大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【流恋草(はぐれそう)】

(ミーンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミーン…ジー…ミーンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミン…ジー…)

時は、7月23日の朝9時半頃であった。

この日は雲ひとつない快晴で、日中の最高気温は37度…の猛暑日であった。

またところ変わって、広島市安佐南区山本町にある山あいの住宅地にある家の玄関前にて…

(ピンポーン、ピンポーン…)

私は、玄関のドアの横にある呼鈴《ベル》を鳴らしたあと家の中にいる住人を呼んだ。

「ごめんください〜、ごめんください〜…どなたかいらっしゃいますか〜…ごめんください〜」

私は、何度も繰り返して呼んだが応答がなかった。

「升崎《ますざき》さん、どこへ行ったのかな〜」

…………………………

それからまた80分後であった。

またところ変わって、広島市西区三滝本町にある打ちっぱなしゴルフ場にて…

私は、場内の清掃業務の女性に声をかけたあと話をしていた。

清掃業務の女性は、ももこさんが通っていた短大の卒業生であった。

私は、升崎《ますざき》さんが家に不在だったのでどちらへ行かれたのかとたずねた。

女性は、私に対してこう答えた。

「横野《よこの》(今の苗字)の奥さまは、おとといから信州へ旅行に行きました。」
「信州へ行った?…お帰りはいつ頃ですか?」
「さあ、聞いてないけど…」
「それは困るな〜」

女性は、私に対してこう言うた。

「横野の奥さまは、川西(兵庫県)にあるダンナ方の実家に預けているご子息(小3の男の子)を引き取ったあと信州へ行きました…ご子息は、来週の火曜日(26日)から始まる子どもキャンプに参加する予定なのです。」
「あの〜、たいへん失礼なことをおたずねするようでもうしわけございませんが…横野さん方のご長男くんは、家族と一緒に暮らしてないのですか?」

女性は、私の問いに対してこう答えた。

「横野さん方の末の娘ちゃん(4歳)が長期入院をしているのです。」
「長期入院?…末の娘さんはどこか具合が悪いのですか?」
「末の娘さんは、ガンにりかんしたことによって両目を摘出した手術を受けたのです…先週の水曜日にじん臓《ぞう》とすい臓《ぞう》にもガンが見つかったのよ…余命2ヶ月とセンコクされたのよ。」
「そうですか…分かりました。」

私は、メモパッドのページを3枚めくったあと記載されている内容を読みながら女性に声をかけた。

「あの〜…話を変えますけどよろしいでしょうか?」
「ええ。」
「え~と、奥さまは久枝ももこさんと言う女性をご存知でしょうか?」
「久枝ももこちゃんですか?」
「ええ…奥さまは、横野の奥さまと同じ短大の卒業生ですね。」
「はい、そうです。」
「奥さまが短大に在籍していた時は、なにを学ばれていたのですか?」
「アタシは福祉総合部にいました。」
「福祉総合部?…横野の奥さまとももこさんはどこに在籍していたのですか?」
「横野の奥さまと久枝さんは、総合…でした。」
「総合?」
「はい。」
「そうですか…分かりました。」

私は、メモパッドを2枚めくったあと記載されている内容をみながら言うた。

「あの、1〜2点ほどおたずねしたいことがございますがよろしいでしょうか?」
「はい。」
「え~と、久枝ももこさんが短大から一般大学に2年次から編入したことはご存知ですよね。」
「ええ。」
「ももこさんが一般大学に編入したあと、(アメリカの)ボストンにある大学の医学部に留学した話はご存知でしょうか?」

女性は、思案顔を浮かべながら『うーん』とうなっていた。

私は、困った表情で『あの〜…奥さま…奥さま。』と声をかけた。

女性は、私に対してこう言うた。

「さあ、そんな話は聞いてないわね〜」
「えっ?…それじゃあ、ももこさんがボストンの医大へ留学していたのは大ウソだった…と言うことですか!?」

奥さまは『そうよ』と言うたあと、私にこう言うた。

「久枝さんは、実家のご両親に対してアメリカの大学へ留学したいと申し出たけど、猛反対を受けたのよ…久枝さんが家出したあと渡米したと言ったのはタテマエで本音はあちらこちらの知人宅を転々としていたのよ。」

奥さまからことの次第を聞いた私は『なんだって!!』と言うたあとあわてた声で奥さまに言うた。

「ちょっと待ってください!!…あの…ももこさんは、実家から家出したあとは…あちらこちらで暮らしている知人宅を転々としながら暮らしていた…と言いましたね!!」
「言うたわよ。」
「なんてこった〜」

奥さまは、私に対してこう言うた。

「久枝さんは、アメリカの大学へ留学する準備は整えていたことは事実よ…だけど、パスポートを取得することをめぐって両親ともめたのよ。」
「パスポートを取得することをめぐって…両親ともめた!?」
「久枝さんは、ご両親に対して戸籍抄本《ショウホン》を取りに行きたいから本籍はどこにあるのかと聞いたのよ…ご両親は『本籍地は預かりになっている』と答えたのよ…」
「本籍地は預かりになっている?…意味がまったく分からないのですが…」

奥さまは、私に対してこう言うた。

「久枝さんのご両親は、久枝さんが家のお手伝いをよくする子だったのよ…ほかのきょうだいたちは家の手伝いをまったくしない子だった。」
「要は、久枝のせがれどもが家の手伝いをしないからももこさんにすべてを求めたと言うのですね。」
「そうよ。」

なんて勝手すぎる家なんだ…

怒りが噴出しそうになった私は『ふざけるな!!』とつぶやきながらメモ書きをした。

……………………………

(ブロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ…キーッ…)

さて、その頃であった。

またところ変わって、宇部市東須恵の国道190号線沿いにあるドライブインにて…

ドライブインの駐車場に黒のニッサンキャラバンのワゴン車とニッサンセドリックのパトカー20台が停車した。

キャラバンの中から3人の刑事たちと番頭《ばんと》はんが降りた。

この日は、番頭《ばんと》はんが山口市にある拘置所へ移送される日であった。

移送中に番頭《ばんと》はんが『お腹を下した』と言うたので、トイレ休憩のためにここに立ち寄った。

番頭《ばんと》はんが刑事たちと一緒にワゴン車から降りてから2分後であった。

(ドカ!!)

番頭《ばんと》はんが3人の刑事たちを殴りつけたあと、足早に逃げ出した。

パトカーの付近にいたひとりの警官が叫び声をあげた。

「巡査長!!竹宮が逃げ出しました!!」
「なんだと!!」
「追え!!」

このあと、警官たち40人が逃げ出した番頭《ばんと》はんの追跡を始めた。

またところ変わって、ドライブインから北へ200メートル先にある森林にて…

ドライブインから逃走した番頭《ばんと》はんと警官たち40人による追跡が繰り広げられていた。

「オラ!!止まれ!!止まれ!!」

(ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!)

この時、ひとりの警官が番頭《ばんと》はんに向けて拳銃を発砲した。

「わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

この時、警官が発砲した拳銃の弾丸《たま》が番頭《ばんと》はんの背中に直撃した。

同時に、番頭《ばんと》はんはがけから転落した。

……………………………

時は、深夜11時45分頃であった。

またところ変わって、下関市彦島福浦町にある豪邸の裏口にて…

豪邸は、二岡総裁《におか》が所有している別荘であった。

ボロボロになった姿の番頭《ばんと》はんは、裏口の戸をたたきながら叫んだ。

(ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!)

「おい!!開けろ!!開けろ!!」

(ガチャ…)

この時、ドアがひらいた。

ドアの内側にいた構成員《チンピラ》が番頭《ばんと》はんに声をかけた。

「竹宮のアニキ!!」
「撃たれた…警官《サツ》が発砲した拳銃《チャカ》で撃たれた〜」
「とにかく中へ入ってください!!」

(バタン)

番頭《ばんと》はんが豪邸の敷地に入ったあと、裏口のドアがしまった。

(バタン…バサッ)

それからしばらくしてまたドアがひらいた。

ドアをあけた構成員《チンピラ》は、番頭《ばんと》はんが着用していた防弾チョッキを近くに設置されているゴミ箱にすてた。

その後、豪邸の裏口から入ったと同時にドアをしめた。

…………………………
< 823 / 900 >

この作品をシェア

pagetop