大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【酔い知れて】

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、夜8時50分頃であった。

三永《みえ》さんと私は、飯塚駅から国鉄筑豊線《ちくほうせん》と西鉄大牟田線《にしてつほんせん》の列車に乗って大牟田方面へ向かっていた。

この時間、三永《みえ》さんと私は大牟田行きのにしてつ電車に乗っていた。

車内には、三永《みえ》さんと私がいた。

この時、車内には他に乗客がいなかった。

三永《みえ》さんは、右となりに座っている私に対して声をかけた。

「ヨシタカさん。」
「三永《みえ》さん。」
「あの話のつづきをするわよ。」
「ああ。」

私は、三永《みえ》さんに対して声をかけた。

「重井《しげい》がやよいに対してつきまといをするようになったことが原因で…番頭《ばんと》はんが重井《しげい》の妻に対してつきまといをした…と言う部分まで話をしたね。」
「ああ。」
「重井《しげい》の頭は、妻と離婚することしか頭になかった…重井《しげい》は善悪を判断する能力が著しく喪《うしな》われた…その結果、重井《しげい》はやよいに対する思いを一方的に募らせたわ…そしてとうとう…重井《しげい》は…」

三永《みえ》さんは、私に対して重井《しげい》が危険な状態におちいったと言うたあとことの次第を話した。

時は、1982年9月2日の夜遅くであった。

またところ変わって、小倉のスナックの店内にて…

重井《しげい》は、やよいに対して過度に優しい声で手紙みたいな物を差し出した。

受け取ったやよいは、恐る恐るの表情を浮かべながらふうとうをあけたあと中に入っていた書面を取り出した。

ふうとうから取り出した書面は、婚姻届だった。

それを見たやよいは、顔が真っ青になった。

「イヤ!!イヤ!!」

………………………

私は、三永《みえ》さんに対して声をかけた。

「重井《あのヤロー》がやよいの同意なしに婚姻届を区役所に出した…と言うこと?」
「そうよ。」
「なんでそんな勝手なことをしたのだ!?」
「重井《しげい》は、大口里《おおくちざと》の実家に帰った妻と早く離婚したかったのよ。」

三永《みえ》さんは、私に対して声をかけた。

「ことの次第を聞いた溝端屋の番頭《ばんと》はんは、その翌日の午後に…大口里《おおくちざと》にある重井《しげい》の妻の実家へ行ったのよ。」

……………………

時は、1982年9月3日の昼前であった。

またところ変わって、大口里《おおくちざと》にある重井《しげい》の妻の実家にて…

実家のリビングに溝端屋の番頭《ばんと》はんと重井《しげい》の妻がいた。

重井《しげい》の妻は、青紫色のセーターと黒色+白の水玉模様柄のロングスカートを着ていた。

番頭《ばんと》はんは、ものすごく恐ろしい表情で重井《しげい》の妻に対して気色悪い声で言うた。

「なあ頼むよ…この通りやさかいに〜」
「やめてください!!」
「ワテ、(飯塚の)オートレースで大失敗したのだよ…すごく高い倍率《オッズ》にかけた車券が外れたので全額わや(だめ)にしてもうたんよ〜…」
「やめてください!!」

番頭《ばんと》はんは、気色悪い声で重井《しげい》の妻に言うた。

「奥さん、少しでもいいからカネをユーヅーしてーな…わやにした分は(取引先の問屋から預かっている)預かり金なんだよ…明日までに預かり金を返さないと…ワテ…溝端屋《みせ》を…追い出されるねん…なあ頼むさかいに〜…少しだけでええねん。」
「イヤ!!イヤ!!」

………………………

三永《みえ》さんは、私に対して声をかけた。

「この時、番頭《ばんと》はんは『きょうはこらえたる』と言うて家から出たのよ。」
「その次の日にまた、番頭《ばんと》はんが家にやって来た…」
「ええ…その次の日…9月4日の昼前だったと思う…溝端屋の番頭《ばんと》はんは、重井《しげい》の妻に対して『オトシマエをつけろ』と言うて凄んで行ったわ…」

………………………

時は、9月4日の昼前であった。

またところ変わって、重井《しげい》の妻の実家のリビングにて…

番頭《ばんと》はんは、重井《しげい》の妻に対して恐ろしい声で言うた。

「おい、オドレのせいでオレは破滅だ!!…預かり金を横領した上にオートレースにつぎ込んだことがバレたので、オレは溝端屋《みせ》をひま出された!!…どないしてくれるんや!?」
「やめてください〜」
「オラオドレ!!」
「いたいいたいいたい!!」

思い切りブチ切れた番頭《ばんと》はんは、重井《しげい》の妻の髪の毛を激しくひっぱりながら言うた。

「オラオドレ!!オレの人生を返《けえ》せや!!返《けえ》せと言うのが聞こえないのか!!」
「やめてください!!」
「溝端屋《みせ》はクビになった!!…その上に、オレが心底から愛していた女をオドレの亭主がドロボーした!!おい!!オトシマエつけろ!!オトシマエつけろ!!」
「やめて!!やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて!!」

思い切りブチ切れた番頭《ばんと》はんは、重井《しげい》の妻をカーペットに倒したあと青紫色のセーターをナイフで斬《き》り裂《さ》いた。

(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)

斬《き》り裂《さ》かれたセーターの中から白のブラウスがあらわになった。

「ふざけるな!!オトシマエつけろ!!」
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)

思い切りブチ切れた番頭《ばんと》はんは、重井《しげい》の妻が着ていた衣服をズタズタに斬《き》り裂いた。

…………………………

私は、三永《みえ》さんに声をかけた。

「それで、重井《しげい》の妻は、どうなったのだ!?」
「重井《しげい》の妻は、オジョクを受けたことを苦にリスカして…」
「命を絶った?」
「ええ。」
「婚姻届の件についてはどうなっているのだ!?」
「婚姻届の件については、やよいの同意がまったくなかったことが判明したので、破棄されたわよ。」
「そうか…それで、やよいはどこへ行ったのだ?」
「行方不明になったと思う。」
「重井《あのヤロー》はどうなったのだ?」
「前の妻とは離婚したわ…けれど、前妻の家のおじいさんが老健施設に入所した際に重井《しげい》の両親が保証人を務めていた関係で…前妻の妹とサイコンしたのよ。」
「なんだよ一体もう!!」

私は、拍子抜けした声で言うたあとため息をついた。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

三永《みえ》さんと私が乗っているにしてつ電車は、大牟田方面へ向かって走っていた。

…………………………
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