大河ドラマ・乳房星(たらちねぼし)

【私一人】

時は、夕方5時半頃であった。

またところ変わって、紙屋町《かみやちょう》にあるダイイチ本店(エディオン広島本店)の中にあるサテライトスタジオ(イベントスペース)にて…

この時間は、毎週日曜日の17時にRCCラジオで放送されている『柏村武昭のサテライトNO1』の公開生放送が催されていた。

私は、後ろの席に座っていた。

ステージの上には、歌のゲストでシンガーソングライターの村下孝蔵さんがいた。

村下孝蔵さんは、ギターを弾きながら3曲目の『私一人』を歌っていた。

後ろの席に座っていた私は、涙を流しながら歌を聴いていた。

…………………………

時は、夜7時過ぎであった。

またところ変わって、立町《たてまち》にある居酒屋にて…

店内のカウンターにサントリータコハイが入っているアルミニウムのタンブラーと唐揚げと冷ややっことマッシュポテトが並んで置かれていた。

店内に設置されているユーセンのスピーカーから村下孝蔵さんの歌で『私一人』が流れていた。

カウンターに座っている私は、店の中をみわたした。

店内には、若いカップルさんたちがたくさんいた。

若いカップルさんたちは、きょうの夕方に放送された『サテライトNO1』であった小話の話題で盛り上がっていた。

私は、店の様子をひと通り見たあとのみかけのタコハイを一気にのみほした。

…………………………

時は、深夜11時半頃であった。

私は、8時から夜10時半までのあいだに立町《たちまち》にある居酒屋2軒をはしごしたあとあてもなく歩きまわっていた。

ところ変わって、袋町公園の近辺の通りにて…

私は、村下孝蔵さんの歌で『私一人』を歌いながら歩いていた。

………………………

もうつかれた…

こんなフラフラした暮らしは…

もうイヤだ…

…………………………

帰る家がほしいよ…

帰る家がないのは…

すごくイヤだ…

…………………………

そんな時であった。

男2人が言い争っている声が袋町公園《こうえん》の付近で響いたのを聞いた。

あの声は…

溝端屋の番頭《ばんと》はんと重井《しげい》の声だ…

一体、なにがあったのか…

………………………

またところ変わって、公園内にある公衆トイレにて…

溝端屋の番頭《ばんと》はんと重井《しげい》は、建物の裏側にいた。

私は、ゆっくりとした足取りで身障者用トイレに入ったあと息をひそめた状態で壁にぴったりと(身体を)つけた。

ものすごい血相で怒り狂っていた番頭《ばんと》はんは、重井《しげい》に対してより鋭い声で攻撃した。

「おい重井《クソヤロー》!!てめえよくもワテの人生をわやくちゃ(めちゃくちゃ)にしたな!!…オドレのせいでワテは溝端屋《みせや》からひま出されたんや!!…おい重井《クソヤロー》!!ヘラみ(よそ見)するな!!…ヘラみするなと言うのが分からんのか!!」

重井《しげい》は、困った表情で番頭《ばんと》はんに言い返した。

「ちょっと待ってください!!私になんの落ち度があると言うのですか!?」

番頭《ばんと》はんは、ものすごく怒った声で重井《しげい》を攻撃した。

「オラ重井《クソヤロー》!!重井《てめえ》のせいでワテは溝端屋《みせや》をひま出されたと同時に、番頭《ばんと》のお仕事を小番頭《こばんと》に取られた!!…その原因は…すべて重井《てめえ》にあるのだよ!!それがまだ分からんのか!!」
「あんたの言うことはめちゃくちゃだよ!!そう言うあんたはなんだ!!前妻を犯してボロボロに傷つけたあと逃げ回っていた…その結果、あんたは警察《サツ》に捕まったんだよ!!…前妻を犯してボロボロに傷つけたことをこの場であやまれよバカ!!」

番頭《ばんと》はんは、よりし烈な怒りを込めながら重井《しげい》に言うた。

「おい重井《クソヤロー》!!重井《てめえ》は肝心なことを忘れていることに気がつけよボケ!!」
「ボケとはなんだクソバカ!!」
「なんやオドレ!!」
「あんたが溝端屋《みせや》からひま出された原因は、田嶋組《じむしょ》に出入りしていたことが週刊誌《ざっし》にスクープされたと言うことがわかんねえのかよ!!クソバカ!!」

思い切りブチ切れた番頭《ばんと》はんは、重井《しげい》に対してツバを吐いたあとよりし烈な怒りを込めながら言うた。

「おい重井《クソヤロー》!!そう言う重井《てめえ》も、やよいをたぶらかすだけたぶらかしたと言うことが分からないみたいだな!!」
「なんやクソバカ!!」
「バカとはなんや!!」
「ふざけるな!!やよいの悪口を言うたからバカと言うたんや!!」
「このやろうふざけやがって!!」
「あんたこそなんだ!!」
「おい重井《クソヤロー》!!重井《てめえ》はもうひとつ肝心なことを忘れていることに気がつけよ!!重井《てめえ》は田嶋組《うちのじむしょ》に対して宣戦布告をはっしたことがまだ分からんのか!?」
「やかましい!!そう言うあんたがオレに対して言いがかりをつけてきた…と言うことに気がつけよボケ!!」

番頭《ばんと》はんは、よりし烈な怒りを込めながら重井《しげい》に言うた。

「おい重井《クソヤロー》!!きょうはこのくらいにしといたるわ!!せやけど、重井《てめえ》がワテに対して焚き付けたと言うことは田嶋組《うちのじむしょ》に対する宣戦布告とみなす…と言うたんや!!…それは覚えておけ!!…今度ワテに対してバカ呼ばわりしたら、強行手段に出るぞ!!…あ〜、つかれた…むしゃくしゃしているからマージャンでもしにいこか〜」

番頭《ばんと》はんは、口笛を吹きながらその場から立ち去ろうとした。

この時であった。

(ガーン!!)

近くに隠れていた明彦が鉄パイプで番頭《ばんと》はんの頭を殴りつけた。

「わああああああああああああああああああああ!!」

明彦に鉄パイプで頭を殴られた番頭《ばんと》はんは、その場に倒れた。

「ふざけるな!!」
「やっつけてやる!!」

このあと、重井《しげい》と明彦は地面に倒れた番頭《ばんと》はんに対して暴行を加えた。

………………………

身障者用トイレの中にて…

その場に座り込んだ私は、全身をブルブルと震わせながらおびえた。

怖い…

怖い…

もうイヤだ…

こんなフラフラした暮らしは…

もうイヤだ!!

…………………………
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