大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)
【赤い涙】
時は、深夜11時半頃であった。
またところ変わって、国鉄北伊予駅の待合室にて…
白の蛍光灯が灯っている無人の待合室にあるベンチに三永《みえ》さんと私が座っていた。
ベンチに座っている私は、三永《みえ》さんに声をかけた。
「三永《みえ》さん。」
「なあに?」
「三永《みえ》さんは、新荘《しんじょう》の漁港で…ハルナさんと溝端屋の番頭《ばんと》はんがいた現場を見たと言うたね。」
「ええ。」
三永《みえ》さんは、ひと呼吸おいて私に言うた。
「あのねヨシタカさん。」
「なに?」
「ハルナさんのことで…新たな事実がわかったのよ。」
「ちょっと待って〜」
私は、ショルダーバックの中からメモパッドと黒のラッションペンを取り出した。
メモを取る準備ができたあと、私は三永《みえ》さんに声をかけた。
「お待たせ…三永《みえ》さん。」
「分かったわ。」
三永《みえ》さんは、私に対してこう言うた。
「ヨシタカさんの言う通りだったわ…ハルナさんは、ケーサツ沙汰になっていたわよ。」
「やっぱりそうだったのか。」
「ハルナさんは、高知のとさでん会館の中にある純喫茶店《サテン》で伏《ふせ》の奥さまと会った際に、借金の保証人になってほしいと頼んだのよ…もちろん、伏《ふせ》の奥さまは断ったわよ…断られたハルナさんは、どうしても伏《ふせ》の奥さまに借金の保証人になってほしい…だから、伏《ふせ》の奥さまに対してつきまといをしたのよ!!」
………………………
(ミーンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミーン…ミーンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミーン…)
時は、1978年7月末頃の昼過ぎだった。
この日は、不快指数が非常に高い日だった。
町中にミンミンゼミの大合唱が響いていた。
またところ変わって、国鉄伊野駅からあるいて数分のところにある飲食店にて…
伏《ふせ》の奥さまは、飲食店のテーブルの席にひとりで座っていた。
伏《ふせ》の奥さまは、ひとりで宇治金時《きんとき》(かき氷)を食べていた。
この時、白のブラウスとネイビーのボブソンのジーンズ姿のハルナさんが店に入った。
ハルナさんは、伏《ふせ》の奥さまが座っている席にずうずうしく座ったあとにこやかな声で言うた。
「奥さま〜」
伏《ふせ》の奥さまは、ハルナさんに対して怒った声で『何しにきたのよ!!』と言うた。
ハルナさんは、困った声で言うた。
「どうしてそんなに怒るのよ?」
「あんた何しにきたのよ!?」
「アタシは伏《ふせ》の奥さまと一緒にスイーツが食べたいから来たのよ。」
この時、店の人が注文を取りに来た。
ハルナさんは、店の人に対して『同じもの』と言うた。
店の人が席を離れたあとだった。
伏《ふせ》の奥さまがものすごく怒った声でハルナさんに言うた。
「帰んなさいよ!!」
「帰れって?」
「あんたさっき、店の人に『同じもの』と言うたわね!!」
「アタシも宇治金時《きんとき》が食べたいのよ〜」
(ガツーン!!)
ハルナさんが言うた言葉を聞いた伏《ふせ》の奥さまは、パンプスの先でハルナさんの頭を殴りつけた。
殴られたハルナさんは、泣きそうな声で『いたい!!』と言うた。
伏《ふせ》の奥さまは、ものすごく怒った声で言うた。
「あんたがうちの席にずうずうしく座ったから殴られたのよ!!」
「アタシは、宇治金時《きんとき》が食べたいのよ!!…イヤ!!」
(ガーン!!)
思い切りブチ切れた伏《ふせ》の奥さまは、ハルナさんの額を柱にぶつけた。
「ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」
ひたいをぶつけられたハルナさんは、ぐすんぐすんと泣き出した。
…………………………
時は、1983年3月20日の深夜の北伊予駅にもどる…
三永《みえ》さんは、ハルナさんの悪口をボロクソに言うた。
「あの一件の非は、全部ハルナさんにあるのよ。」
「ハルナさんに全部非がある…」
「だから、ハルナさんは人を怒らせることをしたのよ!!…人が座っている席にずうずうしく座った上に、人が食べているものと同じものを注文した…ハルナさんが伏《ふせ》の奥さまに対して行ったのはストーカーよ!!」
私は『ハルナさんが伏《ふせ》の奥さまにストーカーをしていた…』と言いながらメモ書きした。
三永《みえ》さんは、私に対してこう言うた。
「ハルナさんは、伏《ふせ》の奥さまから暴力をふるわれてボロボロに傷ついたわ…だけど、ハルナさんは伏《ふせ》の奥さまが借金の保証人に応じると言うまでつきまといをつづけたのよ!!」
私は『ハルナさんは…伏《ふせ》の奥さまが借金の保証人に応じると言うまでつきまといをつづけた…』と言いながらメモ書きをしたあと三永《みえ》さんに声をかけた。
「三永《みえ》さん。」
「なあに?」
「伏《ふせ》の奥さま以外の周りの人たちはどうだったの?」
「そんなの決まってるわよ…伏《ふせ》の奥さま以外の人々はみんなハルナさんに対して非常に冷たかったわよ。」
私は『ハルナさんの周りの人々はみんな非常に冷たかった…』と言いながらメモ書きをしたあと三永《みえ》さんに声をかけた。
「それじゃあ、ハルナさんは周りの人々からきらわれていたってこと?」
「そのとおりよ。」
「それじゃあ、なんでハルナさんは伏《ふせ》の奥さまに対して借金の保証人を求めつづけたのかな?」
「さあ…よくわからないけど…伏《ふせ》の奥さまがやさしかったからじゃないかな?」
「それもあるけど…違う考え方もあると思うよ。」
「たとえばなに?」
「たとえばの話だけど…伏《ふせ》の奥さまのご実家または親類の家が資産家だった…で、裕福だったから…」
「だから何よ?」
「だから、伏《ふせ》の奥さまのご実家や親類の家が資産家だから借金の保証人になってくれる…とハルナさんが思っていた…と言うことだよ!!」
「ふ~ん、そうだったのね。」
「三永《みえ》さん!!私が話したのは『たとえば』の話だよ!!まだ『確定』したわけじゃないのだよ!!」
「そうだったわね。」
私は、ひと呼吸おいてから三永《みえ》さんに声をかけた。
「話し変えるけど…」
「なあに?」
「ハルナさんが松山で経営していたファッションクラブの件だけど…」
三永《みえ》さんは、変な表情で私に言うた。
「ハルナさんが松山でファッションクラブを経営していた話をどこで聞いたのよ?」
「えっ?」
「三番町にあったファッションクラブは、別の人が経営していたのよ。」
「うそ。」
「ほんとうよ。」
三永《みえ》さんは、ひと呼吸おいてから私にわけを話した。
「ハルナさんは、3年ほど前に松山で暮らしている知人の家に転がり込んだのよ。」
「その知人と言う人がファッションクラブの経営者だった…と言うこと?」
「そのとおりよ。」
「それで?」
「ハルナさんは、ファッションクラブで部屋のクリーニングのお仕事をしていたのよ…だけど、働き始めてから半月後に、経営者の女性の都合が急に悪くなったのよ。」
「どうして?」
「経営者の女性の方の実家の家族たちが『心細い〜』と言うたのよ。」
「なんだよそれは…」
「だから、実家のご家族たちが女性経営者さまを頼っていたのよ。」
「だから実家へ帰ったと言うのか?」
「そうよ。」
「じゃあ、ファッションクラブの経営はどうなったのだよ?」
「ハルナさんに引き継いだわ。」
「そう言うことか…女性経営者さまのご実家はどこにあるのだよ?」
「えーとね…センザキだったかしら〜」
「センザキ…センザキと言うたら山口県の北部にあるよね。」
「うん、そこよ。」
「それじゃあ、センザキへ行ったらなにかわかるのだな。」
「わかるかどうかは分からないけど…なんらかのヒントがあると思うわよ。」
「わかった。」
三永《みえ》さんは、私に対してこう言うた。
「それともう一つだけど、ハルナさんのことで新たな事実が判明したのよ。」
「新たな事実が判明した?」
「うん。」
「それは…やっぱり…」
「そう…そのやっぱりよ…ハルナさんが伏《ふせ》の奥さまに対して言うた言葉は…すべて大ウソだったのよ。」
「それじゃあ、北陸《きた》から九州《にし》までの広い範囲に風俗店《おみせ》を持っていたと言うのは…ウソだったと言うこと?」
「そうよ…ハルナさんは超ナマケモノよ…超ナマケモノのハルナさんが風俗店《おみせ》の経営なんか出来るわけないわよ。」
「…と言うことは…ハルナさんが超大金《たいきん》を借金した目的は…別にあると言うこと?」
「そうよ…アタシ、その辺のことについて調べてくるわ。」
「わかった。」
「もういいわよ…アタシ…寝るわ。」
「ああ。」
このあと、三永《みえ》さんは壁にもたれた状態で眠りについた。
………………………
日付が変わって、3月21日の深夜0時20分頃であった。
待合室に置かれているテーブルの上にメモパッドと手帳が置かれていた。
私は、メモパッドに書かれている内容を万年筆を使って手帳に転記する作業をしながらつぶやいた。
一体どうなっているのだ…
ハルナさんが超大金《たいきん》を借金した目的はなんだ…
ハルナさんが借金の保証人を伏《ふせ》の奥さまに頼みつづけた理由はなんだ…
ハルナさんは、風俗店《おみせ》を経営する能力がないのに、なんでファッションクラブの経営を引き受けたのか…
ますますわからなくなった…
………………………
またところ変わって、国鉄北伊予駅の待合室にて…
白の蛍光灯が灯っている無人の待合室にあるベンチに三永《みえ》さんと私が座っていた。
ベンチに座っている私は、三永《みえ》さんに声をかけた。
「三永《みえ》さん。」
「なあに?」
「三永《みえ》さんは、新荘《しんじょう》の漁港で…ハルナさんと溝端屋の番頭《ばんと》はんがいた現場を見たと言うたね。」
「ええ。」
三永《みえ》さんは、ひと呼吸おいて私に言うた。
「あのねヨシタカさん。」
「なに?」
「ハルナさんのことで…新たな事実がわかったのよ。」
「ちょっと待って〜」
私は、ショルダーバックの中からメモパッドと黒のラッションペンを取り出した。
メモを取る準備ができたあと、私は三永《みえ》さんに声をかけた。
「お待たせ…三永《みえ》さん。」
「分かったわ。」
三永《みえ》さんは、私に対してこう言うた。
「ヨシタカさんの言う通りだったわ…ハルナさんは、ケーサツ沙汰になっていたわよ。」
「やっぱりそうだったのか。」
「ハルナさんは、高知のとさでん会館の中にある純喫茶店《サテン》で伏《ふせ》の奥さまと会った際に、借金の保証人になってほしいと頼んだのよ…もちろん、伏《ふせ》の奥さまは断ったわよ…断られたハルナさんは、どうしても伏《ふせ》の奥さまに借金の保証人になってほしい…だから、伏《ふせ》の奥さまに対してつきまといをしたのよ!!」
………………………
(ミーンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミーン…ミーンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミーン…)
時は、1978年7月末頃の昼過ぎだった。
この日は、不快指数が非常に高い日だった。
町中にミンミンゼミの大合唱が響いていた。
またところ変わって、国鉄伊野駅からあるいて数分のところにある飲食店にて…
伏《ふせ》の奥さまは、飲食店のテーブルの席にひとりで座っていた。
伏《ふせ》の奥さまは、ひとりで宇治金時《きんとき》(かき氷)を食べていた。
この時、白のブラウスとネイビーのボブソンのジーンズ姿のハルナさんが店に入った。
ハルナさんは、伏《ふせ》の奥さまが座っている席にずうずうしく座ったあとにこやかな声で言うた。
「奥さま〜」
伏《ふせ》の奥さまは、ハルナさんに対して怒った声で『何しにきたのよ!!』と言うた。
ハルナさんは、困った声で言うた。
「どうしてそんなに怒るのよ?」
「あんた何しにきたのよ!?」
「アタシは伏《ふせ》の奥さまと一緒にスイーツが食べたいから来たのよ。」
この時、店の人が注文を取りに来た。
ハルナさんは、店の人に対して『同じもの』と言うた。
店の人が席を離れたあとだった。
伏《ふせ》の奥さまがものすごく怒った声でハルナさんに言うた。
「帰んなさいよ!!」
「帰れって?」
「あんたさっき、店の人に『同じもの』と言うたわね!!」
「アタシも宇治金時《きんとき》が食べたいのよ〜」
(ガツーン!!)
ハルナさんが言うた言葉を聞いた伏《ふせ》の奥さまは、パンプスの先でハルナさんの頭を殴りつけた。
殴られたハルナさんは、泣きそうな声で『いたい!!』と言うた。
伏《ふせ》の奥さまは、ものすごく怒った声で言うた。
「あんたがうちの席にずうずうしく座ったから殴られたのよ!!」
「アタシは、宇治金時《きんとき》が食べたいのよ!!…イヤ!!」
(ガーン!!)
思い切りブチ切れた伏《ふせ》の奥さまは、ハルナさんの額を柱にぶつけた。
「ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」
ひたいをぶつけられたハルナさんは、ぐすんぐすんと泣き出した。
…………………………
時は、1983年3月20日の深夜の北伊予駅にもどる…
三永《みえ》さんは、ハルナさんの悪口をボロクソに言うた。
「あの一件の非は、全部ハルナさんにあるのよ。」
「ハルナさんに全部非がある…」
「だから、ハルナさんは人を怒らせることをしたのよ!!…人が座っている席にずうずうしく座った上に、人が食べているものと同じものを注文した…ハルナさんが伏《ふせ》の奥さまに対して行ったのはストーカーよ!!」
私は『ハルナさんが伏《ふせ》の奥さまにストーカーをしていた…』と言いながらメモ書きした。
三永《みえ》さんは、私に対してこう言うた。
「ハルナさんは、伏《ふせ》の奥さまから暴力をふるわれてボロボロに傷ついたわ…だけど、ハルナさんは伏《ふせ》の奥さまが借金の保証人に応じると言うまでつきまといをつづけたのよ!!」
私は『ハルナさんは…伏《ふせ》の奥さまが借金の保証人に応じると言うまでつきまといをつづけた…』と言いながらメモ書きをしたあと三永《みえ》さんに声をかけた。
「三永《みえ》さん。」
「なあに?」
「伏《ふせ》の奥さま以外の周りの人たちはどうだったの?」
「そんなの決まってるわよ…伏《ふせ》の奥さま以外の人々はみんなハルナさんに対して非常に冷たかったわよ。」
私は『ハルナさんの周りの人々はみんな非常に冷たかった…』と言いながらメモ書きをしたあと三永《みえ》さんに声をかけた。
「それじゃあ、ハルナさんは周りの人々からきらわれていたってこと?」
「そのとおりよ。」
「それじゃあ、なんでハルナさんは伏《ふせ》の奥さまに対して借金の保証人を求めつづけたのかな?」
「さあ…よくわからないけど…伏《ふせ》の奥さまがやさしかったからじゃないかな?」
「それもあるけど…違う考え方もあると思うよ。」
「たとえばなに?」
「たとえばの話だけど…伏《ふせ》の奥さまのご実家または親類の家が資産家だった…で、裕福だったから…」
「だから何よ?」
「だから、伏《ふせ》の奥さまのご実家や親類の家が資産家だから借金の保証人になってくれる…とハルナさんが思っていた…と言うことだよ!!」
「ふ~ん、そうだったのね。」
「三永《みえ》さん!!私が話したのは『たとえば』の話だよ!!まだ『確定』したわけじゃないのだよ!!」
「そうだったわね。」
私は、ひと呼吸おいてから三永《みえ》さんに声をかけた。
「話し変えるけど…」
「なあに?」
「ハルナさんが松山で経営していたファッションクラブの件だけど…」
三永《みえ》さんは、変な表情で私に言うた。
「ハルナさんが松山でファッションクラブを経営していた話をどこで聞いたのよ?」
「えっ?」
「三番町にあったファッションクラブは、別の人が経営していたのよ。」
「うそ。」
「ほんとうよ。」
三永《みえ》さんは、ひと呼吸おいてから私にわけを話した。
「ハルナさんは、3年ほど前に松山で暮らしている知人の家に転がり込んだのよ。」
「その知人と言う人がファッションクラブの経営者だった…と言うこと?」
「そのとおりよ。」
「それで?」
「ハルナさんは、ファッションクラブで部屋のクリーニングのお仕事をしていたのよ…だけど、働き始めてから半月後に、経営者の女性の都合が急に悪くなったのよ。」
「どうして?」
「経営者の女性の方の実家の家族たちが『心細い〜』と言うたのよ。」
「なんだよそれは…」
「だから、実家のご家族たちが女性経営者さまを頼っていたのよ。」
「だから実家へ帰ったと言うのか?」
「そうよ。」
「じゃあ、ファッションクラブの経営はどうなったのだよ?」
「ハルナさんに引き継いだわ。」
「そう言うことか…女性経営者さまのご実家はどこにあるのだよ?」
「えーとね…センザキだったかしら〜」
「センザキ…センザキと言うたら山口県の北部にあるよね。」
「うん、そこよ。」
「それじゃあ、センザキへ行ったらなにかわかるのだな。」
「わかるかどうかは分からないけど…なんらかのヒントがあると思うわよ。」
「わかった。」
三永《みえ》さんは、私に対してこう言うた。
「それともう一つだけど、ハルナさんのことで新たな事実が判明したのよ。」
「新たな事実が判明した?」
「うん。」
「それは…やっぱり…」
「そう…そのやっぱりよ…ハルナさんが伏《ふせ》の奥さまに対して言うた言葉は…すべて大ウソだったのよ。」
「それじゃあ、北陸《きた》から九州《にし》までの広い範囲に風俗店《おみせ》を持っていたと言うのは…ウソだったと言うこと?」
「そうよ…ハルナさんは超ナマケモノよ…超ナマケモノのハルナさんが風俗店《おみせ》の経営なんか出来るわけないわよ。」
「…と言うことは…ハルナさんが超大金《たいきん》を借金した目的は…別にあると言うこと?」
「そうよ…アタシ、その辺のことについて調べてくるわ。」
「わかった。」
「もういいわよ…アタシ…寝るわ。」
「ああ。」
このあと、三永《みえ》さんは壁にもたれた状態で眠りについた。
………………………
日付が変わって、3月21日の深夜0時20分頃であった。
待合室に置かれているテーブルの上にメモパッドと手帳が置かれていた。
私は、メモパッドに書かれている内容を万年筆を使って手帳に転記する作業をしながらつぶやいた。
一体どうなっているのだ…
ハルナさんが超大金《たいきん》を借金した目的はなんだ…
ハルナさんが借金の保証人を伏《ふせ》の奥さまに頼みつづけた理由はなんだ…
ハルナさんは、風俗店《おみせ》を経営する能力がないのに、なんでファッションクラブの経営を引き受けたのか…
ますますわからなくなった…
………………………