの状態は…きわめて危険だ…」

……………………

その時であった。

(ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!)

この時、けたたましいベルが鳴り響いた。

私は、受話器を手にしたあと話をした。

「はいもしもしコリントイワマツヨシタカグラマシーです!!」

受話器のスピーカーから女性の悲痛な声が聞こえた。

「もしもし…コリントさまでございますね…松山市土居田町の□沢と申します。」
「もしもし、どうかなさいましたか!?」
「(マンションの)下の階に住んでいたイナイの奥さまは見つかりましたか?」
「ああ…ハルナさんでございますね…まだ、見つかっていないのです〜」

女性は、悲痛な声で私に言うた。

「助けてください!!お願いです!!」
「助けてくださいって、なにかあったのですか!?」
「コリントさま…下の階に住んでいた住人たちが全員引っ越して行ったのです…」
「それは…ハルナさんが暮らしていた部屋がある階のことでございますね。」
「そうでございます。」
「まさか。」
「コリントさま。」
「はい。」
「イナイの奥さまを早く見つけてください!!」
「えっ?」
「うちが暮らしている階の住民の方が昨日までに全員引っ越ししたのです…イナイの奥さまが暮らしていた部屋がある階より下の階の住民全員が昨日までにマンションから出たのです!!」
「なんだって!?」
「コリントさま、助けてください!!」

助けてください…

…って言われても…

私は…

刑事じゃないのだよ…

…………………………

私は、受話器越しにいる女性に対して警察署に相談することをすすめた。

「もしもし、あの…それならば、すぐに警察署に知らせてください!!」

受話器越しにいる女性は、ものすごくイラついた声で私に言うた。

「警察署はあてにならないわよ!!」
「奥さま!!今は非常事態ですよ!!」
「分かってるわよ!!」
「それなら早く警察署へ知らせてください!!」
「警察署は信用できないわよ!!この前、警察署に行ったけど…『いそがしい』『あとにしてくれ』『迷子の子供のおかあさんを探している』…と言うて私たちを追い出したのよ!!」
「もしもし〜」
「きのう、松山東警察署《ひがししょ》へ行ったけど…警察署の人たちは、去年発生したホステス殺人事件の容疑者を逮捕することが最優先だったので、応じなかったのよ!!…日本の警察は信用できないわよ!!」
「もしもし〜」
「私たちは日本の警察は信用できないからコリントさまに助けを求めているのよ!!」

(ガチャ!!)

思い切りブチ切れた私は、受話器をガチャンと置いたあと『ふざけるな!!』と怒鳴り声をあげた。

……………………

警察は信用できないから私に助けを求めた…

私にどうしてくれと言うのだ…

どいつもこいつもふざけやがって!!

甘えるな!!

…………………………
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