大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【だからなんなの】

それからまた60分後であった。

またところ変わって、松山総合公園《そうごうこうえん》の展望台にて…

展望台のテラスにほたるさんと私がいた。

私は、三永《みえ》さんが書いた地図をほたるさんに渡しながら言うた。

「ほたるさん。」
「なあに?」
「三永《みえ》さんが書いた地図です。」

ほたるさんは、三永《みえ》さんが書いた地図をじっくりと見つめたあと私に声をかけた。

「よーくん!!この地図にしるされている黒く塗りつぶされた場所はすごく危険よ!!」
「なんだって!?」

ほたるさんは、私に対して危険な場所である理由を説明した。

「黒く塗りつぶされた場所は、ヤクザや半グレたちのたまり場よ!!」
「ヤクザや半グレたちのたまり場!?」

ほたるさんは、私に対してこう言うた。

「黒く塗りつぶされた場所は、ボクシングジムよ!!」
「ボクシングのジム。」
「そのジムの主は…前科《まえ》がある男よ。」
「前科《まえ》がある男?」

この時であった。

テラスに一組のカップルがやってきた。

ほたるさんは、私に対して『場所を変えましょう』と言うた。

このあと、ほたるさんと私は別の場所へ移動した。

………………………

それからまた90分後であった。

またところ変わって、松山市勝岡町《しないかつおかまち》にあるヨットのマリーナにて…

ほたるさんと私は、海をながめていた。

私は、ほたるさんに声をかけた。

「ほたるさん。」
「なあによーくん。」
「ほたるさんが言うた前科《まえ》がある男は、どんな人物なんだ!?」
「その男は、元プロボクサーの男よ。」
「元プロボクサー。」
「名前は、日下部龍史《くさかべたつし》よ。」
「日下部龍史《くさかべたつし》…その男が抱えている前科《まえ》と言うのは?」
「日下部《くさかべ》は…4年前(1979年)の1月に…大阪で傷害事件を犯したのよ。」
「傷害事件。」
「ええ。」

ほたるさんは、ひと呼吸おいてから私に言うた。

「事件が発生したのは、4年前の1月20日の深夜だった…当時メイテイ状態だった日下部《くさかべ》は、ガラの悪い男と乱闘騒ぎを起こした末にケーサツに逮捕されたわ…だけど…その数日後に処分保留でシャクホウされたわよ。」
「処分保留でシャクホウされた!?」
「ええ…ケーサツが指定した日時に事情聴取を受けると言う条件つきでシャクホウされたわ…しかし、カレはケーサツとヤクソクしたことを平気で破ったのよ!!」
「日下部《カレ》は…自分は自由の身になったから関係ない…と思い込んだのじゃないかな?」
「そうだと思うわよ。」

ほたるさんは、ひと呼吸おいてから私に言うた。

「日下部《くさかべ》がシャクホウされた日の昼過ぎに深刻な事件が発生したわ…事件現場は、大阪北畠にある大手都市銀行《ぎんこう》の支店だったわ…猟銃を持った男が立てこもった事件が発生したのよ…猟銃を持って立てこもった男は…あの日の夜に、日下部《くさかべ》からどぎつい暴力を受けた被害者よ。」
「なんだって!?」
「猟銃を持って立てこもった男は…事件発生から3日目の朝に突入したSAT隊員たちが持っていた銃に撃たれて死亡したわよ。」
「それを聞いた日下部《カレ》は?」
「自由の身になれたと言うてヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラヘラ…と嗤《わら》っていたと思うわ!!」
「腹立つわ…すごく腹立つわ!!」
「もちろんそのとおりよ!!」
「ほたるさん、三永《みえ》さんと日下部《カレ》はどう言う関係があったのですか!?」
「くわしいことはよくわからないわ。」
「そう…」
「それともう一つ…よーくんに大事なことを伝えておくわ。」
「大事なこと?」

ほたるさんは、私に対して厳しい声で言うた。

「よーくんは三永《みえ》ちゃんをどう思っているか知らないけど…三永《みえ》ちゃんには、前科《まえ》があると言うことを伝えておくわよ!!」
「前科《まえ》がある?」
「そうよ。」

ほたるさんは、ものすごくしかめた表情で私に言うた。

「それともう一つよーくんに伝えておくけど…三永《みえ》ちゃんは、22年前にセンザキにある海水浴場《ビーチ》で…集団レイプの被害を受けたのよ。」
「集団レイプの被害を受けた!?」
「そうよ…それが原因で、三永《みえ》ちゃんは女の幸せを捨てたのよ。」
「女の幸せを捨てた?」
「三永《みえ》ちゃんは、子宮を摘出する手術を受けたのよ。」
「三永《みえ》さんは、子どもが産めない身体《からだ》である…と言うこと?」
「そうよ…そのうえに、三永《みえ》ちゃんを集団でレイプしたグループのリーダーの男が…ファッションクラブを経営していたママの末の弟さんだったのよ。」
「なんだって!?」
「ママの末の弟さんは…2年前にセンザキで発生した通り魔事件で被害を受けたのよ。」
「通り魔事件の被害を受けた…被害を受けた当人はどうなったのですか!?」
「命は助かったけど…2年間植物状態よ。」
「植物状態。」
「ええ。」
「ほかの男たちは?」
「全員命を落としたか悪い連中に連れ去られたわよ。」
「なんだって。」
「彼らは、地元のワルの仲間同士のもめごとを起こしたのよ…それが原因で命を落としたのよ。」
「なんとも言えない。」

……………………………

ほたるさんから衝撃的な話を聞いた私は、真っ青な表情でつぶやいた。

なんてこった…

次から次へといらないもめごとが発生した…

どうすればいいのだよ…

……………………………
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