大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【あした】

時は、3月20日の午後12時50分頃であった。

私が乗っていた長距離トラックが東予市壬生川の国道196号線・横町のバス停のすぐ近くにあるナイトショップの前に到着した。

ショルダーバックを持ってトラックから降りた私は、運転手《うんちゃん》に一礼を述べたあと再び歩き出した。

それからまた10分後であった。

またところ変わって、信号がある三叉路《さんさろ》から歩いて200メートル先にある自転車屋にて…

私は、自転車屋の主に対して声をかけた。

「あの…すみません。」
「はい。」
「イナイさんのお宅は、どちらにありますか?」
「ああ…イナイの板金屋ならすぐ近くだよ。」
「ありがとうございます。」

………………………

またところ変わって、ハルナさんのダンナさんの実家にて…

私は、メモパッドに記載されているメモをみてから家の表札を確認した。

「ああ、ここだ。」

私は、戸をノックしたあと中にいる人に声をかけた。

(トントン…)

「ごめんください!!…イナイさん!!…イナイさん!!…いらっしゃいますか!?…イナイさん!!」

しかし、中からの応答はなかった。

応答がない…

家の人たちは…

どこへ行ったのだ…

………………………

それからまた30分後であった。

またところ変わって、大正通り沿いにある駅前商店街にて…

私は、信号の角にある理容院《さんぱつや》の前にいた。

私が信号待ちをしていた時だった。

(ピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピー…)

ズボンの前ポケットに入れているポケベルが鳴ったので、ポケットの中からポケベルを取り出したあと、ディスプレイに表示されているメッセージを読んだ。

三永《みえ》さんからだ…

新しい情報が入ったのか?

……………………………

時は、午後3時過ぎであった。

またところ変わって、松山市山越町にある電話局の中にある電話交換室にて…

電話交換台の席に三永《みえ》さんが座っていた。

電話局の人が三永《みえ》さんに対して『つながりました』と声をかけた。

三永《みえ》さんは、ヘッドフォン型の受話器を頭につけたあと受話器越しにいる私に声をかけた。

「もしもし、三永《みえ》です。」

またところ変わって、国鉄壬生川駅の入り口付近に設置されている電話ボックスにて…

私は、四角の黄色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。

「ああ三永《みえ》さん、ハルナさんのダンナ方の実家へ立ち寄った…だけど、家の中に人はいなかった…まわりの人たちに聞いたけど、『知らない』とか『寝ているのじゃないの?』とか言うてたよ…一体どうなってるのだよ…三永《みえ》さん…三永《みえ》さん!!」

またところ変わって、山越町《やまごえ》の電話局の中にある電話交換室にて…

三永《みえ》さんは、私に対して声をかけた。

「聞こえてるわよ…ヨシタカさんが聞いたのはそこまでよね…うん…今、3時を回ったところだけど…これからどうするのよ…ヨシタカさん…アタシ…これから川内(東温市)へ行くわ。」
「川内。」
「夜7時に、川内の(いよてつバスの)詰所へ行くから…そこで待ってくれる?」
「川内の(いよてつバスの)詰所に夜7時だな…分かった…オレ、今からそっちへ行く!!」
「分かったわ…じゃあ…またあとで。」

……………………………

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

時は、夕方6時半頃であった。

またところ変わって、いよてつバスの川内詰所にて…

新居浜・西条方面からやってきたせとうちバスの松山市駅行《しえきい》きの特急バスがバス停に到着した。

ショルダーバックを持ってバスから降りた私は、左腕につけているロレックスの腕時計を見た。

時計のはりは、夕方6時31分を指していた。

三永《みえ》さんとの待ち合わせは、夜7時である。

三永《みえ》さんは、どこにいるのだ?

……………………

それからまた10分後であった。

白のワンピース姿の三永《みえ》さんが私のもとにやってきた。

「ヨシタカさん。」
「三永《みえ》さん。」
「お待たせしました…行きましょう。」
「ああ。」

………………………

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…)

時は、夜9時過ぎであった。

この時間、三永《みえ》さんと私は県道伊予川内線の松山市中野町付近の歩道を歩いていた。

車道にたくさんの自動車が往来していた。

三永《みえ》さんと私は、ひとことも言わずに歩いていた。

三永《みえ》さんは…

私を連れて…

どこへ行こうとしているのか…

…………………………
< 783 / 900 >

この作品をシェア

pagetop