大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【サチコ】

時は、夜10時過ぎであった。

またところ変わって、小野田市西高泊の国道190号線沿いの歩道に設置されている電話ボックスにて…

私は、四角の水色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。

「もしもし、夜分遅くにお電話をおかけしてもうしわけございません…宇部市西琴芝にお住まいの◯◎さまのお宅でございますか?…お世話になりますコリントイワマツヨシタカグラマシーともうします…あの、そちらにむつみさんはお越しになられていますか?…はい、おのだサンパークでお店を経営しているママでございます…お越しになられていないのですね…分かりました…あの、もしご本人さまがお越しになられた時にお伝えしたいことがあります…ひとことでかまいませんので、コリントが心配していたことをお伝え願いますか?…よろしくお願いいたします…お世話になりました〜」

(ガチャ…ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ…)

私が右手でフックを下に下げたと同時に、返却口に10円玉がたくさん出た。

私は、赤のラッションペンを使ってメモパッドに『確認済み』と記入した。

(チャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリン…カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ…)

私は、返却口に入っていた10円玉を取り出した。

その後、コイン投入口に10円玉をたくさん入れたあとボタンを押した。

(ポト…)

10円玉1枚が金庫に入ったあと、話をした。

「もしもし、夜分遅くにお電話をおかけしてもうしわけございません…宇部市西小串《うべのにしこぐし》にお住まいの△△さまのお宅でございますか?…お世話になりますコリントイワマツヨシタカグラマシーともうします…あの…そちらにむつみさんはお越しになられていますか?…はい、おのだサンパークでお店を経営しているママでございます…お越しになられてないのですね…分かりました…もしそちらにむつみさんがお越しになられた時にお伝えしたいことがございますけどよろしいでしょうか?…はい、コリントが心配していたことをひとことお伝えしていただけますか?…よろしくお願いいたします…お世話になりました。」

…………………………

それからまた1分後であった。

電話ボックスのアクリル板にスーパーマップルの中国地方の道路地図を広げたあと、万年筆を使って宇部市の道路地図に書き込みをしていた。

深夜11時時点で、むつみさんが見つかったと言う知らせはなかった。

……………………………

日付が変わって、4月30日の深夜1時過ぎであった。

またところ変わって、国道沿いにあるドライブインの敷地内に設置されている電話ボックスにて…

私は、四角の水色のコイン投入式のプッシュホンを使って電話をかけていた。

「もしもし、こんな真夜中にお電話をおかけしてまことにもうしわけございません…山口市円政寺町にお住まいの■■■さまのお宅でございますか?…お世話になりますコリントイワマツヨシタカグラマシーともうします…あの、そちらにむつみさんはお越しになられていますか?…はい、おのだサンパークでお店を経営しているママのむつみさんです…ええ…お越しになられてないのですね…実はですね…むつみさんが今週の火曜日か水曜日頃に音信不通になったのです…なんでかわかりませんけど…あの…きのうの日中に、むつみさんが経営している店に…ヤクザの男が怒鳴り込みに来たのです…従業員さんたちにも聞いたのですが、思いあたるフシがないと言ってました…ええ…はい…はい…はい、まちがいありません…あの、最後にもう一点だけ■■■さまにおたずねしますが、直近7日以内にむつみさんが■■■さまに会いに来られた…と言うことはございましたか?…念のためにおたずねしているのです…そうですか…分かりました…あの、もしむつみさんが■■■さまのお宅をたずねられた時にお伝えしたいことがございます…あっ、はい…はい、ひとことでかまいませんのでコリントが心配していたことをお伝え願いますか?…よろしくお願いいたします。」

…………………………

それからまた30分後であった。

またところ変わって、ドライブインの中にある自販機コーナーにて…

テーブルの上にスーパーマップルの中国地方の道路地図がひらいた状態で置かれていた。

私は、万年筆を使って山口市中心部の道路地図に書き込みをしながら言うた。

「ここにもいない…むつみさんは…一体どこへ行ったのだ…」

むつみさんは…

一体どこへ行ったのだ…

むつみさんの知人たちの家に電話をかけてたずねたが…

どこにもいなかった…

むつみさんの身に…

なにがあったのか…

………………………

(ギュイーン!!ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ!!)

時は、4月30日の午後1時過ぎであった。

私は、下関の唐戸桟橋から渡船《ふね》に乗って門司へ向かった。

午後1時5分頃に渡船《ふね》が門司港に到着した。

…………………

またところ変わって、国鉄門司港駅の駅前広場にて…

ショルダーバックを持って渡船《ふね》から降りた私は、歩き旅をしていた。

この時であった。

ギターをつま弾いていた流しのニイチャンが駅前広場《ひろば》にいた。

一曲弾き終えた時であった。

流しのニイチャンが私に声をかけた。

「あんた…おとといの夜(下関の)竹崎町のスナックでカラオケ流しをしていたね。」
「えっ?」
「あんた、歌うまいな〜」
「あっ、はい。」

私は、ショルダーバックに収納されていたメモパッドを取り出したあと所定のページをひらいた。

私は、メモパッドに記載されている内容を見たあと流しのニイチャンに声をかけた。

「ちょっと、ニイチャンにたずねたいことがあるけどかまん?」
「ああ、いいよ…なんだい?」
「おれ、人を探しているのだよ。」
「人を探している?」

私は、メモパッドに記載されている内容を見たあとニイチャンに声をかけた。

「ニイチャン、ニイチャンは小野田《さんようおのだ》へ流しに行くときある?」
「あるよ…どうしたのだい?」
「ニイチャン、直近3日以内に小野田《さんようおのだ》へ行かれましたか?」
「そうだな…直近3日以内は下関にいたよ。」
「行ってない…ちょっと待ってください!!」

私は、上着の左胸のポケットにつけていたゼブラシャーボーを取ったあと本体を右に回してシャープペンシルを出した。

メモを取る準備ができたあと、私はニイチャンに声をかけた。

「ニイチャン、ニイチャンはおのだサンパークの近辺に行かれたことはありますか?」
「サンパーク?」
「はい。」
「行ったことあるよ。」
「あっそうですか…それはいつ頃ですか?」

ニイチャンは、私の問いに対して『1週間前』と答えたあとのんきな声で言うた。

「ああ、思い出したよ…サンパークの庭園にショウブがたくさん咲いていたよ〜」

私は、ニイチャンに声をかけた。

「あの…ニイチャンが言うた『サンパーク』は…松山市にある(南海放送)サンパークですけど…」
「そうだよ~…サンパークへ行ったよ。」
「あの…私が言うたサンパークは、小野田《さんようおのだ》にあるショッピングモールのことでございますが…」
「えっ?違うの?」

メモを取りながら応対している私は、ニイチャンに対して『ぜんぜんちがいますよ』とツッコミを入れたあとこう言うた。

「そんなことよりもニイチャン、私はおのだサンパークで輸入物の生活用品を販売している店を経営しているむつみさんを探しているのだよ!!」

ニイチャンは、私に対してこう言うた。

「えっ?…松山市《マッチャマ》の(南海放送)サンパークにそんなお店があったのかな〜」
「ぜんぜんちがいますよ…ニイチャン、人の話を聞いてよ!!」
「わかってるよ〜」
「ニイチャンは、おのだサンパークに行ったことないの?」
「おのだサンパークは行ったことはないけど、松山市《マッチャマ》の(南海放送)サンパークはよく行ってるよ〜」
「はいはいわかりました…話かえるけど…きのうの昼過ぎに、むつみさんが経営している店で事件が発生したのだよ…接客で生じたトラブルだけど…」
「それがどうかしたのかい?」
「どうかしたのかいって…その…なんていうか…事件が発生する何日か前にむつみさんが音信不通になったのだよ!!」
「音信不通になった?」
「ゆうべ、むつみさんの知人方へ電話をかけて問い合わせたけど、むつみさんが知人方を訪ねた…と言うケイセキはなかった。」
「そうかいそうかい…ほかにたずねることはあるの?」

私は、メモパッドを2枚めくったあと記載されている内容をみながらニイチャンに言うた。

「話をまたかえるけど…むつみさんは、おのだサンパークでお店を開く前は小倉のスナックで働いていた…ニイチャンは、小倉のえ~と…旦過市場《いちば》の方へ行くことはあるの?」
「あるよ。」
「最後に旦過市場《いちば》の方へ行かれたのはいつですか?」
「最後に小倉の旦過市場《いちば》へ行ったのは…1年前の春…」
「1年前…もしかしたら…その時にむつみさんとお会いしていたと思いますが…」

ニイチャンは私に対して『ああ、思い出したよ〜』と言うたあと、私に対してむつみさんがかつて働いていたスナックのことを話した。

私は、ニイチャンの話を聞きながらゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってメモパッドに書き込みをした。

…………………………

時は、夜10時半頃であった。

またところ変わって、小倉の旦過市場《いちば》の裏手にあるスナックにて…

私は、ここでカラオケ流しをしていた。

私が2曲歌ったあとのことであった。

20代の若い男性たち5人のリーダーが私に対して『△▼のカノジョが遠くへ行ったので落ち込んでいるのだよ〜』と言うたあと、ニックニューサの歌で『サチコ』を歌ってほしいと言うた。

私は、男性のグループたちのリクエストに応える形でニックニューサの『サチコ』を歌った。

この日ば、305万円のおひねりをいただいた。

………………………

時は、深夜11時45分頃であった。

またところ変わって、国鉄小倉駅の待合室にて…

ベンチの上に1981〜1983年の3年手帳がひらいた状態で置かれていた。

私は、万年筆を使ってメモパッドに記載されているおひねりの金額を手帳に転記した。

その後、メモパッドに記載されているむつみさんに関する情報を手帳に転記する作業に入った。

………………………
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