大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【愛の夜明け】

時は、朝7時50分頃であった。

またところ変わって、久万高原町の中心部にある笛ヶ滝公園にて…

三永《みえ》さんと私は、町の中心地が見える丘の上にいた。

三永《みえ》さんは、私に対してこう言うた。

「ハルナさんが1京円《けいえん》を借り入れた…使い道は風俗店《おみせ》の経営…と言うのは大ウソだったのよ。」
「やっぱりそうだったのか…どうりでおかしいと思ったよ。」

三永《みえ》さんは、ひと呼吸ついたあと私に声をかけた。

「ハルナが1京円《けいえん》を借金した理由は…あるものがほしいからよ。」
「ちょっと待って…今、メモパッドを出すから…」

私は、ショルダーバックの中からメモパッドと黒のラッションペンを取り出した。

メモパッドの余白のページをひらいたあと、ラッションペンのキャップをとって後ろにつけた。

その後、私は三永《みえ》さんに対して声をかけた。

「お待たせしました…三永《みえ》さん…ハルナさんがほしいものは…なんだったのか教えてください!!」

三永《みえ》さんは、私に対してこう答えた。

「あの女(ハルナ)がどうしてもほしいものは…セヴァスチャンじいさんが所有している…超莫大な財産一式よ。」

私は『超莫大な財産一式…』と言いながらメモ書きしたあと三永《みえ》さんに声をかけた。

「三永《みえ》さん…それってまさか!!」

三永《みえ》さんは、私に対して『そう…そのまさかよ…』と言うたあと、私にこう言うた。

「アタシ…セヴァスチャンじいさんとハルナが会話していたところを見たのよ。」
「なんだって!?」

三永《みえ》さんは、ハルナさんのことを話した。

「ハルナに風俗店《おみせ》の経営なんか出来るわけないわよ。」
「それじゃあ、松山市三番町《さんばんちょう》のファッションクラブは…」
「ファッションクラブを経営していたのは、違う人だったのよ。」
「違う人!?」
「うん。」

三永《みえ》さんは、メモ書きをしている私に対してこう言うた。

「ファッションクラブを経営していたのは…70代の女性の方だったのよ…経営難で店の収益が悪化した上に、女性が病気で寝たきりになったのよ…ハルナは、女性からファッションクラブを買い取ったのよ。」
「それはいつ頃?」
「今から7年前のことよ。」
「7年前。」
「うん。」

私は、メモ書きをしながら『1976年頃…』と言うたあと三永《みえ》さんに言うた。

「それで、ファッションクラブは?」
「営業していなかったわよ…ハルナが所有しただけよ…それともう一つ、とんでもない話を聞いたのよ。」
「とんでもない話?」
「今から5年前の話だけど…ハルナは、北陸東海から西日本の広範囲にあった風俗店《おみせ》を買い占めたのよ。」
「そのお店もまた…経営難だった…ってこと?」
「そうよ。」
「その店も、営業されていなかった…よね。」
「そうよ…ハルナが経営していたと思われる会社についてだけど…経営実績が全くないペーパーカンパニーだったのよ。」
「ペーパーカンパニー!?」
「そうよ。」
「…ってことは…ハルナさんは、買い占めた風俗店《おみせ》をタンポに…あちらこちらから…大金《カネ》を借り入れてた!?」
「そうよ。」

私は、力ない声で『なんてこった〜』と言いながらメモ書きをした。

……………………………

時は、朝10時半頃であった。

またところ変わって、町の中心部にあるバスターミナルにて…

ショルダーバックを持っている私は、高知行きの国鉄バス『なんこく号』を待っていた。

この時、三永《みえ》さんがキオスクのロゴ入りのレジ袋を持って私のもとにやってきた。

三永《みえ》さんは、私に対して声をかけた。

「ヨシタカさん。」
「三永《みえ》さん。」
「これ、きょうのお昼と夕方のお弁当よ。」
「ああ、ありがとう。」

私は、キオスクのロゴ入りのレジ袋を受け取ったあと三永《みえ》さんに声をかけた。

「これから三永《みえ》さんは、どこへ行くのかな?」
「大洲で暮らしている友人宅へ行くわ。」
「分かった。」
「それから…これもお願い。」

三永《みえ》さんは、私に対して1枚のメモ書きを手渡したあと私に声をかけた。

「もし、何かわかったら…(三永《みえ》さんのポケベルを)鳴らしてね。」
「分かった…三永《みえ》さんも…ハルナさんが不審な動きをしていたところを見たらすぐに(ポケベルを)鳴らしてね。」
「いいわよ。」

この時であった。

バス乗り場に高知行きの国鉄バス『なんこく号』が到着した。

ショルダーバックを持っている私は、停車中のバスに乗り込んだ。

………………………

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

それから15分後であった。

バス乗り場から『なんこく号』が出発した。

バス乗り場に残った三永《みえ》さんは、ひとことも言わずに私が乗り込んだバスを見送った。

………………………

バスの中にて…

私は、レジ袋に入っていた唐揚げ弁当と500ミリリットルのサントリー缶ビールを取り出したあとランチを摂り始めた。

三永《みえ》さんは、私と別れたあと松山市駅行《しえきい》きのいよてつ南予バスに乗って松山市へ引き返した。
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