大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【戻り川】

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、夜9時半頃であった。

私は、国鉄柳井港駅から山陽本線《さんようせん》の下り電車に乗って再び旅に出た。

ひざの上にショルダーバックをのせた状態で座席に座っている私は、窓に写っている夜の景色を見つめながらつぶやいた。

ももこさんが言うた言葉には…

ウソがある…

ももこさんの実家のご両親が私を知っていると言うのも…

ウソに決まってる!!

………………………

久枝ももこは…

ウソつき女だ!!

…………………………

時は、7月22日の朝7時過ぎであった。

またところ変わって、下関の唐戸桟橋の近くにある公園付近に設置されている電話ボックスにて…

私が電話ボックスに入った直後であった。

(ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン!!ジリリリリリリン)

四角の水色のコイン投入式のプッシュホンからけたたましいベルが鳴り響いた。

私は、周囲の様子を確認したあと受話器を取った。

「はいコリントイワマツヨシタカグラマシー!!…あっ、三永《みえ》さん。」

………………………

(ガチャン、カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ…ガチャン…カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ…)

またところ変わって、岡山県津山市の中心部にある電話局にて…

電話局内に機械の音が響いた。

電話交換台の席に三永《みえ》さんが座っていた。

その横にももこさん…いいえ、ももこがいた。

ヘッドホン型の受話器を使って電話をかけている三永《みえ》さんは、受話器越しにいる私に対して声をかけた。

「もしもしヨシタカさん…今どこにいるの!?…ヨシタカさん、アタシは今…すごく困っているのよ〜」

私は、受話器越しにいる三永《みえ》さんに対して怒った声で言うた。

「なにィ!!ももこさんが家出した!?…もしかして…三永《みえ》さんのとなりに本人がいるというのか!?」
「いるわよ。」
「それで、ももこさん本人はどうしたいと言うてるのだ!?」
「だから、ヨシタカさんがいる場所へ行きたいと言うてるのよ…ヨシタカさんがすごく困っているから、助けに行きたい…お役に立ちたいと言うてるのよ〜」

私は、ため息まじりの声で言うた。

「よいよいなんぞぉもう(やれやれなんだよもう)!!…ももこは…どこのどこまでいらんことしいだ(どこのどこまでいらないことをする気だ!!」

私は、受話器越しにいる三永《みえ》さんに対して声をかけた。

「ちょっと、急な行き先変更が出たので…すぐに出発する。」
「分かったわ…ももこはアタシが説得して家に帰るように言うておくわ。」
「分かった。」
「じゃあ、またあとで…」

……………………………

(ゴーッ…)

それからまた60分後であった。

私は、新下関駅から上りの新幹線こだま号に乗って広島駅へ向かった。

(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

広島駅で新幹線から降りたあと、広電の路面電車《トラム》に乗って広島宇品港《うじなこう》へ向かった。

(ギュイーン!!ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ…)

広島宇品港《うじなこう》で路面電車《トラム》を降りたあと、松山観光港行きの石崎汽船の水中翼船に乗って海を渡った。

松山観光港に到着したのは、午後12時45分頃であった。

……………………………

時は、午後1時55分頃であった。

またところ変わって、松山市西堀端《しないにしほりばた》の国道沿いの通りにあるオフィスビルにて…

オフィスビルの中にももこが在籍している広告代理店があった。

広告代理店の応接間にももこの両親とももこが広告代理店《かいしゃ》に就職した時に提出した誓約書《しょめん》の保証人になっていた70代の男性とももこの直属の上司の男性(40代後半)と私がいた。

上司の男性は、ものすごくイラついた声で『連絡はまだ来ないのか!!』と言うたあと『クソ!!むしゃくしゃする!!』と言うたあと右手で髪の毛をはげしくかきむしった。

ふざけるな若造!!

そういうてめえこそ態度を改めろよ!!

私は、ものすごく冷めた目でももこの直属の上司を見つめながらつぶやいたあと声をかけた。

「すみません。」
「なんですか!!」
「あの〜、あなたは久枝ももこさんの直属の上司…ですね。」
「そうですよ!!」
「あの〜、久枝ももこさんのことで2〜3点ほどおたずねしたいのですが…」
「誓約書《しょめん》の保証人になっているじいさんに聞けよ!!」

ももこの直属の上司の男性は、私に対して突き放す声で言うたあと口をつむじ曲げにした状態でひねた。

同時に、片足を上げた状態でえらそうな振る舞いをした。

このあと、誓約書《しょめん》の保証人を務めている男性が私に声をかけた。

「あの〜」
「はい。」
「コリントイワマツヨシタカグラマシーさまでございますね。」
「はい。」
「私《わたくし》は…久枝ももこさんが(広告代理店)に就職する際に誓約書《しょめん》の保証人を引き受けました小江晋也《こごうしんや》ともうします。」
「小江《こごう》さま…ですね。」

小江《こごう》さんは、私に対して声をかけた。

「この度は、久枝ももこが勝手に職場放棄をした上に…実家から家出して行方不明になったことを…おわびいたします。」

私は、ものすごく困った表情で小江《こごう》さんに言うた。

「それは私ではなく、こちらにいらっしゃる上司の男性の方に伝える言葉でございますが…」

小江《こごう》さんは、私に対してこう言うた。

「あの…(ももこの直属の上司)さまが怖いのです〜」

あんたはアホか!!

ふざけるなクソジジイ!!

私は、ものすごく冷めた表情でつぶやきながら小江《こごう》さんを見つめた。

話にならんわ…

…………………………

結局、話をすることができなかった。

…………………………

(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

それからまた100分後であった。

またところ変わって、道後の電車通りにあるフジ(スーパーストア)にて…

道路の真ん中を走っているいよてつの路面電車《トラム》(市内線)が大街道方面へ向かっていた。

またところ変わって、店内にて…

私は、買い出しに来ていた主婦に声をかけたあと話をしていた。

私は、奥さまに対してももこの家庭のことをたずねた。

奥さまは、私に対してこう答えた。

「久枝さん方のご家族のことなら、知ってますよ。」
「そうですか。」

私は、ゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってメモパッドにメモ書きをしたあと奥さまに声をかけた。

「え~と…久枝さん方のご家族は、ご夫婦と一人娘《むすめ》さんの3人のほかにどなたかいらっしゃいますか?」
「ご夫婦と一人娘《むすめ》さんと同居なされている方でございますか?」
「ええ。」
「ああ、たしか上に30代後半の長男さん(大手農機具メーカーの管理職)と…下に弟さんたちが…3人いました。」
「3人の弟さんたちのご職業は?」
「まだ学生ですけど〜」
「まだ学生?」
「次男さん(27歳)と三男さん(25歳)は、まだ大学生です…末っ子(四男)は、追加募集で入学した私立高校《コーコー》に入ったばかりなのですよ。」
「そうですか…あの…私がおたずねしたいのは、一人娘《むすめ》さんのことでございます…あの…久枝さん方の一人娘《むすめ》さんが海外の大学へ留学していたと言う話はご存知でしょうか?」
「ええ、知ってますわよ。」
「留学先の大学はたしか…アメリカのボストンにある大学の医学部と言うてましたが…」
「はい、まちがいありません。」
「そうですか。」

私は、ゼブラシャーボーの赤ボールペンを使ってメモパッドに『確認済み』と記入した。

奥さまは、私に対してこう言うた。

「久枝のご夫婦は、一人娘《むすめ》さんが海外の大学へ留学することをいやがっていたのです。」
「それは一体、どう言うことでしょうか?」
「久枝のご夫婦は、一人娘《むすめ》さんに対してうちにいてほしかったのです。」
「ですからそれはなんですか?」
「家のお風呂を沸かしてくださる人がいなくなったら困るからです。」
「はっ?」
「ですから、一人娘《むすめ》さんが家のお風呂を沸かしていたのです…お風呂の温度調整ができるのは一人娘《むすめ》さんしかいなかったのです。」

私は、奥さまに対して声をかけた。

「奥さま〜。」
「はい。」
「それじゃあ、カノジョはどうやって海外留学へ出たのですか?」
「家出したのよ。」
「家出した!?」
「一人娘《むすめ》さんは、ご夫婦の理解を得ることができなかったことに腹をたてたのよ。」
「それじゃあ、家出したあと海外留学を決行した…と言うことですよね。」
「ええ。」
「それじゃあ、一人娘《むすめ》さんが不在のあいだは、どなたがお風呂を沸かしていたのですか?」
「いなかった…と思うわよ。」
「はっ?」
「一人娘《むすめ》さん以外のきょうだいたちは、家の手伝いをしていなかったみたいよ。」
「えっ?」
「久枝の息子さんたち全員は夜10時以降に帰宅するのです…長男さんは、上司と一緒に取り引き先の会社の社長さんのお供でのみにいく…下のきょうだいたちは大学の『ゴーコン』『サークル活動』…が毎日続いているのよ…だから家のお手伝いができないのよ。」
「それじゃあ、お風呂はどうなされていたのですか?」
「奥さま方の実家で入浴していたのよ…あの時、奥さま方の実家のお風呂がリフォームしたばかりだったのです。」
「そうですか…分かりました。」

なんなのだ一体もう…

私は、ゼブラシャーボーのシャープペンシルを使ってメモ書きをしながらつぶやいた。

奥さまは、私に対して声をかけた。

「末の弟くんは、うちを出たあと香川県にある私立高校《コーコー》に進学したことを機に…家から出たのです。」
「その…末の弟さんは、どこで暮らしているのですか?」

奥さまは、私の問いに対してこう答えた。

「久枝の末の息子さんは、高校の寮で暮らしているとは聞きましたが、勝手なことばかりをしていたと聞きました。」
「なんだって!?」
「久枝の末の息子さんは、学校が終わったあと…寮の先生に外出許可をもらいに行くのです…行き先は、家から通っている男子生徒の家です。」
「彼が寮の先生に外出許可を頼む理由はなんですか?」
「そんなの決まっているわよ…男子生徒の家にあるファミコン(ファミリーコンピューター)で遊ぶことよ。」
「ファミコン遊びがしたいから外出許可を頼んでいた!?」

奥さまは、ものすごくあきれた表情でこう言うた。

「末の弟さんは、ファミコン遊びに夢中になったことが原因で寮に帰らなくなったのよ。」
「そのまま、男子生徒の家にお泊りしたと言うことですね。」
「そうよ…寮生たちはものすごく怒っていたわよ…久枝さんの末の息子さんのせいで寮生みんなが大メーワクしているからどうにかしてくれと激怒しているのよ…だけど、寮の先生が優しすぎるからひとことも注意しない…そのせいで、久枝の末の息子さんが増長したのよ!!」

私は、めんどくさい声で『分かりました。』と言うたあと奥さまに声をかけた。

「話を変えますが…久枝さん方の一人娘《むすめ》さんのことをよく知っている方は近くにいらっしゃいますか?」
「そうねぇ…一人娘《むすめ》さんと1番仲がよかった人は…ああ、升崎《ますざき》さんだったかしら。」
「升崎《ますざき》さま…升崎《ますざき》さまは、どちらで暮らしているのですか?」
「結婚したあと…広島へ移りました。」
「広島へ移った?」
「はい。」

………………………

(ギュイーン、ババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ…)

時は、夜7時過ぎであった。

私は、最終の広島宇品港行《うじなゆ》きの瀬戸内海汽船の水中翼船に乗って再び旅に出た。

広島宇品港《うじなこう》に到着したのは、夜8時過ぎであった。

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